承前

 根が卑しいからなのか食べ物を残せない。残っているとどうしても手がでてしまう。よほど腹がきつくない限り。
 以前、あるコンサートに女性二人と行って、その帰り、イタリアンレストンに寄った。帰ろうというときにパスタが少し残っていたので、慌ててパクついた。一人になってから恥ずかしい行為だったと反省した次第。

 竹林閣でシネりんを開催する場合、飲食物はすべてスタッフが用意する。終了時、サラダが、ドレッシングがかかったレタスが一皿分残った。捨てるのはもったいないので、サランラップでくるんでなおかつビニール袋にいれてバッグにしまい持ち帰った。翌朝のサラダにしようとの考えだ。
 帰宅して、とりだしたらなんとサランラップがまったく機能していなかった。レタスがすべて飛び出ていたのである。あわてて、ビニール袋の下にあった本をとりだした。天の部分がつゆで汚れている! それもかなりの面積で目立つことおびただしい。だいたい色がついているのだ。

 本は木村大作に金澤誠がインタビューして、その映画人生をまとめた「誰かが行かなければ、道はできない ―木村大作と映画の映像―」(キネマ旬報社)。
 映画を目指す人には必読本ではないか。こんなに夢中になって読んでいる(読んだ)本は、橋本忍の「複眼の映像」以来。いやはや、木村大作ってとんでもないカメラマンだ。敵にすると厄介だけれど味方にすれば勇気百倍。

 感想は6月の読書録に記す(本当か?)。とにかく本のことだ。返却時にどうすればいいか。弁償なんてことになるのだろうか。
 図書館に直接返却するのではなく、閉館してからBOXに入れてしまおうか。いやいや、そんな卑怯なことはしたくない。だいたい、どうしたって汚れは目立つのだ。あとから電話で確認されたらたまったものではないし。

 返却当日。きちんと受付で数冊の本と何枚かのDVDをカウンターに提出した。汚れのことを言おうとしたところ、若い女性がそのまま本やDVD点検する。
 あれっ、汚れに気づかないのか? ラッキー!
 と思ったら、「これどうしました?」
 ああ、やっぱり気がついていましたか。
「テーブルに本をだしておいたら、サラダをこぼしてしまいました」
 少しアレンジして原因を伝えた。バックヤードから年配の男性が出てきた。女性が近寄って何やら囁いている。内容はわかっている。男性がうなづいた。おとがめなし。良かった!

 「復活の日」、「夜叉」、「海峡」、「火宅の人」、「極道の妻たち 三代目姐」。
 「誰かが行かなければ、道はできない ―木村大作と映画の映像―」を読了してからDVDを借りてきて観た映画である。
 木村大作が撮影を担当した映画を観るのはもう少し続ける予定だ。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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