「たちばないっぺいの口笛が叫び」が動だとすれば、みたかゆうは静の世界。だからつぶやきなのだ。

     ◇

   蛇と口笛

  夜、口笛を吹くと蛇がでるよ
  あの草むらの陰から
  乾いた冷たい瞳が
  こっちを見るよ

  夜、口笛を吹くと蛇がでるよ
  あのにごった川面を
  音もなく泳ぎながら
  赤い舌だすよ

  夜、口笛を吹くと蛇がでるよ
  夜、口笛を吹くと蛇がでるよ
  …でも、会ってみたい気もする
  どうして 細長いの
  どうして恐ろしいの
  どうして 気味悪いの

  だって だって
  蛇は言う
  だって だって わからないもん

  蛇の瞳は涙でいっぱい


     ◇

   ざぁざぁ川

  川の流れに
  みんな 何を見てたのだろう
  小さな小さな川の流れ

  つくしんぼ、あめんぼう
  アマガエルをつかまえてエビガニ釣り

  長い長い雨の後の
  子豚の産毛の生えた肌
  冷たい猫の黒い内臓
  白い目の鶏

  眩しい陽射し 田んぼ道
  泳ぐ蛇におののきわめき
  カエルの口に爆竹をはさんだ

  うるさすぎる蝉の声
  麦わら帽子 白い網
  くわがた虫にかぶと虫

  青い空 黄色い風
  肌に突き刺すからっ風
  白い土には靴の音
  中途半端な雪だるま

  いつもみんな この川を眺めていた
  小さな小さな川の流れ

  コンクリートに固められ
  重い蓋をかぶせられ
  もうあの音は聴こえない

  小さな小さな川の流れ
  僕は何を見たのだろう

  小さな小さな川の流れ

     ◇

   無題

  何もかもおしまいなんだね
  そう思いたくないけれど
  優しさにかくれた一瞬のナイフが
  今、胸につきささる

  だから もう
  さよなら

  まだ愛してる
  そうささやく前に
  耳をふさいでしまうんだから
  いいわけなんか聴きたくないよね

  だから もう
  さよなら

  いつか夢中になって
  ベストを編んでいた茶店
  話なんてうわのそらだから
  しかたなくくすり指ばかり見つめていた

  私、変わったのよと煙草をふかす
  煙草喫う女 嫌いじゃないけど
  君に煙草は似合わないよ

  だから もう
  さよなら

  だから もう さよなら

     ◇

   交換日記

  想い出は脆く
  ノートの中のあなたは
  いつまでも変わらないのに
  燃やしてしまわないと
  僕の気がすまない

  ふたりの気持ちがひとつだった
  2年の月日なんて
  あっというまさ

  今 こうして10分で終わった

     ◇

   賭博ゲーム喫茶 “J”

  薄汚れた紫の煙
  けたたましい機械音
  しみったれた顔 すまし顔
  ケバイ女 売れないタレント
  無言 罵声 そして狂喜
  不遜な態度 無邪気な瞳
  ビール コーラ アイスミルク お茶
  機械仕掛けのボーイ
  不敵な微笑
  店長のささやき
  指先のマジック

  裏の世界なんて くそくらえ

     ◇

   祭

  TVはお祭りさわぎ

  にぎやかな歓声

  渦をまいた笑顔

  いつも楽しそうに




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
『OUT』 ~小説と映画のあいだに
NEW Topics
告知ページ
BC20世紀 賄い料理その2
「花戦さ」&「22年目の告白 ~私が殺人犯です~」
「美しい星」
1分間スピーチ #15 倉木麻衣と宇多田ヒカル
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その4
ちょっとひとやすみ その4
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その3
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その2
「DONT LOOK BACK」
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top