午前中に書店から電話あって「フリースタイル30」が入荷されたと。
 お昼に飛んで行った。
 手に入れたぞ!

 こんな小さな雑誌だったのか。
 なぜかB5版あるいはそれ以上の判型を予想していた。
 さっそくメインの記事「小林信彦さんに会いに行く」から読み始める。インタビュアーは亀和田武。

 小林信彦コレクション第一弾「極東セレナーデ」は12月中に発売されるらしい。
 また、第二弾は「唐獅子株式会社(全)」とのこと。

 夕景工房からの小林信彦本レビュー転載は今回で終了です。


     ◇

2008/02/26

 「別冊新評 小林信彦の世界」(新評社)

 その昔(小学生のころ)、購入しなかったことで大いに後悔している単行本が何冊かある。
 手塚治虫の「マンガ専科(初級編)」(虫プロ商事)、藤子不二雄の「まんが道」(秋田書店)。書店で立ち読みしているのに、財布の中が寂しかったこともあって、そのまま棚に戻してしまった。そしていつのまにか絶版。後で探したがどこにもなかった。
 「まんが道」は、少年画報社から出たコミックスに収録され、「マンガ専科(初級編)」は、講談社の手塚治虫全集「まんが専科」となって出版されたので、手に入れることができた。とはいえ、やはり少年時代に手にとって目を輝かせた本を手元に置いておきたかったという気持ちは強い。

 「別冊新評 小林信彦の世界」(新評社)もそうだった。もう社会人になって、笹塚(住所は中野区南台)のアパートに住んでいたころだ。駅前の古書店で見つけたのだが、その場で買うことをせず、後で行ったらもうなかった。以来20年ちょっと、見つけることができなかった。今、あったとしてもかなり高額になっているはずである。実際ネットオークションでは定価780円のこの本(雑誌)に4、5千円の値がついている。

 それが! 偶然見つけたのだ。先週の金曜日、地方古書店のネット販売で。もちろんこれまでだってネット販売は何度か見かけているが、驚いたのはその価格。何と1,000円! 送料、振込み手数料を入れても2,000円かからない。PCの前で鼓動が聞こえてきました。すぐにメールをして在庫があるか確認した。ありますよとの返信。週明けに振込み。郵パックには到着時間の指定があって、家に家族がいる最終時間帯(19~21時)にした。

 発送しましたのメールが来て、到着日、わくわくしながら帰宅すると、ドアの間に紙が挟まっていた。「郵便物お預かりのお知らせ」。我が家はチャイムが壊れている。修理したいのだが、かみサンはその必要なしとそのままの状態でウン年過ぎた。宅配便などはチャイムを押して反応がないとドアを叩くが、郵便物などはそのままUターンしてしまう場合が多いのだ。案の定、確認すると家にいたという。

 翌朝、さっそく電話して再送してもらうことにする。「午前中に配達できますが」と言われたが、外出のおそれがあったので、また同様の時間帯を指定しておいた。
 帰宅して、開口一番「郵パック来た?」
 かみサンも娘も「?」
「昨日、言っておいたじゃないか、夜の7時過ぎに来るって」
「あ~!」娘が一声。「忘れてた。その時間、外出していて……」
 今朝、また電話。昼過ぎに来てもらうことにする。
 二度あることは三度あるか、それとも三度目の正直でちゃんと配達されるか。
 その結果は?

 デヘヘヘ、来ましたよ、やっと。
 目次見て舌なめずり……。ファンならわかってくれるだろう、この気持ち。

 70年代から80年代にかけて、書店でよくこの「別冊新評 ~の世界」を見かけた。この雑誌で取り上げられたら一流、的な印象があった。今なら誰が研究されるだろう。何人かの著名人を思い浮かべてみる。そういえば最近別冊新評みかけなくなったなあ。というか新評社そのものが今ないのではないか?
 本書を読みながら、かつて似た本を同じようにワクワクしながらページを繰ったことを思い出した。「小林信彦の仕事」(弓立社)である。それで得心した。「小林信彦の仕事」は「小林信彦の世界」の続編的体裁を持っていたのだ。だから第二期だったのか。


2008/03/16

 「映画を夢みて」(小林信彦/ちくま文庫)

 昨年、荻窪で開催された某ライブに行ったとき、途中の古書店で見つけた。
単行本は持ってるし、その単行本の元になった「われわれはなぜ映画館にいるのか」も信じられないような安価で手に入れた。
 にもかかわらず、迷わず購入。しばらくして気がついた。文庫がでたとき真っ先に買っていたのだ。

 高校時代、昼休みはいつも図書館に入り浸っていた。そのときいつも読んでいたのが「われわれはなぜ映画館にいるのか」(晶文社)で、「和製B級映画はどう作られるか」に注目した。
 著者がシナリオを書いた映画「進め!ジャガーズ 敵前上陸」の、企画段階から完成までのゴタゴタを綴っているのだが、その迷走ぶりが第三者にとってはとても面白かった。
 スパイダースが主演するGS映画が、井上順の単独主演になり、相手役の女優が会社の意向で変更させられそうになって、おまけにできあがったプロットに上層部から難癖つけられる…もうふんだりけったり。斜陽と叫ばれはじめた邦画の一断面を垣間見せてくれる。


