というわけで、「mixi失格。」シリーズを再開します。
 もう10年以上経つか、猫も杓子もmixiに夢中だった。僕もその一人。が、あることで嫌気して脱会した。で、書いたことを本にしようとまとめた。いろいろあって(例の引きこもり)諦めた。
 mixiを脱会して、知らないうちにFacebookの天下になった。ツイッターやFBをやっていないと人間ではないような見られ方をする。
 まあ、いいや。
 気が向いたら掲載します。

     ◇

 チクリ 2005/08/08

 もう何年前になるだろう。今は退部してしまったけれど、草野球チームL・J・バスターズがまだ某語学出版社L社の野球部だった頃の話。
 当時僕はL社に出向しており、社員のT監督に誘われてメンバーになった。
 出版社の野球部が加盟している団体の大会がある。毎年大宮の荒川沿いにある出版健保グラウンドでトーナメントが行なわれている。この大会、いろいろ約束ごとがあって、そのひとつにチームのメンバーは社員であることが義務づけられている。
 とはいえ、L社野球部はT監督とO氏以外はすべて外部の人間なのである。出入り業者だとか、その友人だとか。大会に提出するメンバー表は偽装されているわけ。それで特に問題になったことはない。
 その日、対戦したのは某出版社、仮にA社としておく。このA社に知り合いのB氏がいた。当時、僕はS社の社員でS社から子会社のL社に出向していたのだが、その前は出版社のT書房に在籍していた。B氏は元T書房の社員だった。T書房はその後倒産し、そこから二人、S氏とK氏がS社にやってきて、L社野球部のメンバーになった。当然B氏とは旧知の仲。二人がL社の社員でないことは知っている。
 つまりA社はこちらのルール違反を事前に察知したわけで、その時点で運営事務局に報告すれば、僕たちのチームは即出場停止処分になる。そこをB氏に確認すると「関係ないですよ」とのこと。さすがA社は懐が深いなんて感激してプレイボールとなった次第。A社が勝利していれば何の問題もなかった。
 ところが接戦に末、結局引き分けになり、大会ルールによってジャンケンで勝敗を決めることに。で、L社が勝ってしまったのだ。
 大喜びでグラウンドの後片付けをしてクラブハウスの更衣室に戻ると、事件が勃発した……


 チクチク 2005/08/10

 ジャンケンとはいえ勝利は勝利。メンバーの喜びようったらなかった。雄叫びをあげ、試合終了の挨拶をした僕たちは次の試合のためにグランドの整備をする。これは勝利チームの義務である。整備は全員というわけでなく、一部の人は先に引き上げた。

 シャワーを浴びて、美酒に酔おう。気分よくクラブハウスにやってきて更衣室に向かうと、中から罵声が聞こえてきた。
 S氏の声だ。
 あわててドアを開けるとS氏とA社の一人が殴りあいの喧嘩をしている! L社の他のメンバーがS氏を取り押さえ、どうにか椅子に座わらせた。
「てめら、卑怯なんだよ、恥を知れ、恥を」
 S氏の声が更衣室にこだまする。
 おいおい、さっきまでの笑顔はどうしたの? 僕にはこの急展開の状況がさっぱり飲み込めない。
 T監督に理由を聞くと試合後A社は事務局にうちのメンバーに助っ人がいることを告げたとのこと。L社の失格が決定したのだと憤懣やるかたない感じ。
 ロッカーの陰に蒼白のB氏がいた。
「(社外のメンバーがいることを)確認したら別に問題ないって言ったじゃないか」
「そうなんですけどね……」
 B氏の口は重い。
 確かに最初は本当に問題なかったようなのだ。A社としてはL社を破ることしか考えていなかったのだから。よもや負けるなんてことはこれっぽっちも頭になかった。ところが試合は引き分け。おまけにジャンケンに負けての敗退だ。
 たぶん引き分けの段階で、L社が勝利をA社に譲ってくれるなんて甘い考えがあったのだと思う。何しろ規則違反をして大会に出場しているのだ。それを知りながら試合に応じたのはA社。L社に貸しがある。にもかかわらずL社はジャンケンに応じ、しかも勝ってしまった。そんなことは社会正義のためにも許せるはずがない。
 で、試合後の告げ口になった。まあ、そんなところだろう。
 出版健保の野球大会に出場できなくなったL社野球部は翌年社の野球部から一草野球チームに衣替え、名称も〈L.J.バスターズ〉となって再スタートを切った。
 

 …明徳義塾甲子園出場辞退の問題を考える 2005/08/10

 長々と野球チームの思い出を綴ったのは、明徳義塾が甲子園大会の出場を辞退したこと、なぜそういう事態になったのか、その内情を知ったからである。選手の不祥事について記した投書が高野連に届いたのは地区大会の優勝が決まった後と聞いて、汚いやり方だと憤ったのだ。
 不祥事を知った時点でなぜ告発しないのか。不可解なのはそこなのだ。
 もし明徳義塾が優勝しなければ匿名の情報提供もなかったのではないか。今回だけは許したるわい、なんていう池乃めだか的判断で。
 優勝するまで告発を待っていたとすると相当タチが悪い。
 昔、映画賞の時期になって、ある映画がノミネートされた。ノミネートされるとある筋から盗作ではないかという告発があった。海外ミステリによく似たストーリーがあるらしいのだ。この件、最終的に問題なくその映画は映画賞を受賞したのだが、この告発もおかしなものだった。なぜなら映画は半年以上前に公開されているのである。盗作疑惑なんてもっと前に発覚してもいいはずではないか。にもかかわらず映画賞の季節になって指摘されるなんて、あまりにもタイミングが良すぎる。告発者の思惑がわかるというものだ。 
 別に僕は、明徳義塾野球部がかわいそうだ、なんてことを言いたいのではない。喫煙や暴行の実態を知りつつ内部で処理してしまったことは何とも情けない。まるで「フライ、ダディ、フライ」のボクシング部選手を擁する高校みたいだ。甲子園に出場しようがしまいが関係ない。しかし告発者の心情を考えると無性に腹がたつのである。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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