17日(火)は、ヒューマントラストシネマ有楽町にて「サヨナラの代わりに」を観賞。

 小腹がすいていたので、駅前のファミマでおにぎりとファミチキを買って、劇場へ。
 チケットを購入して入口のところにある長椅子に座ろうとすると、シネりんのHさんがいるではないか。Hさんと隣の人との間に一人分のスペースが空いていた。
 Hさんはうつむき加減で映画のフライヤーを見ている。声をかけた。
「すいません、(ここに)座っていいですか?」
「いいですよ」
 別にこちらを見るでもなく応え、少しして顏を持ち上げた。その驚いた顔が愉快だ。

「どうしたの?」
「映画観に来たんですよ」
「だよね。今日は会員1,000円で観られるんだもん。作品は?」
「『サヨナラの代わりに』」
「やっぱり」
「Hさんも?」
「そう」

 時間が来て、中に入ったら、HさんはD列、僕はE列。それもHさんは斜め前の位置。いやはや、こんな偶然もあるんだな。
 
 この劇場には2つスクリーンがあって、今回は小さなホールの方。あまり前過ぎないようにと真ん中あたりのE列を選択したのだが、上映前にすべての席が埋まってしまった。両隣りは中年男性。終盤からこの男たちが涙、涙。もちろん僕自身も含んで。お恥ずかしい。
 あのピアノのショット……
 場内が明るくなってHさんと目を合わせた。「いい目の汗かいたねぇ」

 映画が始まってわかるのだが原題は「You're Not You」。直訳すれば〈あなたはあなたじゃない〉。何か面白くないタイトルだなと思った。ところがエンディングをむかえてもう一度タイトルがでると、その意味するところがわかってグッとくる。
 ああ、これって、介助人の女子大生(エミー・ロッサム)がALS患者(ヒラリー・スワンク)に言われた言葉なのかと膝を打ったのだ。この映画を観た方の某ブログには「You're Not You」とは「You which look like are not you which want to be looked.」であり、周囲から見られる姿と自分がありたい姿の相違を意味していると書いていた。
 確かに、劇中で二人がそんなことを話し合うくだりがある。

 そこで頭をよぎったことは、若いころ、よくやった性格テスト遊びである。
 好きな動物を3つ挙げさせてから、その意味することを説明するのだ。
 僕が試されたのはバイト先だったか、今ではもうどこで訊かれたのか忘れてしまった。その質問に僕はこう答えた。
「1、犬 2、亀 3、猫」

 相手は、ニヤリとして説明してくれる。
 最初の動物があなたが思うあなた
 2つめの動物が、まわりから思われているあなた
 最後の動物が、本当のあなた

 それはともかく。
 ラストのタイトルを含め、ステージで歌う姿を見ながらこの映画の真のヒロインは女子大生だったんだと思い知らされる。そして観客に問いかけてくるのだ。
 あなたは自分自身がのぞんでいるあなたなのか?

 ヒラリー・スワンクは全身で演技している。
 彼女がシャワールームで見せる背中。胸椎が脆さと孤独感を醸し出している。
 得意のピアノを弾こうとして右手が震えるショット。その震え方が見事だった。さすがアカデミー賞女優だと思った。

 のだが、エンディングロールにVFXの文字が確認できた。もしかして?
 



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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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