代々木嫌い

  代々木が嫌いだ
  浪人たちのふきだまり

  原宿も嫌いだ
  駅は素敵なのに

  青山は好きだけど
  六本木は苦手

  目黒を愛してる
  たまに訪ねてみたい

  渋谷も好きだよ
  青い春がつまってる

  築地の香りがいい
  ふるさとを感じる
 
  銀座通りを歩きたい
  いろんな本屋がそろってる

  日比谷公園を歩いて
  初めてのデートに想いをよせる

  高田馬場は変わったのかな
  19の原点を忘れたりしない


 石原都知事時代に、築地の卸売市場が豊洲に移転すると決まった。建物の老朽化が理由だった。
 ニュースを耳にして素朴な疑問を抱いた。老朽化したのだったら新しく建て直せばいいではないか。何も移転することはない。もちろん一度にはできないだろうが、市場をいくつかに分割して順に新しくすれば。
 そういう意見はなかったのだろうか。
 
 大学を卒業して、希望の業種(会社)に就職できなかった。というか、春から二度目の鬱に苦しんで就職活動なんてできなかったのだ。
 秋になって何とか元気になったのだが、まだ本調子ではない。
 当時会社訪問の解禁日は10月1日。その日は外に出ずに、夜は部屋で水曜ロードショー枠で放映された「七人の侍」を観ていた。訪問活動を終えた友人U(自主映画サークルの仲間。4年生は僕とUの二人だけだった)がやってきて、TVに呆けている僕を見てあきれていたっけ。
 就職浪人して、翌年、なんとか小さなCMプロダクションに入れた。会社は築地駅のすぐそばにあった。
 辞めるまでの2年間、築地や銀座を自分の庭のように歩き回った。場外の食堂に何度か足を運んだことがある。
 自分の中では築地=市場というイメージがあるので、豊洲への移転が信じられなかった。

 それにしても、もともと東京ガスの施設があった場所で、それも土地に含まれている有害物質が国の環境基準を大幅に超えているというのに、よく移転を決めたものである。市場側の人たちはそこらへんをどう考えていたのだろう。
 そんなことを、呑みの席で特撮仲間のSさんに言ったら、築地市場の下には、第五福竜丸が積んでいた放射能汚染マグロが埋められていると教えられた。ビキニ環礁でアメリカの水爆実験によって被曝した、あの漁船である。
 初めて知った事実なのだが、翌日、読んでいた「ゴジラの精神史」(小野俊太郎/彩流社)にもその旨の記述が出てきた。
 都側から有害物質の処理を説明されて納得したのか。まあ、大いなる利権が絡んでいるのだろう。
 もし、新都知事に自民党推薦のあの方が選出されていたら、この問題はまったく封印されたままだったのだろう。
 怖い。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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