先週放送の「相棒 season9/第13話 通報者」。ラストで目頭が熱くなってきて、もしかしてと思ったらやはりそうだった。脚本は太田愛。平成ウルトラマンシリーズ出身で、異色作、感動作を書いていた。「ウルトラマンダイナ」の「少年宇宙人」「僕たちの地球が見たい」が有名か。「通報者」はよくできたドラマだったが、最初の少年の母親が画面に登場するショットが残念でならない。あの1カットだけでトリックがわかってしまったのだから。
 28日(金)は地元シネコン、レイトショーで「相棒 劇場版Ⅱ」を鑑賞。
「ロートルばかりの出演。よく映画にしたよねぇ」
 「モルモット」上映後の打ち上げで、田口主将さんと小野了さんの会話を思い出した。
 そうそう、田口さんも出演しているんですね。
 映画の感想についてはまた後で。

          * * *

2010/12/31

 「JamJamカウントダウンライブ」(JAZZ&COFFEE JamJam)

 承前

●きしもとタロー  +千葉泉(ギター)・熊澤洋子(ヴァイオリン)

taro
きしもとタローさん
taro2
千葉泉さん
taro3
熊澤洋子さん


 続いてステージに登場したのはきしもとタローさん。ケーナ、アイリュッシュ・フルート奏者の通称〈笛の詩人〉。
 紙ふうせんリサイタル「なつかしい未来 vol.1」のゲストで、第二部のバックをつとめていた。フォルクローレが好きなので(それほど詳しくはないけれど)、第二部はケーナの調べに耳をそばだてたものである。
 タローさん一人だと思っていたら、一緒に2人の男女がステージに立ったのでちょっと驚いた。と同時に男性を見て「ああ、この方出演者だったのか」とそれまでのノリの良さに得心したのだった。
 というのは……

 開演30分後に会場に到着したものだから、いわゆる客席とはちょっと離れた一番後方、PA席の前に位置した席からライブを拝見していた。Haruの演奏中、客席の真ん中あたりにすわっている方の反応が大きいので自然と目がそちらにいく。ちょっと年配の方なのだが、MCには一つひとつうなづく、演奏にはすばやくリズムをとる。
 どこかの大学の教授とのこと。
 女性はタローさんの奥さんだとか。
 この紹介のときに、トップバッターの高本さんが奥さんと共演したことを皆から指摘されたのではなかったか。
 調べてみたら、熊澤さん、ジプシーヴァイオリンなんですね。タローさんたちとトリオを組んでライブ活動をしている。笛+ヴァイオリン+パーカッション。わあ、聴いてみたい! 千葉さんもメンバーみたいだ。

 手作りの笛を持って登場したタローさんは饒舌だった。1曲、1曲、その成り立ち、背景を説明してくれる。生活状況も。とんでもなく寒いところに住んでいるらしい。今日霜が降りました、なんて言ってました。
 
 「秋になれば」で思い出した。
 人が好きな季節って、もしかしたら自分が生まれた月に関係するんじゃないか。僕は秋が好き。これって10月生まれだからかもしれない。データを取ったことはないのだけれど。


 アルフォシーナと海/秋になれば/アンデスのクリスマス/アストゥーリアの魅力


 この項続く




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 本日「シネマDEりんりん」だった。
 ゲストは先週22日(土)に公開されたドキュメンタリー「YOYOTYU SEXと代々木忠の世界」の監督石岡正人氏。アダルトビデオをキネコ(ビデオのフィルム化)にして映画になった「ザ・オナニー」シリーズの斉藤京子篇を観て衝撃を受けた者としては、そりゃ、もう、の世界。うふふふ。

          * * *

2010/12/31

 「JamJamカウントダウンライブ」(JAZZ&COFFEE JamJam)

 承前

●Haru

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すぎたじゅんじ さん
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田中賢さん

二人合わせて Haru

 二番手は男性デュオのHaru。すぎたじゅんじさんと田中賢さんのコンビだ。すぎたさんは紙ふうせんのバックサポートでギターとコーラスを担当している。
「冬なのにハル!」
 ステージの2人に客席から声がかかった。定番のダジャレですね。

「待ってました、ベリーちゃん!」
 それはハル・ベリー。ハリウッド女優で、「チョコレート」でアカデミー主演女優賞を、「キャット・ウーマン」でゴールデンラズベリー女優賞を受賞した。私、大好きです。ちなみにラズベリー賞って、その年の最低映画に贈られる賞です。日本にもこの賞に倣って「きいちご賞」というのができました。

「よぉ、9000!」
 それはHALだって。「2001年 宇宙の旅」に登場するコンピュータ、HAL9000。子ども時代、思えばはるか遠い未来だった〈2001年〉が一昔前になってしまったのだ。「2001年 宇宙の旅」の続編(小説&映画)「2010年 宇宙の旅」の〈2010年〉ですら、もう少しで過去になってしまうのだからなんとも感慨深い。

 何度か書いているが、すぎたさんは後藤さんの大学(京都外国語大学)の後輩(二世代ぐらい下?)で、後藤さんが創設したフォークソング同好会(正式名称ではない)のメンバーだった。何かの機会ですぎたさんのライブを見た後藤さんが声をかけてプロの道に入ったという話を聞いたことがある。後藤さん、たぶんすぎたさんの声に惹かれたのではないか。
 田中さんは「俺たちの旅」のおめだ役で人気を博した……それは田中健! だいたい田中賢の賢って〈まさる〉と読むのです。今、調べていてわかったのですが。

 田中さんの歌声を聴いたのはずいぶん久しぶりだ。90年代に紙ふうせんが開催していたクリスマスコンサート(今はなき六甲オリエンタルホテルを貸切にして、宿泊とディナーをセットにしたユニークな内容だった)二回目のとき、前座をこの2人がつとめたのである。あのときは振替休日というグループ名だった。僕がまだ30代だったのだから、2人は花の20代。若かったなあ。
 ただ、恥ずかしい話だが、歌ったということしか覚えていない。すぎたさんがギターを弾いていた。でも田中さんはピアノだったのだろうか。

 ギターを持った田中さんの横に手ぶらのすぎたさんが並べば、和製サイモン&ガーファンクルになるのに。
 四捨五入すれば20年ぶりに目にする、耳にするライブ。イメージと違って、とても力強い歌に圧倒される思いだった。デュオというより、それぞれの個性がはっきりでているスタイル。ソロ+ソロという感じで、2人を結びつけるのがハーモニー。

 君のそばで息をしよう/コインの裏側/情熱/嘘は簡単/僕を救ってくれたのは


 この項続く




2010/12/31

 「JamJamカウントダウンライブ」(JAZZ&COFFEE JamJam)

