一応、承前

 職人フェチのほかに服装(生地)フェチでもあるのかと気づいたのが「マトリックス リローレッド」を観たときだ。
 モニカ・ベルッチにはもちろん胸キュンだったが、それ以上に……。

     ◇

2003/06/24

 「マトリックス リローデッド」(丸の内ルーブル)  

 品川プリンスホテルで26日に開催する株主総会の最終打ち合わせがあった。終了したのは夕方6時。そのままホテル内の映画館で「マトリックス リローデッド」を観ようと思ったが、1,800円の入場料はもったいない。有楽町に出た。ガード下のディスカウントチケット屋で前売券を探したら一枚もない。その代わり丸の内ルーブルの招待券があったのであわてて購入して劇場に向った。最終上映直前だったにもかかわらず、それほどの混雑はなかった。客はピカデリーの方に流れているのだろう。  

 この映画、先々行ロードショー(オールナイト)があったりとすごい盛り上がり方だが、個人的にはかなり冷静だった。期待していなかったというのではない。前作「マトリックス」は公開時に劇場で2回も観るほどのほれ込みようだった(「攻殻機動隊」を観直してこれほどまで影響されていたのかという思いはあったが)。しかしストーリーもビジュアルもインパクトとしては1回限りという気がしてならない。

 だいたい前作のラストで主人公ネオはマトリックス世界の超人(空を飛ぶまさにスーパーマン)になってしまった。あれ以上何を描くというのか。以後のことは観客の想像にまかせる方がいい。
 「2」「3」は同時に撮影されたという。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」、「ロード・オブ・ザ・リング」のように「3」のための橋渡し的内容になるのではないかという気もした。  
 にもかかわらず、早々と劇場に駆けつけたのはキャリー=アン・モスのアクションが見たかったからだ。
 「スピード」を観た時に感じたことだが、あのドタ足の走り方からするとキアヌ・リーブスって、あまりアクションに長けた役者ではないような気がする。対してキャリーの走り方は全く無駄な動きがなく惚れ惚れするくらいの美しさだった。続編でも彼女の一挙手一投足を堪能したかったのだ。  

 1作めがそうだったように2作めも、トリニティ(キャリー=アン・モス)のアクションで幕を開ける。レザーの黒衣装に包まれたスレンダーなボディ、ケレンなアクションにニヤニヤしていると、彼女に待ち受ける衝撃の運命に驚きの声をあげてしまった……
 トリニティの死。それはネオ(キアヌ・リーブス)の夢なのだが、どうやら正夢になりそうで、ひどく気にしている。
 案の定、ストーリーは複雑化している(アニメ作品「アニマトリックス」の描かれたエピソード後の世界だという)。
 覚醒した人間たちの活動(現実社会)、クローン化し次々と増殖しながら襲ってくるエージェント・スミスとの闘い、ネオが真の救世主になる鍵を握る東洋人、キー・メーカー(ランダム・ダグ・キム)の発見と救出、新たな敵(ザ・ツインズ)の出現。刻々と迫るトリニティ最期の時。果たしてネオは最愛の女性を救うことができるのか?

 前半はネオとトリニティの恋愛話を延々と見せられ、ちょっと退屈した。疲れ気味な身体なので、ついウトウトとなってしまい、大事な話を聞き漏らしたかもしれない。
 マトリックスの創造者とネオが対面するシーンは「リンク」「らせん」と「ループ」の関係を彷彿させてくれる。会話の内容はまるで「仮面ライダー龍騎」のラストみたい。
 エージェント・スミスの集団とネオの闘いはもう完全にゲーム的感覚と映像だ。ネオがCG処理になると(よくはできているものの)がっくりきてしまう。
 想像したいとおりの展開と内容だと思いかけたこちらの思いを打ち破ったのが、高速道路のアクション炸裂シーン。このシーンを観られただけで大満足である。
 夫を裏切り、ネオたちにキー・メーカーの居場所を教える謎の美女(モニカ・ベルッチ)の衣装に欲情した。そのシルエットではなく、生地の材質に、である。触れてみたい。頬ずりしてみたい。彼女がスクリーンに登場している最中ずっと考えていた。こんなことは初めての経験だ。いつからオレは服装フェチになったのか。
 ザ・ツインズは全身白のイメージ。昔は白といえば正義のイメージだったのに、最近は悪役が白い衣装を着ることが多くなってきた。「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマン(クリストファー・リー)以降のちょっとしたブームだろうか。
 「アバレンジャー」にはアバキラーなる新キャラクターが登場し、アバレンジャーと反目している。この夏公開される「仮面ライダー555」劇場版には白いライダーが登場する。これも何やら悪っぽい。
 ネオがトリニティを救うクライマックスは前作ほどハラハラドキドキはなかった。当然だ、ネオはスーパーマンなんだし、次回作の前にトリニティが死ぬわけがないのだから。  
 ラストがあまりにも〈つづく〉的処理でいただけない。まるで連続ドラマのそれ。翌週に「レボルーションズ」が公開されれば文句はない。「スターウォーズ 帝国の逆襲」「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」以上の消化不良だ!




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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