2017/05/27

 「紙ふうせんシークレットライブ 2017」(Gallery Nu-Vu)

 承前

 前回に続いて趣味のフラダンスを踊るIさんと事前に電話で話したときも、ぜひ出演してくださいと言われたのだが、きっぱりと断った。
 気が変わったのは、すでに読了した「唐獅子株式会社」(小林信彦/フリースタイル)と購入したまま積読状態になっているムック「大村憲司のギターが聴こえる」(リットーミュージック)が頭をよぎったからだ。

 唐獅子株式会社シリーズ第三弾(三話)の「唐獅子生活革命」で、組グループの社内報(唐獅子通信)に、ダーク荒巻の新マザーグースとして「誰が駒鳥いてもうた?」が紹介されている。ダーク荒巻はシリーズの主要キャラクター(映画では横山やすしが演じていた)。ダークがマザーグースの「誰が駒鳥殺したの?」を大阪弁で翻訳したのである。

     ▽
 Who killed Cock Robin? (極道バージョン)
 だれが駒鳥いてもうた?

 だれが駒鳥いてもうた?
 わいや、と雀が吐きよった
 私家(うっとこ)にある弓と矢で
 わいがいてもた、あの駒鳥(ガキ)を

 だれが死体(ホトケ)を見つけたん?
 わいや、と蠅がぬかしよる
 なんぼ奥目や言われても
 わいが見つけた、その死体(ホトケ)

 血ィ受けはったの、だれでっか?
 わいや、と魚が言いよった
 わいの持っとる小皿かて
 血ィ受けるぐらいできるがな

 (以下、略)
     △

 オリジナルはこうである。

     ▽
 Who killed Cock Robin-Mother Goose

 "Who killed Cock Robin?" "I," said the Sparrow,
 "With my bow and arrow, I killed Cock Robin."

 "Who saw him die?" "I," said the Fly,
 "With my little eye, I saw him die."

 "Who caught his blood?" "I," said the Fish,
 "With my little dish, I caught his blood."

 (以下、略) 
     △

 日本語訳はこうだ。

     ▽
 誰が駒鳥殺したの?
 わたし、とすずめがいいました
 わたしの弓矢で
 わたしが殺した

 誰が駒鳥死ぬのを見たの?
 わたし、と蝿がいいました
 わたしのこの眼で
 死ぬのを見た

 誰がその血を受けたのか?
 わたし、と魚がいいました
 小さなお皿で
 わたしが殺した
     △

 7人時代の赤い鳥に「祈り」というアルバムがある。「パーティー」に続くメンバーだけのオリジナル曲による構成で、僕にとってはスタジオ録音盤で一番好きなアルバムだ。
 このアルバムに「誰が鳥を」が収録されている。

     ▽
 誰が鳥を

 誰が鳥を消したのだ?
 〝オレだ〟 風がいいました
 オレのクシャミで消したのだ
  
 誰がそれを見てたのだ?
 〝オレだ〟 森がいいました
 オレの頭に落ちてきたのだ

 誰が涙を流すのだ?
 〝私よ〟 雨がいいました
 私は銀色 涙の天使

 誰が墓をたてるのだ?
 〝オレだ〟 雄牛がいいました
 オレの角で墓を掘るのだ
  
 誰が鐘をたたくのだ
 〝オレだ〟 風がいいました
 オレのクシャミで鐘をならそう
 町中 祈りの鐘をならそう
     △

 この曲、後藤さんがマザーグースの「誰が駒鳥殺したの?」を元ネタに作ったのだ。

 「誰が鳥を」のメロディーで「だれが駒鳥いてもうた?」を歌ってやろう!
 そう考えて、エントリーしたのである。

 問題は「誰がギターを弾いてくれるのか?」だった。
 歌のみの場合、ほとんどすぎたさんが演奏を担当してくれるのだが、彼は赤い鳥世代ではないし、当然「誰が鳥を」を知らない。僕が用意する楽譜を当日見て弾くということになった。
 まあ、今回のパフォーマンスは歌唱以上に語りに力を入れているから、つまり、「祈り」がどんなにすごいアルバムか、アルバム中ほとんどの曲を書いている大村さんのギターテクニック、「誰が鳥を」とマザーグースの関係、小林信彦の「唐獅子株式会社」の面白さ等々を熱く語って、最後に歌の披露という段取りを考えていたので、ギター演奏にそれほど重きを置いていない。
 最悪、詩の朗読でもいいか、なんて。

 会場に行ってから、もしすぎたさんが弾けなかったら、後藤さんが代わるなんて聞かされてビビッてしまった。
 本家のバックなんて、オレ、歌えないっす!
 なんだかんだあって、結局、Sさんが弾くことになった。Sさんなら「誰が鳥を」をよく知っているし、実際、本番では「誰を鳥を」のさわりを歌ってもらった。

 不思議なことに会場入りしてから少しも緊張しなかった。
 「誰が駒鳥殺したの?」の英語版、日本語版、「だれが駒鳥いてもうた?」「誰が鳥を」の歌詞をプリントアウトした虎の巻に、話の要点を書き込み、本番に備えた。
 これはかなりうまくいくかも。
 後藤さんのMCで時間どおり、何のアクシデントもなく進行。自分の番がやってきた。
 マイクの前に立つ。お客さんが自分を見つめている……とたんに足がすくんできた。
 あっというまに緊張状態。
 考えていたことが言葉にならない。ほとんど吹っ飛ばして、最後の歌に。
 何とか終えて外で一服。
 落ち込んだ。
 中学時代に比べ高校時代の成績が極端に悪くなったのは、試験に一夜漬けでのぞむようになったからだ。今回も一夜漬けのようなものだった。
 それに、言いたいこと(ネタ)を10個用意したら、話せるのは5個がいいとこだ。10個話したいのなら20個用意しなければならない。わかっていたはずなのに。緊張しない=余裕、と油断してしまった。

  karajishi     
唐獅子株式会社 


omurakenji
大村憲司のギターが聴こえる


 この項続く
 



 
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Comment
No title
唐獅子のその歌、最高に面白かったですね。
それ、お聴きしたかったですwww.
赤い鳥にそんな歌もあったのですね。
こちらは何て美しい歌詞なんでしょう。
ダークと比べちゃ申し訳ない気もして、
小林さんに変わり、勝手に恐縮しています。
mikaidou さん
おはようございます!
「だれが駒鳥いてもうた?」、小林信彦にとってもかなりの自信作だったみたいですね。
赤い鳥、アルバム「祈り」には歌いたい歌がけっこうあるんですよ。
ところで、週刊文春の小林信彦のエッセイ、ずっと休載なんですよ。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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