 まあ、いろいろあって、開演時間に30分遅れて会場に到着した。受付を済まして中に入るとステージにはHaruの二人、すぎたじゅんじさんがギターを抱え、田中賢さんが上手のアップライトピアノに向かっていた。後藤さんが二人を紹介した後、Haruのライブが始まった。
 今回のライブの二番バッターだということを後で知ることになる。
 では、トップバッターは?
 リュート奏者の高本一郎さんだった。

 その前に、このライブ、一人だけアーティストはアーティストだが、ミュージシャンではない方がいた。画家のえとうまさゆきさんだ。「紙ふうせんリサイタル2010」で配付された「なつかしい未来新聞」のカウントダウンライブが予告されえとうさんの名前もあった。リサイタル終了後ロビーでえとうさんに会ったので、さっそく訊ねた。
「カウントダウンライブでは何をやるんですか?」
「いや何も決まってません」
 ちなみに、えとうさんの声はヘビメタ「THE 冠」のヴォーカリストの声質、イントネーションを思い浮かべてください。
「ライブ中、曲にインスピレーションされたイメージを絵にするとか?」
「天邪鬼だから、そう言われたらぜったい同じことはしません!」
 冠さん、ではなくえとうさんは自信満々で言っていたのだが……。
 客席をみると、ステージ方向左端、春のシークレットライブで僕が座ったあたりにイーゼルを立ててスケッチブックに鉛筆(?)を走らせていた。
 えとうさんが絵を描くところ、うしろからずっと眺めていたい。以前から願っていた。開演前に来ていたら、横あるいは後ろに座って適宜覗けたのに! 
 何をスケッチしていたかというと、ライブしている出演者の皆さんだった。
 
 ということで、そのスケッチとともに、レビューを書いていこう。写真添付より面白いでしょう?


 ●高本一郎(リュート)+樋口美紀(声楽)

takamoto1
高本一郎さん
takamoto2
樋口美紀さん

 確か後藤さんと共演したことがある。もう何年も前だが。
 リュート奏者といえば、東京では、つのだじろう、つのだひろの兄弟の方がいらっしゃいますが、大阪では高本一郎さん! リュートの音色を聴いたことがないので、カウントダウンライブを楽しみにしていたのだが……。高速バスのUターン、新幹線の減速運行を恨む。いや、すべて雪が悪いのだ。いやいや、大晦日の、それも昼間に高速バスで関西に行こうとした自分が一番悪い!

 実をいうと、10月、大阪に行ったときにお会いしているんですよね。深夜のバーだった。
 JamJamのステージでは奥さん(声楽)と共演したとか。いったいどんな内容だったのだろう。うーむ、残念。

 高本さんと後藤さんの共演が2月にある。
 あるバロックコンサートに後藤さんがゲスト出演するという。
 詳しくはこちら

 この項続く



 【追記】

 奥さんは旧姓でプロ活動しているとのことで、また結婚10年ということで新婚ではありません。どちらもお詫びのうえ訂正します。




 
 22日(土)は久しぶりに図書館へ行く。
 しばらく図書館には足を運ばなかった。その間に積ん読本を読破してしまおうと、オヨヨシリーズを一作目から読み始めたのだ。何年も前に古書店で買ってそのままにしておいた角川文庫版。地元で新しくできた古書店を覗くと角川文庫版のオヨヨシリーズがほぼ揃っていたのだ。価格は100円。ラッキーと買っておいた。抜けていた2冊もネットに注文して全巻揃ったのが昨年。
 考えていたとおりだった。とりあえず「オヨヨ島の冒険」「怪人オヨヨ大統領」を読了したのだが、ジュヴナイルのオヨヨは角川版の方が面白い!

 話をもどす。
 図書館から以下の5冊を借りる。同時に「壬生義士伝(下)」を予約。
 週刊文春に連載されていた「一刀斎夢録」が上下2冊の単行本になった。もちろん読むつもりだが、その前にシリーズ第一作の「壬生義士伝」をあたっておこうと思っていた。やっと棚で見つけたものだからあわてて手にとった次第。

 「現代落語の基礎知識」(広瀬和生/集英社)
 「高峰秀子の流儀」(斎藤明美/新潮社)
 「今夜は最高な日々」(平哲郎/新潮社)
 『創られた「日本の心」神話』(輪島祐介/光文社新書)
 「壬生義士伝(上)」(浅田次郎/文春文庫)
 「凶弾」(逢坂剛/文藝春秋)


 ということで、今週は神戸モードになります。




 14日、和田勉が亡くなった。享年80。NHKを定年退職されてからはその個性的なキャラクターからタレントとして数多くの番組に出演していた。80年代にはTVドラマについて綴った著書を読んでいる。書名が思い出せないのでウィキペディアをあたってみたら80年代の著書がない。「映画はロング、TVドラマはアップ」、ということを教わったのは和田さんの本ではなかったか。TVアニメ「あしたのジョー2」の最終回。有名な燃え尽きたジョーを徐々にアップにしていった。劇場アニメ版では逆に徐々にカメラを引いていって、得心したのを覚えている。記憶が間違っていなければ。

 横浜の放送ライブラリーを初めて訪れたのはもう何年も前になる。
 NHK時代劇ドラマ「茂七の事件簿ふしぎ草紙」のパート3放送後だから2003年、あるいは2004年か。このドラマの演出家、石橋冠が司会するNHKドラマのトークショーが放送ライブラリーで開催されたのだ。そのドラマとは向田邦子脚本による「阿修羅のごとく」。傑作として名高い。
 始まる前にトイレに寄った。小の便器で用をたしていると隣に立った人がいる。和田さんだった。「阿修羅のごとく」は和田勉が手がけたドラマだったのだ。あの印象的なテーマ音楽はトルコに旅行したときに偶然耳にして録音したものを使用したとか。トークショーで語っていた。ショーケン主演の映画「居酒屋ゆうれい」のテーマ曲に通じるものがあるような。同じ曲か?

