録画していた「福田和子 整形逃亡15年」を観た。スポットのときも思ったが寺島しのぶ適役じゃないですか。
 福田和子の事件でTVや雑誌がかまびすかったとき、よく出てきたのが和子が整形した顔(の写真)で、それを見るたびに、幼なじみのY子を思い出していた。

 ということで……

     * * *

●「極道の妻たち」上州太田篇 2005/04/04

 「極道の妻たち」は東映の人気シリーズだ。
 妻と書いて「おんな」と読ませる。もともと家田荘子が暴力団組長と結婚した女性たちを徹底取材したルポルタージュ。週刊文春に連載されていた。
 完結して一冊にまとまると東映が岩下志麻をヒロインにして映画化した。原作を読んだことないし、映画もあまり観たこともないので何とも言えないが、たぶん原作と映画は何の関係もない。タイトルと組長の妻が主役という部分だけいただいたのではないか。
 それまで男中心のやくざ路線を敷いてきた東映にとって、女性を主役にもってきたところがミソであり、ヒットにつながったのだろう。「仁義なき戦い」の後を継ぐヒット作となって、十朱幸代、三田佳子らもヒロインを演じながら10作作られた。3作めの「三代目姐」にはショーケンが準主役で出演していた。
 一旦完結したと思われたシリーズが高島礼子主演で再度シリーズ化されてすでに数年経つ。東映らしい商売だ。「仁義なき戦い」もなんだかんだいいながら今だに制作されているのだから。
 平成仮面ライダーシリーズももう何作めになるのか。考えてみれば戦隊シリーズなんて一度も途切れることなく20年以上の歴史を持つ。一つの人気作にしがみつく底力というのか……
 だから、たった一作だけで原作すべてを描ききろうとする「デビルマン」によくGOサインを出したものである、と思ってしまう。残念でならない。
 
 話がそれた。
 当初高島礼子が極道の姐さんに扮すると聞いて違和感があった。彼女についてはまだ名前も知らない頃、新妻に扮したCMから注目していた。魚がさけなくて亭主に甘える姿がかわいかった。「さまよえる脳髄」では大胆な濡れ場を演じていて興奮した。
 普通の女性(たとえば主婦、OLだとか)を演じると内面の色気が発揮できる女優さんという印象があった。それが「極道の妻たち」のケレンたっぷりの役どころ。作品選定を誤っているんじゃないかと思ったりしたこともある。しかし、映画が人気を呼んでいることはファンに支持されている証明だろう。僕自身の高島礼子熱はすっかり冷めてしまったが。
 って、別に高島礼子や「極道の妻たち」を語るのが目的ではなかった!
 実は、19歳の予備校時代に一度だけホンモノの極道の妻を目撃した、というか接点をもったことがあるのだ。
 それを書こうと思ったが長くなるので、続きはまた明日ということに……


●今度こそ「極道の妻たち」上州太田篇 2005/04/05

 大学受験で上京した折、新宿京王デパートのレストランでドリアを食べて見事にはまった。世の中にこんなうまい食べ物があるのかと。グラタンのマカロニがライスになっただけじゃないか!と言わないでもらいたい。それまでグラタンを知らなかった……。
 そんな話を幼なじみのY子にしたのは、大学受験に失敗して東京の予備校に通うためアパート暮らしを始めたころだ。Y子は家が近所で、小学校の低学年時代よく遊んだ。一緒に風呂に入ったこともある。高校を卒業して地元でOL生活を送っていた。
「ドリアだったら、桐生においしいお店があるわよ」
 だったら今度連れてってよ、ってんで、帰省した日曜日(もしかしたら夏休みだったかもしれない)に昼前に太田駅で待ち合わせして、Y子の運転する車で隣町の桐生に向かった。
 太田から桐生に向かう県道は一時田園地帯の中を通る。道はすいていた。
 その時だった。前方からはすごい勢いで走ってくる外車を目にした。蛇行したと思った瞬間、そのまま田んぼの中に突進していった。
 あわてて車を止めた。顔を見合わせたY子と僕は車から飛び出ると田んぼの中で立ち往生している外車にむかった。
 車内の後部座席がすぐ目に入った。着物姿の年配の女性が小型犬を抱いて呆然としていた。運転手は若い男。すぐにドアを開けて外にでてきた。
「大丈夫ですか?」
 僕が尋ねると怪我はしていないとの返事。棒立ちしている若い男に対して女性が声をかけた。
「早く××に連絡しなさい」
 男はあたりを見渡している。まだ携帯電話なんてない時代のことだ。
「あの、公衆電話のあるところまで乗っていきますか?」
 Y子が言う。男が女性に確認をとってから「いいですか?」
 公衆電話はわりと近いところにあった。
 男は感謝の言葉を述べて車から降りると公衆電話に向かって歩いていった。
 Y子が車を走らせ、しばらくしてから僕が言った。
「やくざだよね、あの人」
「一見して、組の人だとわかったわよ。もうびっくり」
「後ろの女性見た? 姐さんだよ、たぶん。威厳があったもん」 
 しばしその話題で盛り上がっているうち、車は目当ての喫茶店に到着。お店の人気メニューであるドリアを食べ、アイスコーヒーを飲む。覚えたてのタバコを一服しながらお互いの近況報告。やくざのことなどすっかり忘れてしまったのだった。

 長くなりそうだ。この項続きます。


●しつこく「極道の妻たち」上州太田篇 2005/04/06

 Y子とのおしゃべりも話題がなくなった。陽も落ちてきた。帰ろうということになり、自宅まで送ってもらう。
 駅前の交差点で信号待ちをしていた時だ。運転席のウィンドウを叩く音に反応した。男がいた。何とあの外車を運転していた若い男だ! 車を脇にとめると助手席の方にやってきた。
「どうしたんですか? 別にもう……」
 僕たちの車を偶然に見かけて再度挨拶に来たのかと思った。だからもう気にしないでいいですよと言いたかった。
「いや、組長がどうしてもお礼をと」
 男の説明を聞いて驚愕した。
 あの事故(?)の後、組にもどって詳細を報告した。公衆電話まで連れて行った男女の名前、住所。なぜ聞かなかったのか? バカ野郎! 何やっている! すぐに見つけて確認してこい!! 組長に怒鳴られたらしい。男はそのまま車に飛び乗って太田市中を走り回っていたという。僕たちを探して半日。目印は車種だけだというのに……
 恐縮というか萎縮してしまった僕たちは、住所と名前を告げその場を離れた。本当にお礼なんかいらないからと付け加えて。
 数日後、昼間出かけていて戻った僕に(ということはやはり夏休みか)父親がニヤニヤしながら聞いてきた。
「お前、××組と何かあったのか?」
 詳細を説明した。
「だからか。××組の○○さんが菓子折り持って挨拶に来たからさ」
 ひえ~! 自宅までやってきたって! やくざの律儀さに驚愕した。Y子に電話するとY子のところにも来たという。
 ドラマ等で、暴力団幹部を狙撃して逃亡したヒットマンを探すため若い衆が闇雲に街に出て探しまわるなんていうくだりがある。この一件以来フィクションだからとあなどれなくなった。もしY子と僕が××組に追われる立場だったらたった半日で捕まったことになるのだから。

 教訓・暴力団を敵にまわすな!

 追記
 それにしても、××組を以前から知っているそぶりの父親っていったい……?




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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