2008/03/29

 「裏表忠臣蔵」(小林信彦/文春文庫)

 図書館から借りた単行本で一度読んでいる。その後、またむしょうに読みたくなって、古書店で新潮文庫版を見つけて2度目の読書。にもかかわらずブックオフに文春文庫版が100円で出ていたので買ってしまった。これで3度目。
 資料に基づき、一部フィクションを交えつつ冷静な筆致で綴る反忠臣蔵。確かに赤穂事件(松の廊下の刃傷と討ち入り)は吉良側から見れば、まことに不可解な出来事なのだ。
 隠しギャグも効いている。


2008/04/24

 「映画×東京とっておき雑学ノート 本音を申せば」(小林信彦/文藝春秋)

 昨年、週刊文春に連載された「本音を申せば」が単行本になった。
 前2作が〈昭和〉の文字を使った書名(「昭和のまぼろし」「昭和が遠くなって」)だったので、当然今回もと思っていたら、若い読者を意識したものになっていた。映画と東京についての記述が多いとの理由からだそうだが、映画への言及が増えたのは、中日新聞に連載していたコラムが終了したのが要因だと思う。
 とはいえ、本書の中で語る映画の本数はこれまでとさほど変わっているとは思えない。

 今年は「うらなり」の菊池寛賞受賞パーティーではじまる。映画は「ドリームガールズ」「ロッキー・ザ・ファイナル」のほか、アカデミー賞の結果、スタージェス映画……。それから、東京喜劇、これまでも何度か取り上げている伊集院のラジオ番組「日曜日の秘密基地」。3月で終了してしまったのが残念だ。亡くなった青島幸男、植木等。

 最近の泣かせの映画に関しての見解はまったく同じ。
 もう予告編から〈泣かせ〉が強調されていて、僕自身はまるで興味がなかった「涙そうそう」。小林氏は長澤まさみの主演なので観るわけだ。で、こう書いている。
     ▽
 ぼくは、といえば、〈泣かせてやろう〉と畳みかけてくると、〈おいおい〉と笑ってしまうほうだ。
 映画「涙そうそう」のラストで兄が死ぬ。それだけで、その死への妹の悲しみは想像されるはずである。
 ところが、作り手は、観客を信用していないらしい。
 (略)
 もっとも、日本の観客のレベルはその程度だと考えているのだとしたら、それはそれで一つの見識である。つけ加えれば、〈テレビに慣らされてしまった日本の観客〉はそんなものかも知れないのである。ぼくの方が、変っているのだろうか。
     △
 ほんと、孤独感じるときありますからねぇ。

 映画(ドラマ)の何気ないところで泣くという点もよく似ている。こういうところが、長年のファンでいられる要因なのかもしれない。作家しても俳優にしてもミュージシャンにしても。


2008/04/26

 「本音を申せば」(小林信彦/文春文庫)

 小林信彦が週刊文春に連載している「本音を申せば」の昨年度分が単行本になる4月は、3年前の単行本が文庫化される時期でもある。


2008/05/26

 「おかしな男 渥美清」(小林信彦/新潮文庫)

 「渥美清 浅草・話芸・寅さん」でかなり引用されていた。そうなるとどうしたって、原典をあたりたくなる。3回目の読書。単行本がでたとき何かしらの賞を獲るとのではを思った。ある映画評論家が「藤山寛美とその時代」「天才伝説横山やすし」等を評して私小説だと書いていたが、本書を読んで得心した。 


2008/07/11

 「紳士同盟」(小林信彦/扶桑社文庫)

 長らく絶版のコン・ゲーム小説の傑作が扶桑社文庫で復刊された。
 それにしても時代だなあと思ってしまう。2インチのビデオテープだもの! TV局を舞台にした詐欺は、これまた時代を反映している。当時のTV局は入ろうと思えば誰でも入れた。セキュリティなんてあってないようなもの。
 理不尽な理由でTV局を馘首されてしまう主人公。この理不尽さの元ネタって、久世光彦だろうか? 久世光彦が番組の打ち上げ(?)で樹木希林に共演女優との不倫関係を指摘されてTBSを退社したのが1979年。小説が週刊サンケイに連載されたのも同年。ちと近すぎるか。単なる偶然かも。

 ストーリーの面白さもさることながら、この復刊本の一番の魅力は解説にあるのではないか。
 その数がすごい。まず「作者自身による解説」、続いて松田道弘の「被害者を探せ」(新潮文庫の解説だった)、永井淳の「本格的コン・ゲーム小説の登場」(新潮社「波」掲載)、最後に扶桑社文庫版の解説として杉江松恋の「解説」。この解説群を読むためにも、小林信彦マニアは買うべし。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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