 訃報記事の〈川崎の老人福祉施設で死去〉の記述が気になったのだが、その後週刊誌の記事によれば大したことではないらしい。
 昨日の朝日新聞に掲載された今野勉の追悼文の最後の一文にニヤリ。

 合掌

 


2011/01/10

 「アンストッパブル」(TOHOシネマズ日劇)

 承前

 実際はオハイオ州で起きた事故を、映画化するにあたってペンシルベニア州に変更したのは、スタントン郊外の急カープ(高架)をクライマックスにもってくるための処置だったのか。
 貨物車に積載されているのは大量の化学物質。暴走しているスピードでこの急カーブを曲がれば脱線する。あたりは燃料工場(?)が立ち並ぶ。引火爆発して大惨事が起こるのは必須。これを回避できるか否かのサスペンスで急カーブのシークエンスまでは異様な緊張感に包まれる。かつての「暴走機関車」と同じく「これは映画だ!」と快哉を叫びたい。

 主演のデンゼル・ワシントンはベテラン機関士役。会社はベテランクラスを次々とリストラしている最中でデンゼルもその対象になっている。
 デンゼルとコンビを組むのは新入りの車掌クリス・パイン。鉄道会社関係者の家族なので、こいつらのために自分たちが犠牲になるのかとデンゼルには面白くない。
 また、二人はそれぞれ家族の問題を抱えている。デンゼルは数年前に妻を亡くし、年頃の娘たちと何となくうまくいっていないようだ。深刻なのはクリスの方だ。原因は自分にあるとはいえ、妻と別居し子どもに合えない。解決は家裁に持ち込まれている状況だ。

 アクション(スリル&サスペンス)に人間ドラマ(対立、葛藤)を持ち込んでいるが、底が浅い。小説や演劇と違ってスリル&サスペンスだけで十分ドラマは成り立つのが映画なのに。
 昔からスリル&サスペンスだけの映画は識者には評価されないから仕方ないか。ヒッチコックは結局一度もアカデミー監督賞を獲れなかった。スピルバーグも賞の対象になるのは「カラーパープル」「シンドラーのリスト」等の社会派ものばかり。初期の作風にスペクタクルを加味した「宇宙戦争」は主人公と家族の関係、家族愛について言及する批評が多かった。違うって。家族の描写は単なるアクセサリーでしかないのだから。キモは主人公と子どもたちが宇宙人の攻撃からいかにして逃れられるか、だ。そのスリル&サスペンスが面白いか否か。
 「アンストッパブル」はタイトルどおり暴走する列車の内と外の人間たちのドラマ、そのスリル&サスペンスだけを追い求めるべきだった。

 男二人に絡むのが操作場長ロザリオ・ドーソン。操作場の指令室(?)からてきぱきと部下に指示を出す聡明な女性だ。「暴走機関車」も暴走機関車内で男女3名のドラマが繰り広げられた。まあ、男2人+女1人は映画の定番だけど。 
 
 暴走する貨物列車を停止させるためには、まず機関車に乗り込んでエンジンを止めることを考える。
 当初列車はゆっくり走行していると思われたが、実際は猛スピードで激走していた。無人で走りだすきっかけ(実にくだらない人的ミスなのだが)に、字幕で〈力行〉という言葉がでてくる。意味はなんとなくわかるがどういうことなのか? ウィキペディアで調べると自動車でアクセルを踏んでいる状態だという。
 まずレスキュー隊(?)のメンバーがヘリコプターから吊られて機関車に乗り込もうとする。が、あっけなく失敗。この作戦はすぐに撤回される。なぜ1回でやめてしまったのか。たぶん一番有効的な作戦だと思うが。
 次なる手は貨物切り離し作戦ではなく脱線作戦。脱線させる前に、なぜ大量の化学物質を積載した貨物を切り離さないのか。「暴走機関車」の二番煎じになるからか?

 同じ線路を反対方向から走ってきたデンゼルとクリスがこの事故(事件)に巻き込まれた。間一髪で衝突を回避したのち、デンゼルの職人気質、プロ根性から暴走貨物列車を停止させようとする。その方法とは、一番最後の貨物の連結部分が運よく開いていたことから、自分たちの機関車を連結させ、逆方向に引っ張ることにより停止させるというもの。
 そんなことできるのか! と思った。とはいえ、その後の描写はいかにもプロの仕事という感じ。興奮するし、いやがうえにも緊張感は高まる。

 だが、その緊張感も急カーブの大惨事を回避したあたりから、徐々にしぼんでいく。
 理由は、それこそ急にデンゼルがヒーロー然の活躍をし始めてしまうからだ。結局後方からの引っ張り作戦では列車を停められないことがわかったデンゼルが機関車のところまで行って中に入ってブレーキをかけるという方法をとることにする。いくつもの貨物車を飛び越えていくわけだが、四角いものはともかく丸型なんて停止状態だって歩くのにも苦労するのではないか。シルベスター・スターロンやブルースウィリス、スティーブン・セガールではないのだから。
 最後の最後の方法も、だったらヘリコプター作戦を何度も敢行すればよかったじゃないかと叫びたくなった。

 満足感は十分味わえる映画である。それは確かだ。




2011/01/10

 「アンストッパブル」(TOHOシネマズ日劇)

 この数年、地元のシネコンをできる限り利用している。6回行けば1回無料になる特典に惹かれて会員になったからだ。レイトショーが1200円というのもうれしい(レイトショーが一般化したおかげで前売券を買うということがほとんどなくなった)。
 この映画も本来なら地元で鑑賞しているはずである。しかし、日劇のスクリーン&音響だと迫力が違う。この手のアクション映画は大スクリーンとドルビー音響が設備された劇場で鑑賞するべきだと思い知った次第。

 最初、この映画の予告編を目にしたときのこと。実話を基にしたというコピーであれっと思った。「もしかして、『暴走機関車』のリメイクなのか?」
 かつてアメリカで実際に起きた無人機関車の暴走を題材にして黒澤明監督が企画した「暴走機関車」。もし実現していたらハリウッド進出の記念すべき映画になっていただろう。結局企画は途中で頓挫した。
 こんな映画向きの企画を埋もれさせていけない。そんな思いにかられたプロデューサーが20年後に現れた。なんと80年代半ばにジョン・ボイド主演で映像化されたのだ。監督はアンドレイ・コンチャロフスキー。
 クレジットに原案として黒澤明の名前があって、うれしくなったこと、ラストのジョン・ボイドがまるで「ウルトラQ 地底超特急西へ」のM1号のようだったことを覚えているだけで、肝腎の全体の印象、感想は忘れている。

 1986年6月22日の日記にこう書いていた。
     ◇
 18日は新宿ピカデリーで「暴走機関車」を観る。
 タイトルシーンからなかなかイカしている。
 雪原、暴走、乗客、男2人、女1人。
 さすがだと思った。
 これがドラマだ! これが映画。

 そして感動のラストシーン。
 ジョン・ボイドの演技!!
 “どんな野獣にも多少の憐れみの心がある。それを持たぬ私は野獣でさえない”
     ◇
 大絶賛ではないか。

 アメリカ映画、ハリウッド映画の〈実話の映画化〉なんて当てにならない。あくまでも全体の流れだけが真実でドラマはほとんどフィクションなのだ。まあそれが映画だといわれればそれまでだけど。
 この映画も〈機関車の暴走〉という部分だけを借りて「実話」だと謳い、あとは現代風の意匠にくるんで暴走貨物列車の物語にしたのではないかと疑ったのだ。
 実際は最近あった事件だった。2001年、オハイオ州で起きた貨物列車暴走をモデルにしている。暴走列車を止めるため、貨物の最後尾に別の機関車を連結して逆向きに引っ張るという方法も事実。
 とはいえ、これらのことは映画を観た後ネットで調べてわかったことだ。

