いや、きちんとしたレビューを書こうと思って、短い感想も記していなかったのだが、何せ忙しくて後廻しにしていたらすっかり忘れてしまった。なんという体たらく。

 今年のGW、監督がケネス・ブラナーなので劇場で押えようと思っていた「シンデレラ」。地元シネコンは吹替版だし、別の劇場では時間が合わず、で願い叶わず、やっとDVD(ブルーレイ)を借りて9日(月)に観た。たいしたことなかった。

 春、夏に観たTVドラマのこと、円谷劇場の「怪奇大作戦」のこと、書き忘れていることがいっぱいある。

     ◇

 船堀映画祭の2日め。シネパル1の最終上映は「グランド・ブダペスト・ホテル」。上映前に簡単なトークショーがあった。急遽決まったもので、植草信和(元キネマ旬報編集長)さんと二井康雄(元暮らしの手帖副編集長)さんというシネマDEりんりんの顧問の二人が、映画の見どころを語るというもの。
 
 上映前、二人はロビーで待機していた。
 僕がそばに行くと植草さんに訊かれた。
「『バクマン。』観た?」
「観ました」
 と僕が答えると
「あれ、面白いよねぇ、傑作だよ」
 思わず「でしょう!」と破顔した。
「日本映画で久しぶりに興奮したよ」
「マンガ執筆がきちんとアクションとして映像化されているんですよね」
「根底にはトキワ荘の精神があるし」
「漫画家たちの切磋琢磨した姿を描いた『トキワ荘の青春』が静だとすると、『バクマン。』は動の映画ですよね」
「あのペンがケント紙の上をカリカリ音をたてて動くところが気持ちいい」
「エンディングクレジットが凝っているでしょう」
 そこに二井さんが訊いてきた。
「どんな風に?」
「主人公のアトリエの本棚にジャンプコミックスが並んでいるですけど、タイトルと作者名がスタッフクレジットになっているんです」

 たとえば、タイトルが「男一匹ガキ制作」、作者が市川南とか。そんな調子でかつてのジャンプコミックスの名作(のもじり)がずらっと並んでいて、作者名がそれぞれスタッフの名前。そんなコミックスをカメラがなめていく。かつてのマンガ少年だったら、かなりニヤニヤできる仕組みになっている。あのクレジットだけでももう一度観たいという気持ちにさせてくれる。

 ちなみに僕がジャンプに夢中になったときのマンガは「ハレンチ学園」「父の魂」「ワースト」「トイレット博士」等々、「男一匹ガキ大将」はあまり興味なかった。「男の条件」のコミックスは持っていた。上下2巻の上だけだけど。

 それはさておき、主人公(原作担当とマンガ担当の二人)とライバルたちの関係って、植草さんが指摘したようにトキワ荘の住人たちとダブる。藤子不二雄(2人で一人)、寺田ヒロオ、石森章太郎、赤塚不二夫、つのだじろう……。実際、劇中、ライバルたちが、主人公たちのマンガ執筆を手伝うシーンで、年長の漫画家が「ぼく、寺さんね」と言うところがある。一人受けた。
 そうか、「バクマン。」って、平成の時代の、あるいは21世紀の「まんが道」なのか!

 現代的だなと思うのは、ストーリー担当が文字ではなく、いわゆるネーム(簡単なコマ割りをして台詞が入ったラフな下書きみたいなもの)を作るというところ。昭和の時代だったら、原稿用紙にシナリオ風に書かれたストーリーをマンガ家がマンガにするというのが王道だった。

 マンガ「バクマン。」は読んだことはなかったが、アニメ「バクマン。」は毎週土曜日のお楽しみだった。
 劇中に登場する集英社や少年ジャンプが架空の名称になっているところが興ざめだったが、放送局がNHKなら仕方ないか。
 映画ではそこが解消されていて、ちゃんと実名になっている。
 編集部の廊下がかなり異様で、壁じゅうにマンガ関連のポスター等が貼られている。いくらなんでもやりすぎなセットだろうなんて毒づいていたら、本物を使っての撮影だとか。驚いた。

 10月12日(月・体育の日)に地元シネコンにて観賞。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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