その4から続く

 東宝がゴジラの新作を製作するというニュースを知ったとき、いくつもの疑問符が頭の中を駆け巡った。ハリウッド映画「GODZILLA ゴジラ」が世界中で大ヒットしたのだ。東宝は何もしなくても著作権料が入ってくる。それもたぶん莫大な。シリーズ化も決まり、次はモスラとキングギドラが登場するという。そんな状況下での新作発表だ。「なぜ、今なのだ?」と思っても当然だろう。
 エメリッヒ監督版が不人気だったとはいえ、直後に公開された「ゴジラ2000ミレニアム」と内容、特撮(VFX)を比較すればその差は歴然としている。ギャレス版は、VFXはもちろんのことドラマも十分面白かった。
 今回だって同じ結果になるのではないか。

 少しばかり逡巡して膝を打った。「そうか、そういうことか」
 もし東宝の新作ゴジラが、初代ゴジラをリメイクするような、つまり現代日本を舞台に、核問題をリアルに捉えたドラマにするのだったら話は違うと思った。
 ハリウッド映画は核に対する認識がとんでもなく甘すぎる。核爆弾なんて通常の兵器より少し威力がある程度の扱いで劇中に登場するのだからたまったものではない。
 別にどうでもいい監督の、その他大勢の作品なら、まあ、いい。特に気にすることもない。夢中で追いかけている監督だとそうはいかない。
 キャメロン監督「トゥルーライズ」、ルーカス製作+スピルバーグ監督「インディー・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」、クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト・ライジング」等々。
 ギャレス版「GODZILLA ゴジラ」も同様で、クライマックスで「おい、おい」となった。
 だいたい、過去の核実験をゴジラ撃滅のためとのたまっているのである。

 何だ、お前、「GODZILLA ゴジラ」を高評価しているじゃないか、公開時に3回も観たんだろうが。言っていることが違うではないか!
 僕が「GODZILLA ゴジラ」を評価しているのは、〈東宝チャンピオンまつり〉版ゴジラのハリウッドリボーンと位置づけているからと言えば納得してくれるだろうか。
 日本のゴジラだって、ある時期から核問題がおざなりになって、ヒーロー化したではないか。
 そんなわけで、東宝チャンピオンまつり版のゴジラが最新のVFXで再現された「GODZILLA ゴジラ」の核の扱いがどうであろうが、ゴジラが人類の味方であろうが気にならない。それも、ここが一番重要なのだが、あくまでもアメリカのオリジナルなので、いちいち細かいことに目くじら立てたくない。
 そういえば、エメリッヒ版では、ゴジラを誕生させた要因はフランスの核実験でイグアナが変異してしまうのだ。あくまでもアメリカはゴジラの被害者を装うのだから呆れてしまう。

 だからこそ、日本で核問題に真っ向から取り組んだゴジラを製作することに意味がある。

 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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