 まあ、実話かどうかなんてどうでもいい。
 予告編の映像がかなり自分の映画アンテナを刺激したこと、デンゼル・ワシントン主演の映画はあまりハズレがない(それなりに面白い)こと、だいたい、列車を舞台にした映画につまらなかったものがないこと。
 期待しない方がおかしい。

 この項続く




 阪神淡路大震災からもう16年経つのか。あのとき生まれた子も今は高校生なんだ。ついこの間という気がしないでもないのだが。
 今の小中学生にとっては阪神淡路大震災って、僕が子どものころに感じた関東大震災と同じイメージなのかもしれない。

 16年前、僕は地震の第一報を聞いている。
 その日は会社のビッグイベント「賀詞交歓会」が開催されるということで5時30分過ぎには家を出ていた。運営スタッフの一人だった。駅まで徒歩で約20分の距離。当時その間携帯ラジオを聴いていた。ラジオが臨時ニュースで関西で地震が起きたことを伝えた。第一報は短いものだった。

 開催場所のホテルで準備している間に、ニュースの続報が伝えられてきた。地震はかなり大きかったらしい。もしかしたら関西地区のお客さんが来られないかもしれない。担当者のそんな会話を耳にした。「賀詞交歓会」の招待客は全国規模だ。
 ニュースを耳にするたびに被害が大きくなっていった。
 あわてて宝塚の紙ふうせん事務所に電話したりした
 
 震災被害を目の当たりにしたのは、「賀詞交歓会」終了後会社に戻ってからだ。TVのニュース映像に声を失った。
 TVに映った光景は確か神戸・長田地区だったと思う。こんなひどい状況だったのか!
 その数年前から12月になると六甲山へ行っていたので、他人事には思えなかった。

 その年の春に金子修介監督「ガメラ 大怪獣空中決戦」の公開が予定されていた。ところが、映画で描かれるビルの倒壊シーンがあまりにもリアルで、大震災をイメージさせるので、公開を見合わせるなんて噂を聞いた。結局デマだったらしい。その春にはサリン事件が起きた。
 そうか、「ウルトラマンティガ」の放映は翌年の96年だったのか。それから「ダイナ」「ガイア」と三部作が続く。「ガイア」が終了すると「仮面ライダークウガ」が始まる。世間がミレニアム、ミレニアムと騒いでいたころだ。
 やはり、ついこの間という気がする……。


 【追記】

 阪神淡路大震災をテーマに兵庫県の高校で紙ふうせんのおふたりが講演(トーク&ライブ)しております。興味ある方、読んでみてください(リンクに問題あれば連絡ください)。




 1976年の10月、高校2年の僕は小学校からの友だちKと弟と3人で東京へ出かけた。晴れたら日本シリーズ、雨で中止になったら映画を観ようということで、当日は雨模様。それでロードショーとなった「犬神家の一族」を観たのである。場所は有楽町の千代田劇場だったろうか。
 実をいうと個人的には野球なんてどうでもよかった。雨が降ってよかった、よかった。


    ◇

 1976/10/24

 (略)とにかく混んだ。映画館の前には列ができるし、中に入れば出入口のところで人がひしめきあっている。苦労して席を3人分とって見た。
 怪奇映画として見ればちっとも怖くない。むしろおもしろい。加藤武演ずる橘署長なる者が大変愉快なのだ。すぐ犯人を断定してしまう。場内は笑いの渦。石坂浩二の金田一耕助もよかった。僕はまだ一度も横溝正史の本を読んだこともないのだけれど彼はぴったりなのではないかな。よく見ると二枚目でね。
 幸か不幸かこの物語、事件の結末を知ってしまったので謎解きのおもしろさは失われたが、それでもよかったと思う映画だ。
 きれいに撮っている。岸田今日子がでてくるシーンがきれいだった。
 耕助と(旅館の)女中はるとの会話なんていかしている。
「どうしました? お食事食べました?」
「ああおいしかったよ」
「私が全部つくったのよ。ねェ、何が一番おいしかった?」
「…生たまご」
 これは受けた。次のシーンにうつっても笑っている人もいたほどだから。
 こういう愉快なシーンをあいまにはさんで物語は進む。
 あおい輝彦が金田一に犯人を彼の母親であることを見破られた時に目を赤くして泣きくずれるところはよかった。(誰だ! ここで笑った奴は!)
 高峰三枝子も母子のシーンもよかった。
 音楽も、ラストシーンもいいぞ、まったく。

   ◇


 「犬神家の一族」は邦画には珍しくワクワクさせてくれた映画だが、市川崑監督の金田一シリーズのベストは2作めの「悪魔の手毬唄」だと思う。
 つかこうへいは「犬神家の一族」を西部劇、「悪魔の手毬唄」をフランス映画と評していた(と思う)。

   ◇

 1977/05/03

 午後、「悪魔の手毬唄」を観てくる。
 東宝が「犬神家の一族」の大ヒットよもう一度と作ったいわば2番せんじの作品である。
 しかし、しかしである。いいのだ実にすばらしい。映像が、若山富三郎が、岸恵子が、音楽が。
 一つ一つのカットが練りに練られて撮られているって感じだ。
 特に後半がいい。リカが犯人であることを告げた金田一の表情。何とか彼女をかばおうとする若山扮する刑事。
 母の愛。ここにもこの愛が描かれていた。母が息子を、娘を想う姿が村井邦彦の音楽にのって映し出される。
 その感動。
「磯川さん、あなたはリカさんを愛していらしたんですね」
 ラスト、金田一は磯川につぶやく。
 実にいいラストだ。シナリオを読んだ時も胸にきたけど、映画を観てもそう感じる。

   ◇

 参考)新旧「犬神家の一族」のあいだに   
     「悪魔の手毬唄」と赤い鳥の深~い関係?
     1976 秋だったね
     1976 秋だったね その2




 昨日は下北沢へ。北沢タウンホールの20周年記念イベント、成人式ということで「立川談四楼独演会」があった。無料。夜の部の演目は「柳田格之進」と「らくだ」。熱演。
 今日はFさんの招待で三鷹市公会堂の「春風亭小朝独演会」。仲入りを挟んで「試し酒」「池田屋」「愛宕山」。「うん」の声に志ん朝の口跡を聞いて感激した。終了後、Fさん、Mさんと荻窪の昭和居酒屋で飲む。

          * * *

2010/11/18

 「IN」(桐野夏生/集英社)

