先週、BC二十世紀で「黒澤明研究会」なる団体の例会が開催された。一人の監督の研究会があるということがすごい。例会は3時間ほど。その後懇親会(呑み会)に。話題は「シン・ゴジラ」だぁ! 恐るべし「シン・ゴジラ」。

 11日(火)、「シン・ゴジラ」&「SCOOP!」を鑑賞。「シン・ゴジラ」は6回めだ。3回め以降は「宇宙大戦争」の伊福部マーチに乗って新幹線大爆破を起こすシーンを楽しみにしている。これ以降、展開はマンガになるのだが。
 「SCOOP!」は思っていた以上の出来。まさか泣かされるとは思っていなかった。

          * * *

 ●黒澤組 ある思い出 2008/05/12

 黒澤組のスタッフと一度仕事をしたことがある。
 照明の佐野武治氏だ。

 就職浪人しているとき、友人(高校の同級生)の紹介でスライド制作会社のアルバイトを始めた。当時オートスライドといって、スライドを連続上映しながらナレーターが入る、もう一つのPVとでもいうジャンルがあった。その後たぶんビデオオンリーになったのだろうが。その会社で、アシスタントプロデューサーというか、プロダクションマネージャー、いわゆる制作進行を担当した。半年後、お役目御免というときに運よくCM制作会社に就職。友人は正社員となってディレクターになった。

 しばらくご無沙汰していたのだが、結婚して無職だったときに、今度は1本いくらという契約で何本か担当した。
 郵便局のPVを制作することになった。これはスライドではなくビデオ。しかもドラマ仕立て。演出は会社の若手社員だった。制作のチーフはやはり契約で出入りしていた女性、僕はその助手だ。
 山中の郵便局。局長が郵便の妖精と出会い、今度導入される新システムについていろいろと講習を受けるという内容。
 そのロケが山梨だか、長野の山奥であった。一泊二日のロケだ。
 早朝、新宿スバルビル前にロケバスを手配して、スタッフキャストが集合した。このとき照明で参加したのが、佐野さん。一人か二人助手を連れてきたと思う。皆、「乱」のロゴの入ったジャンパーを着ていて、実にかっこよかった。
 局長、妖精、それから、局長の息子で郵便局で働く青年。3人の役者が揃うはずだったが、息子役が時間になっても来ない。連絡すると寝坊したらしい。後から追いかけるからと先に出発した。
 二台の車のうち、一台は僕の運転だ。
 その車中でとんでもないことを監督から言われた。
 時間に遅れるような俳優の卵なんて使えない。悪いけどお前やってくれないか。
「え~!」
 単なるエキストラではない。局長役の役者は、TVドラマで何度か拝見している中堅どころ。本職は舞台だったかもしれない。そんな人を相手に芝居をする、けっこう重要な役柄なのだ。台詞だってある。
 そんなわけで、その後の車中は芝居のリハーサルになった。助手席で制作チーフが台本片手に台詞の口立て。それを僕が芝居つけながら言う。運転しながら。
 おいおい、だ、まったく。

 僕の出演は思っていたより楽だった。ファーストシーン、お客さんを迎えて第一声。局内で局長とのやりとり。局長を残し、帰宅。出番を終えると、佐野さんに誉められた。
「新井ちゃん、いいよ、よかったよ!」
 その後の撮影が困難を極め、終了は夜中の4時になってしまったのだが。
 翌日は屋外の撮影。その最中、佐野さんが僕を見るたびに言うのだ。「新井ちゃん、よかったよ、うん、いいよ」
 天下の黒澤組にそうなんども言われると、ほかのスタッフも同調せざるを得ない。
 制作チーフなんて「わたし、マネージャーやるから、俳優やってみない?」 と言うのだ。
 ご冗談でしょ。
 とはいえ、悪い気はしない。
 完成したビデオを見ると、なるほど自然だ。まるで演技を感じない。
 ところが、スポンサー試写でNGがでた。局長と青年の関係がまずいのだそうだ。父親と息子ではなく、赤の他人にしてほしいと。台詞が書き換えられ、後日、アフレコとなった。
 これがいけなかった。スタジオに入って、モニター見ながら声をあわせることができない。自主映画でアフレコは経験済みなのに、プロの現場だと緊張しっぱなし。なんどもNGとなった。どうにかこうにかOKになったが、その出来は悲惨をきわめた。
 役者として二度とお呼びはかからなかった……。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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