埼京線・王子駅の近くにシネマカフェSOTOがあることを今回の「洗濯機は俺にまかせろ」上映会+トークショーで知った。35ミリのプロジェクターを完備していて、フィルム上映できるという。キャパは約50名。ライブも可能だとのこと。

 ライブと聞いてピンときた。もしかしてそれって篠原演芸場のそばにある喫茶店ではないか?
 以前、篠原演芸場の場所を確認するため、京浜東北線の東十条駅で降りて行ったことがある。手前にライブや芝居のポスターがたくさん貼ってある喫茶店(レストラン?)があったのだ。

 「編集よもやま話 第5回」の懇親会時に、このイベント(上映会+トークショー)のチラシを配付して宣伝していたカメラマンの上野さんに訊ねると、いやいや、篠原演芸場側ではなく、反対側のロータリーに面してミスタードーナッツがあって、その隣ビルの地下だと教えられた。
 篠原演芸場のすぐ先が十条駅だった。何のことはない、十条駅に行くのに、わざわざ赤羽で乗り換えていくことはない。東十条から歩いて行けるのだ。定期券があるから切符を買う必要もないし。

 トークショーのゲストは、上野さんに篠原監督、それから富田靖子さん。
 前々日に予約で満杯になったのは当然という気がする。

 とにかく、すでに締切の状況で電話して何とか席が確保できたこと(確保していただいたこと)に感謝したい。

 11月23日(月)は勤労感謝の日。
 受付は16時半から。マスターからは45分ごろにきてくださいと言われていた。
 実際に到着したのは16時前だった。ミスタードーナツで読書して時間をつぶし、40分になったところで移動。階段には列ができていた。
 なかなか素敵なスペースではないですか。

 篠原哲雄監督というと必ず「月とキャベツ」と「洗濯機は俺にまかせろ」がでてくる。観賞したくてもレンタルビデオ店の棚で見かけたことがない。
 昔だったら、名画座をあたればどこかで上映する機会にぶつかるのだろうが、今は無理というもの。だかこそこういう上映会はありがたい。関係者のトークショーがセットになっているのだから、通常の映画館に比べ少々入場料が高くても文句が言える筋合いではない。

 主人公はプロのマンガ家を目指して中古電気店で働いている青年(筒井道隆)。洗濯機の修理が巧い。タイトルはここに由来する。道を挟んだ向かいにはパン屋があって、そこで働いている女の子が気になっている。そんなところへ、電気店の娘(富田靖子)が出戻ってくる。青年にとってこの年上女性はパン屋の娘以上に気になる存在だ。しかし、出戻り娘には電気店の元店員(小林薫)と何やら関係があるような……というよくあるパターンの青春映画。
 とはいえ、そこは篠原監督、ごくごく当たり前の物語をごくごく普通に撮りながら、それでいて映画世界にのめり込ませてくれる。

 シナリオ(松岡周作)がよく出来ている。シーンごとに笑わせたり、ニヤニヤさせてくれたり。セリフや展開がよく練られているのだ。
 原作は短編だというから、脚色が巧いということだろう。

 主人公が洗濯機を修理するシーンは職人フェチの心を刺激する。
 今ごろ気がついた。自分が職人フェチになったのは父親の影響だと。うちは電機店で、父は毎日のように居間でTV等の修理をしていた。父が修理しているところを見るのが大好きだった。最初はそばでまとわりついて部品等触っていたりしていた。ある日感電して、以後絶対触らないようになった。

 当時、日曜日の朝、確かNETテレビ(現テレビ朝日)だったと思うが、美術関連の番組を放送していた。染物とかしているシーンにうっとり。自分でやりたいとは思うわない、あくまでも他人がしているところを見るのが好きなのだ。
 レンタカーを借りたとき、運転する前に、ボディの傷をチェックして用紙に書き込む姿もうっとりしてしまうのだから。職人フェチとはそういうものです。

 閑話休題。
 瞠目したのは筒井道隆と富田靖子のベッドシーンだ。全裸でフトンに寝そべっている女性が、下着姿の男を迎え入れるという画になっている。
 公開された1999年、富田靖子は「さびしんぼう」や「BUSU」でアイドル的な人気女優になっていた。
 若い女優、それも人気者のベッドシーンの場合、よくあるのが、女性が下着姿で布団をかぶっていて、男性は裸というものだ。
 シチュエーションを考えれば、絶対ありえない画づらなので、目にするたびに舌打ちしていた。それがこの映画では逆になっている。実際はどうなのかは知らないが、富田靖子は全裸なのである。

 女性の方から誘われてのベッドインだから当然の流れなのだが、いつのころからか、とりあえず人気女優のベッドシーン的な画を挿入しておけば、客は喜ぶだろうというスタッフの狙いが透けて見える作品が増えた。
 大学生の8㎜自主映画じゃないんだからさ。こんな画なら最初からベッドシーンなんて設定しなければいい。いつも思っていた。

 Tシャツ、パンツ姿の筒井道隆が富田靖子が全裸で寝ているフトンにもぐり込むショット。立っている筒井道隆はうしろ姿なのだが、もう絶対息子くんはビンビンだ。それを見た富田靖子が笑うカットがあればよかったのに。

 それにしても、「さあこれからセックス!」というときに拒否されてしまうのは、男としてどうすればいいのか。たまらないよ、まったく。「僕たちの赤い鳥ものがたり」にも同じシチュエーションが出てくる。ニヤニヤしてしまった。


 映画上映後、会場は20分の休憩の間に、トークショーのセッティングへ様変わり。
 上手から撮影の上野さん、富田さん、篠原監督。
 当時の思い出話が次から次へ出てくる出てくる。
 それにしても、富田靖子さん、昔と全然変わっていない。

 昔、20代のころ、CM制作会社に勤めていた時期がある。
 上野さんにしても篠原監督にしても大学時代自主映画を撮っていて、その流れで映画界に入ったのだと思う(シネりんや「編集よもやま話」の二次会で何度か話している)。
 同様に自主映画のサークルで活動していた僕も映画の世界で働きたかったが、同じ35㎜フィルムを使用するCM業界に進んだのだった。

 長くなりそうだ。

 この項続く
 



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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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