 「OUT」は江戸川乱歩賞受賞作家・桐野夏生の評価をより高めた作品である。アメリカのエドガー賞の最終候補作の一つになったことが大いに話題になった。まだミステリというジャンルに入っていた作品でもある。
 そんな作品と対をなすようなタイトル「IN」。なぜ今「OUT」/「IN」なのか? 「IN」というタイトルでいったい何を書いたのか? まさか、初心にもどって犯罪小説(ミステリ)を手がけたわけではないだろう。
 読み始めて、膝を打った。「そういうことか!」
 主人公の女流作家(死語?)が求める真相。某文芸作家の私小説「無垢人」で記した不倫の内情とは何だったのか。関係者に取材し書き上げようとしてる小説のタイトルが「淫」。
 作家と小説のモデルが島尾敏雄「死の棘」であることは読みながらわかった。大学生のときに文庫を買った。とてつもないリアリティ(だったか?)というキャッチコピーに惹かれて。内容は忘れてしまった。途中でうんざりしたことだけ覚えている。
 それはともかく、女流作家と担当編集者の関係に瞠目したのだ。これって「OUT」執筆時の桐野夏生と編集者じゃないか。「噂の真相」のゴシップ記事で読んだ覚えがある。
 ついに自分自身の経験をネタにしたのか! 
 とはいえ、その関係が「グロテスク」のように胸に迫ったか、ヒリヒリしたかといえば、それほどでもなかった。夫や子どもたちとの関係、心情がまったく描かれていないんだもの。それが狙いだとしても。


2010/11/23

 「吉田拓郎 終わりなき日々」(田家秀樹/角川書店)

 「豊かなる日々 吉田拓郎 奇跡の復活」(角川文庫)の続編にあたる。
  むしょうに「LIVE'73」が聴きたくなった。


2010/11/26

 「映画が目にしみる 増補完全版」(小林信彦/文春文庫)

 「映画が目にしみる」が文庫になった。単行本が出版されて3年が経ったのだから当然のなりゆきである。驚いたのは「コラムの逆襲」(新潮社)に所収されていた映画に関するコラムが追加されて〈増補完全版〉となっていたことだ。つまり「コラムの逆襲」は新潮文庫に入らなかった。この事実をどう受け取ればいいのだろうか。
 これまで新潮社から出版された小林信彦の単行本は一定期間(3年)後、文庫になっていた。中日新聞の連載が続く限りコラムシリーズは出版されていく。文春の「本音を申せば」シリーズとともに新刊が書店に並ぶのを楽しみにしていたのに。版元が文藝春秋になったのはともかく、装丁ががらりと変わったのにはがっかりしたものだ。
 3段組みの文章は最初読みづらくて仕方なかった。すぐに慣れたけれど。まあ本書も文庫には珍しい2段組みではあるが読み始めるとこれがまるで違和感がなかった。
 単行本は真剣に読んだのだけど、内容についてはすっかり忘れていた。版元や構成の変更ばかり気になっていたということだ。
 小林信彦ファンだけだと部数は決まっている。ファン以外の映画ファンに向けて編まれたのだろう。で、期待どおりに売れたのだろうか?
 改めて読んでみると、クリント・イーストウッド監督作品とニコール・キッドマン主演映画の大絶賛といった感じだ。確かにこの10年のクリント・イーストウッド映画にハズレはない。それは事実ではあるけれど。


2010/11/29

 「話のおもしろい人、ヘタな人」(立川談四楼/PHP研究所)

 ですます調の談四楼節で語る落語界ビハインドはすっと頭に入ってくる。 落語初心者、談四楼本初心者にはもってこいの内容ではないか。


2010/11/30

 「俺の後ろに立つな さいとうたかを劇画一代」(さいとうたかを/新潮社)

 自伝の第1章「原風景」、劇画執筆に触れた第2章「劇画」が興味深かった。第4章「持論」はあくまでも個人の考えなのだから許せるとして、第3章のエッセイは疑問だらけだ。
 石森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫らと同じ世代(「まんが道」に登場する激河大介はさいとうたかをがモデルだと思う)だから、アメリカ映画に影響を受け、〈アメリカ映画=映画〉人間なのは十分すぎるほどわかる。とはいえ、今も昔同様にアメリカ万歳はどうか。
 映画に対する思考が80年代あたりで止まっているような気がしてならない。「インディー・ジョーンズ」シリーズの最新作(第4作)を、過去3作同様に褒められても。また邦画の場合、黒澤明監督作品以外評価していないのも首をかしげたくなる。邦画のつまらなさをホラーを例にあげて説くのだが、ジャパニーズホラーのブームがあったことを知らないのだろうか。「リング」や「女優霊」を観ていないのか?




 昨日は池袋のシネマ・ロサへ。レイトショー「モルモット」鑑賞。
 出演した田口主将さんに誘われた。舞台挨拶もあるとのことで。主演(ヒロイン)は三輪ひとみだが、ある意味田口さん、裏の主演かも。田口さんがアップになる診療室のカットはかなり凝っていたもの。この手のキャラクターは初めてだというが、とてもマッチしていると思う。
 インディーズ映画として観るなら、題材といい、内容といいかなりの面白さだ。病院のセキュリティを突破する方法なんてまったくリアリティはないけれど、インディーズだと許せてしまう。逆にそういう描写をするところがうれしくなったりして。
 プロデュースも兼ねた沖正人氏、吃音のパソコンおたくぶりは面白い(役者やの~!)が、マスターベーションのショットは長すぎ。あれは音楽ギャグ(?)を見せたかったのか。アルコール中毒の妊婦役の女優(桜井ふみ)もいい。
 病院側が施したヒロインの記憶抹消はどうなったのか? ヒロインの犯罪は警察沙汰にならなかったのか? ラスト近くになって???が連続した。青を強調したほとんど照明がない映像は、ひとつの世界を構築していたと思うが、女優さんがかわいそうかも。

          * * *

2010/11/05

 「勝新役者バカ一代」(比留間正明/音羽出版)

 小説ですな。書かれていることは事実なのだろうが、物語に都合よく取り入れられているような気がする。実際時系列的におかしなことがある。


2010/11/08

 「特撮円谷組 ゴジラと、東宝特撮にかけた青春」(洋泉社)

 大トリ(中島春雄)が登場して、長々と続いていた特撮本の出版も終了かと思ったが、こんな企画もあったのか。東宝特撮の黄金時代のスタッフにスポットをあてたのだ。
 塩澤幸登「KUROSAWA 黒澤明と黒澤組 その映画的記憶、映画創造の記録」シリーズ(河出書房新社)の特撮版とでもいうのだろうか。映画はメインスタッフだけで作れるものではない。
 勘違いしていることがあった。あの時代、スタッフはすべて東宝の社員だと思っていた。けっこうアルバイトの身分で参加している人が多いのだ。黄金時代だからこそ、作品に切れ目がなく給料は保証されていたのだが、この事実は意外だった。


