立川春吾さんが廃業した。今日の談四楼師匠のツイッターで知った。ショックだ。休業中だとは小耳にはさんではいたが、すぐに復帰すると思っていたのに。

          * * *

2015/12/15

 「立川談四楼独演会 第203回」(北澤八幡神社 参集殿)

 ツイッターで師匠の声が調子悪いことを知った。2席はできない。ということは1席めは代演。もしかして?!

 18時ジャストで会社を飛び出して下北沢へ。大急ぎで八幡様へ。
 受付で高座の声が聞こえてきた。やはりそうだ! 代演は寸志さん。うれしい。まさにずぼんと正月が一緒にやってきた気分。寸志さんの会に行きたいのだが、全然日にちが合わない。なので、この会で寸志落語が見られるのは本当にうれしい。師匠の十八番に挑戦して、独自のギャグで爆笑だもの。噺は少しライトで。すごい。


  立川只四楼   (浮世根問)
  立川仮面女子  (穴子からぬけ)
  立川だん子   (狸札)
  立川寸志    「井戸の茶碗」

   〈仲入り〉

  のり一     「てぶ子ちゃんと私」
  立川談四楼   「芝浜」


 ゲストはのり一さん。この方を知ったのは、お父さん(三木のり平)が亡くなって桃屋のCMのナレーションを担当したときだ。さすが息子さん、声がよく似ていた。で、思った。本業は何だろう?
 今回の高座がいわゆる生業?
 いや、ほんと、くだらなかった。中野翠的に書くとくだんなかった。ずぼんと正月が一緒にやってきた。いいなあ。
 のり一さん、俳優の顔もあって、ウィキペディアを見たら、一時期大林映画に出演していたのだ。
 打ち上げ時、もうお開きというときに質問させてもらった。
 のり平さんは、聞き書き「のり平のパーッといきましょう」で映画はうんこだと言ってましたけど、市川崑監督作品についてどう思っていたのでしょう?

 「のり平のパーッといきましょう」はとても面白かったんですが、ご家族の方はアレ読んでどう感じましたか?

 さて喉を傷めている師匠の第一声「ねぇ、おまえさん、起きてよ」に「天狗裁き」かと思った。
 師匠はここで以前「天狗裁き」をやろうとこのセリフを言うと、客は「芝浜」が始まると思って固唾を飲んだと。それがはっきりわかって往生したと。
 で、今日は「芝浜」やります、と。
 
 「芝浜」ってある種のファンタジーだ。夢物語ですよ。亭主が大金を拾ったというのが夢だと信じるというのが、どうにもリアルではない。そういうものだと思えばいいわけで。

 新弟子只四楼さんの高座デビューだったのだが、観ることができなかった。残念。

     ◇

 【おまけ】

1999/10/25

 「のり平のパーッといきましょう」(三木のり平/聞き書き 小田豊二/小学館)

 ページから三木のり平の肉声が聞こえてくるようだった。
 以前に読んだ「渥美清 わがフーテン人生」、あるいはそれを元に聞き書きした著者によって新たに編まれた「渥美清 役者もつらいよ」の語りの部分はいかにも作られた言葉って感じがしたが、本書は違う。たぶんにフィクションも含まれているのだろうが、三木のり平のシャイな、神経質そうでいて図太い性格、芝居に対して一途な思いが行間から伝わってくるのである。

 三木のり平の芸についてあれこれ言う資格は僕にはない。三木のり平その人については小さい頃から桃屋のCMで親しんできた程度で、伝説の舞台「雲の上団五郎一座」も、映画「社長」、「駅前」シリーズも観たことがない。
 初めてその芸に触れたのが市川監督の「金田一」シリーズだった。ほんのチョイ役で画面に登場するだけにもかかわらず、抜群の面白さ、印象度でそれから僕なりに注目していた。
 口跡とかしぐさにその芸を感じさせる喜劇人がどんどん亡くなっていく。フランキー堺、渥美清、そして三木のり平……。時代の流れだから仕方ないと言えばそれまでが。

 聞き書き(語り)の文章に話芸の一端が垣間見られ、聞き惚れてしまう。
 自身の出演した映画をうんこだと言い、全く否定しているけれど、その映画に芸が記録され、最高と自負している舞台が後世に残らない現状が皮肉である。

 単なる編年体はイヤだよと言う三木のり平の要望通り、最終章は著者がこの本を作成するために三木宅を訪ね、帰る、最初の出会いの顛末が綴られている。
 ラスト、夜雪の中を帰る著者に向かっての三木の独白がまるで芝居のフィナーレみたいで余韻を残す。
 後世に残る貴重な芸人の記録である。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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