2010/11/11

 「ジェネラル・ルージュの凱旋」(海堂尊/宝島社)

 やっと図書館の棚で見つけた。
 桜宮市の東城大学医学部付属病院内(外)で起きた事件を神経内科学の講師で不定愁訴外来の責任者(医師)・田口と厚生労働省の役人・白鳥がコンビを組んで解決するストーリー、ミステリに医学的根拠を持ち込んだところが斬新なんだ。「チームバチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」まではそう思われたのではないか。しかし、シリーズのテーマがそうでないことが本書あたりで明確になっていく。厚生労働省に対する異議申し立てと検視段階でのAIの導入だ。


2010/11/13

 「神様の伴奏者 手塚番13+2」(インタビュー佐藤敏章ビックコミック1編集部/小学館)

 マンガの神様、手塚治虫の担当編集者として数々の名作誕生のフォローを担った13人、及び手塚プロダクション社長と初めて手塚マンガ執筆を手伝った(アシスタント第一号)藤子不二雄A(我孫子素雄)へのインタビュー記事で構成されている。最初の黄金時代、復活のころ、晩年、それぞれの時代の証言は興味深い。
 ちょっとした意思の齟齬、不注意が原因だったとはいえ、手塚治虫を殴った手塚番。「担当を降ろせ」との手塚治虫の要望に対して、「だったらあなたを降ろす」との断を下した編集長の胸の内は?




 三連休最後の昨日、朝のワイドショーで横澤彪の訃報を知った。ああ、やはり癌が再発したのかと落胆したが、肺炎で亡くなったとのこと。
 昨秋、NHKの番組で爆笑問題の二人が横澤さんの自宅を訪問、いろいろトークを繰り広げていた。最後は牧師の衣装を着て、あの懺悔室を再現していた。まだまだ元気じゃないかと喜んでいたのに……。
 「テレビの笑いを変えた男横澤彪かく語りき」(聞き手 塚越孝/扶桑社)の感想でも書いたが、80年代は、できる限り著作を読んだ。
 「THE MANZAI」も「オレたちひょうきん族」も大好きで夢中で見ていた。「笑っていいとも」も始まったばかりのころはけっこう見ていた。ちょうど社会人になりたてのころで、お昼によく利用していた喫茶店で「テレフォンショッキング」を眺めていたものだ。日曜日の「増刊号」は楽しみだった。
 番組への興味はそのまま番組を統率するプロデューサーに直結した。群馬出身、趣味が人間ウォッチングとあって共感すること大だった。群馬出身といっても、単に群馬県で生まれただけなのだが。
 
 年末には高峰秀子が亡くなった。大晦日、神戸に向かう新幹線の中で知った。一瞬驚くが年齢を確認して納得できた。昨年、図書館で借りてきたDVDで初めてきちんと「喜びも悲しみも幾歳月」を観た。で、わかったのだが、プロット、構成が「二十四の瞳」と同じなのだ。不慮の事故で子どもが亡くなるところなんて当時さぞかし観客の涙を誘ったことだろう。時代とともに高峰秀子がきちんと老けていくのはさすがだけれど。

 合掌


 昨日午後は有楽町に出かけた。スバル座で上映している金子修介監督「ばかもの」を鑑賞するためだ。「シネマdeりんりん」のゲストのとき前売券を販売したが、財布の中が寂しかったし、シネコンのレイトショーを押さえればいいと思って購入しなかった。甘い考えだった。どこのシネコンも上映していない。というか東京は2館でしか上映していないのだ。スバル座と新宿シネマート。それも最終回が始まるのが微妙な時間で、平日だと間に合いそうもない。そんなわけで、祝日にでかけたわけなのだが……

 有楽町に着いてすぐにガード下のディスカウントチケット屋へ向かう。「ばかもの」前売券を買おうとしたが、ない。
 2軒めのチケット屋にはレンタル券(?)があった。レンタル券とは何か? こういうことだ。ある時期から単独での株主優待券が使用不可になった。バラのままだと無効なのである。あくまでも綴りのまま劇場窓口に持っていかなければ利用できない。この処置に対抗するためレンタル制を導入したのだ。「ばかもの」でいえば、スバル座の株主優待券をセットでまず客に販売する。客が劇場で1枚利用したのち、残りをお店に持ち帰れば買い取るというもの。優待券は1枚1,500円、優待券のセット価格は6,000円、鑑賞後に4,500円で買い取るという(優待券が使用されるたびに全額の料金はその分安くなっていくのだろう、たぶん)
 定価(1,800円)で映画を観ない主義の僕は、直ちに利用しようとするが、悲しいかな財布に5,000札一枚しかなかった。

 3軒めにもなくて、結局、公開されたばかりの「アンストッパブル」の前売券を購入してTOHOシネマズで鑑賞した。前半が手に汗握る。クライマックス以降はちょっと興ざめ。

 ちなみに「ばかもの」は15日以降19時からの夜一回だけの上映になる。これなら平日に鑑賞できる。
 



 なんだかんだ言いながら、年末年始はTV三昧だった。神戸に行っていた大晦日と元旦をのぞいて。
 神戸から帰ってきた元旦の夜は「相棒 元旦スペシャル」。薬で汚れた野球帽を買い取り販売するリサイクル店ってあるのだろうか? そこがどうにも気になった。
 2日は「痛快!ビッグダディ」だ。早朝から午後まで何時間放送していたのか。第一回めから直近の回までをまとめた総集編。遅く起きてTVのスイッチをつけたら放送していたのであわてて見はじめた次第。前回の見逃した分はちゃんとチェックできた。離婚は回避したんだね。途中で買い物に出かけたかみサンが帰ってきて呆れていた。「まだ見ているの?」

 それにしてもテレビ朝日の「相棒 劇場版2」一色ぶりにはうんざりだ。元旦スペシャルとともに2日目も以降午後「相棒」の2時間スペシャルを楽しんだのだが、CMがもう劇場版のスポットばかりなんだから。

 昨日は日本テレビ「仮装大賞」&「はじめておつかい」を見ていた。「はじめてのおつかい」はもう何年も前から涙なくしては見られなくなった。

     ◇

 ●はじめてのおつかい わが娘編 2006/07/17

 日本テレビのスペシャル番組「はじめてのおつかい」。
 この企画が始まったのは「追跡」という情報番組だった。月曜日から金曜日までの帯番組。司会は青島幸夫と高見知佳。
 数々の企画の中でも「はじめてのおつかい」は人気シリーズで、番組終了後もスペシャルとして毎年定期的に放送されている。
 そのころから「はじめてのおつかい」は大好きで欠かさず見ていたような。時間があえばチャンネルを合わせているが、最近は涙なくしては見られなくなった。
 今日は芸能界を引退した高見知佳が3歳の男の子の母親として登場してきたので驚いた。

 わが家の娘がはじめておつかいをしたのが2歳だった。近くのコンビニで雑誌「オレンジクラブ」を買ってくるというもの。〈はじめてのおつかい〉デビューだ。
 マンションの8階から階段で降りて(ある年齢に達するまで一人でエレベーターに乗せなかった)、エントランスを出て左、すぐ大きな通りがあるからそれを右折してまっすぐ百メートルくらい行くと、ファミリーマートがある。
 娘が玄関を出てから、ほんの数十秒、僕が後を追いかけた。何しろ一人で外を歩かせたことなんてない。心配でたまらない。と同時に一人で買い物する姿をこの目で確かめたいという気持ちも。
 コンビニに行くまでは距離を取りながら、うしろを振り返りそうになるとあわてて木陰に身を隠す。まるで探偵になった気分。
 コンビニに入ってからが大変だった。何しろ中に入れない。かといって入口で中の様子をうかがうこともできない。電柱の陰でじっと我慢。「オレンジクラブ」を手にして出てきたときの感激といったらなかった。
 たぶん、この経験から「はじめてのおつかい」に対する見方が変わったのだと思う。

     ◇


 【追記】

 「痛快! ビッグダディ」はお正月2日目でした。なぜ年末と思ったのだろう。お詫びするとともに文章を訂正します。




 昨日は夕方から新宿に出た。18時30分から「サムライシアター新宿」支配人K氏の50歳バースデイ・パーティ。ちょっと早い「シネマdeりんりん」の新年会か。K氏と親交が深い監督さんたちも参加していた。年末にDVDで観た「ほっこまい高松純情シネマ」の高嶋弘監督がいらっしゃっていたので、感想をひとつ、ふたつ。
「よくあれだけ当時の小道具をあつめられましたねぇ」
 例としてブースカの人形をあげると、高嶋監督が驚いていた。「初めてだよ、ブースカに触れた感想は」「なんでわかったの? 別にアップで撮っていないのに」
 エヘへへ。

          * * *

 昨年週刊文春の特別企画で「我が青春の女優ベスト50」という記事があった。驚いたのはベスト50に原田美枝子の名前がなかったことだ。70年代から80年代にかけての原田美枝子の存在って、そんなものだったのか? 2000人のアンケート結果だから仕方ないとはいえ、単に今が旬というだけで選出されている女優がいるんだもの。なんだかなあ。腹が立って記事は読まなかった。
 自分にとっての「我が青春の女優」、それが日本女優なら、だんぜん原田美枝子だ。

 出会いは1976年の10月だった。その前から「恋は緑の風の中」のヒロインを演じていて名前は知っていたのだが、映画を観ていなかった。

    ◇

 1976/10/03

 映画を見てくる。
 「球形の荒野」「やさぐれ刑事」「大地の子守歌」の3本。
 メインは「大地の子守歌」 何か頭にぶつけられた感動だった。原田美枝子がとてもいいんだな。ちゃんと物語の中に存在しているんだ。十代の、女優と呼ばれる人が他にもいるが、僕はこの人が好きだ。宣伝用のために脱ぐ(脱がされる)人はきらいだが、この「大地の子守歌」みたいだったらうれしい。
 自分しか信じないという少女の姿が最初は何となくイヤな気にもなったが最後にはたいへんわかった気もする。盲目になってそれでもなお人には知られまいとするその“おりん”の姿、牧師に助けられたおりんがそのおれいにと自分の体を与えようとする――それは今までの女郎としての自分ではなく――姿。涙がとどめもなくでてくるような映画ではないだろうが、しかし感動した。2、3日は忘れられないだろう。

    ◇

 1976/10/04

 忘れられないね、やっぱり。
 小学校の頃見た「小さな恋のメロディ」や中学の時の「ロミオとジュリエット」「フレンズ」などの感動そのままという感じ。あの頃と感じかたは違うと思うけど。
 トレーシー・ハイドやオリビア・ハッセー、アニセー・アルビナが浮かんでくるのと同じように頭には原田美枝子の姿がうつっている。
 こういう感動は何年ぶりだろうか。ひさしぶりだ。もう一度見たい。ぜひとも見たい。

    ◇




 娘が寮生活に入る、その引越しについてはまた項を改めてとしたが、特に書くことはなかった。
 昨年の正月に話し合って、4年になったら、一人暮らししたい、アパートを探すということで落ち着いた。そんなところに大学の寮を取り壊し、新築される情報が入ってきた。本来なら新入生のみ対象なのだが、初年度ということで新入生以外も入れるというのだ。
 つまりこういうこと。
 寮は一度に新入生を入れるわけではなく、部屋の半分を今年、1年後にもう半分を貸す。期間は2年。
 ということは今年部屋の半分は空いてしまうということだ。そんなのはもったいない。で、1年間だけ上級生に使ってもらおう、というわけである。
 自宅は近いし、申し込んでも無理との気持ちもあったが、面接時の「自分の部屋がない」アピールが効いたらしい。
 一人暮らしにはとんでもなく素敵な部屋である。

 フジテレビの「そっくりものまね! 紅白歌合戦スペシャル」、松本邦弘演じるたけし(北野武)のクリソツぶりに驚愕!
 下倉監督、高橋監督、ともにインディーズ映画の上映会で知り合った。ともに大怪我して生死の境をさまよった経験がある。
 
          * * *

 ●TAKESHI 2007/09/27

 「笑学百科」という本があった。著者は小林信彦。漫才ブームの終焉時に夕刊フジに連載された笑いや芸人に関するコラムをまとめたものだ。この中で、萩本欽一の漫才ブームに触れた至言を紹介していた。曰く「ブームがいつまで続くなんてことはどうでもいい。問題はそのあと」「そのあと日本人の笑いってものが変わってくると思うんです」。
 予言は当たって、その笑いの変質が本人を直撃したことは皮肉というか何というか。

 また、始まったばかりのビートたけしの「オールナイトニッポン」がいかに面白いか、3回にもわたって紹介していた。
 この深夜放送は、(大学の)サークルの後輩たちが放送のあった翌日に部室で話題にしていたところから興味を持った。実際に聴いてみると、そのあまりの早口で最初は内容を理解することができなかった。慣れてくると完全にはまってしまうのだが。

 一度だけビートたけしと話をしたことがある。話というほどのものではないか。ツービートがブレイクするちょっと前のこと。1980年の春だったと思う。
 あるイベント(スキー旅行)がきっかけでTV東京(当時はまだ東京12チャンネルだったか?)の番組に出演することになった。日曜お昼に放送されていたバラエティの1コーナーだった。素人の男性が歩行者天国に散らばって一定時間の内に女の子をナンパし、その優劣を競うというもの。一位になったペアへの賞品が確か時計だった。スキー旅行で知り合った主催者がこの番組のブレーンで、人が足りないから出演して、ということになったのだ。

 司会は愛川欽也。男5人はキンキンにうながされて自己紹介したあと、歩行者天国に繰り出した。後でどうして仕込みしておかなかったのか悔やんだのだが、真面目な僕は本当に見知らぬ女性に声をかけ、何度も断られながら、どうにか時間内に女性を連れ帰ることに成功した(当然賞品はゲットできず)。このときスタジオとなったビル(アルタだったのだろうか?)の階段ですれ違ったのが番組のレギュラーだったツービートの一人、ビートたけし。
「何やってんの?」
 これこれこういうコーナーでこんなことやっているんです、と説明すると、首をカクカクさせながら「くだらねえことやってやがんな」

 閑話休題。
 
 欽ちゃんバッシングの急先鋒がビートたけしだったわけだが、数々の物言いは悪口芸の一つだったのかもしれない。
 ビートたけしも一時続け様に批判されたことがある。最初が小林信彦だった。続いて泉麻人。批判の輪が急速に広がっていく中であのバイク事故が起きた。僕にはそう感じられてすごいショックだった。
 本来ならあの事故でビートたけしは死んでいたのではないかと思っている。破滅型毒舌芸人という括られ方で後世に名を残したのではないかと。

 ところがである。顔面麻痺という症状が残ったものの短期間で回復、復帰後は役者のほか、映画(監督)の才能を開花させ現在に至っている。
 神様によって生かされたのはないかと、半ば本気で信じている。北野映画にはそれほど興味はないのだが、日本映画を代表する一つの顔となったことは確かなのだから。
 
 下倉〈日曜映画〉監督や高橋〈B級映画〉監督も、同じ神様の力が働いたのではないか?




 寒中お見舞い申し上げます。
 昨年3月義父が逝去(享年78)したため、新年の挨拶を失礼させていただきました。

 母のときと同じように、喪中ハガキは出さず、寒中見舞いで対応。本日発送した。

 正月は帰省もせず、ずっと家にいた。
 いや、4日は外出した。今年大学4年になる娘が寮生活を始めるので、クルマを借りて荷物を運んだ。川口からさいたま(旧浦和)なので、6時間あれば3往復はできる、それで終了と思いきや、足りなくなって2時間延長。家電の買い物もあったりしてもう1時間。9時間使い切った。クルマ返却後、鮨屋で乾杯。家族3人の外食は久しぶりだ。
 この件については項を改めて。

          * * *

 大晦日、紙ふうせん企画のカウントダウンライブがあった。場所は神戸の〈JAZZ&COFFEE JamJam〉。昨年5月にシークレットライブが行われたジャズ喫茶だ。開演が21時だから、日中(11時40分東京駅八重洲口発)のハイウェイバスを利用することにした。料金は6,000円。なるべく交通費を浮かしたいという魂胆だ。19時30分に大阪に到着予定。そこからJRで元町まで一本で行ける。開演時間には十分間に合う。

 11時に東京駅に着いて、まず駅構内で昼食の弁当を買った。まい泉のとんかつ弁当。外に出てから500mlのビール。カキPは前日に買ってある。
 席は2階の一番後ろ、3列ある席の一番右の窓際だ。残りの2席に同世代の男女(夫婦?)が座った。
 バスは定時に出発した。

 首都高はかなり渋滞していた。12時を過ぎたのを確認して弁当を取り出す。渋滞は東名に入ってもなおも続く。おいおい、ちゃんと時間どおりに大阪に着くのかいな。心配しても仕方ない。昼食のあとはビールを呑みながら読書にいそしんだ。いつのまにかバスは普通に走っている。

 14時、最初の休憩所に到着した。ごみを捨てトイレに寄ってからバスに戻る。20分の休憩ということだったが、時間になっても出発しない。
 やがて係員がやってきて、乗客にこう告げた。
「この先、降雪のため通行止めとなっております。復旧の見通しがつかないため、このまま東京駅に戻ることにしました」
 何だって!
 そういえば、天気予報では関西地方に雪のマークがついていたような気がする。それにしたって、出発前にわからなかったのか。昼頃に雪が降り出して、2時間あまりで通行止め。どれだけの降雪なのか。まったく、もう!
「東京駅に到着するのは何時になりますか?」
 係員に訊くと歯切れが悪い。「道が混んでいますからねぇ、18時前後でしょうか」
 冗談じゃない、それから新幹線に乗ったら、ライブ開始に間に合わなくなってしまう。
 FJ'Sライブに引き続き、jamjamカウントダウンライブも諦めろというのか。泣きたくなった。

 バスは御殿場でUターン。一般道で信号待ちしていたときの看板に「小田原」の表示が見えた。緊急を要する人は小田原駅で降ろすという選択肢があってもいいのに。
 とにかく早く新幹線に乗りたい。17時台だったら単純計算でなんとか開演時間に間に合いそうなので。

 幸運なことにバスは17時過ぎに東京駅に到着した。料金の払い戻しは明日以降でも可能と聞いて、新幹線の切符売り場に直行した。17時台ならなんとか開演に間に合う……
 とんでもなく長い行列に面食らった。
 思えば、年末、それも大晦日の東京駅の混雑ぶりなんて見たことがなかった。だいたいこの日は、年始の買出しで地元川口そごうの地下の食品売場に行くくらい。
 新幹線の切符売場も、いつもなら待つとして一人か二人。それがどうだ、人人人の列。自分の番が来るまでどのくらい待てばいいのか……

 窓口も全開にしているためか、かなり早く自分の番が来た。17時50分博多行き〈のぞみ59号〉、新神戸までの指定席が購入できた。これだと新神戸に20時41分に着く。そこから地下鉄で三ノ宮、JRに乗り換えて一つ目の元町。何とか間に合いそうだ。遅れたとしても10分程度か。
 発車してからアナウンスが流れた。「米原近辺は雪のため徐行運転を行っています。このため、10分ほどの遅れが生じています」
 結局、20分弱の遅れで新神戸に到着した。ホームを走り、階段を走り、地下鉄へ。三ノ宮でも走ってJRのホームへ。

 21時25分元町駅着。駅前は静かだった。通りを抜けて〈JAZZ&COFFEE JamJam〉に向かう。
 看板が見えてきた。ああ、やっと着いた。安堵のため息をひとつ。地下に降りる。ドアを開けた。受付のNマネージャーが笑顔で迎えてくれた。中では後藤さんがHaruを紹介しているところだ。後藤さんが僕に気づく。
「たった今、東京からお客さんがやってきてくれました」
 拍手喝采……

 30分の遅刻で、ライブに参加できた。
 めでたし、めでたし。



プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
私家本「僕たちの赤い鳥ものがたり」
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」

神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。遊びにきてください。

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