またしても訃報だ。
 根津甚八、69歳。

 引退を知ったときはショックだった。
 自分にとって、ショーケン、優作、水谷豊に続く、第四の役者だったのだから。

 詳しくは、奥さんが書かれた「根津甚八」のレビューに書いている。

     ▽
 2011/07/06

 「根津甚八」(根津仁香/講談社)

 役者として根津甚八を意識したのはいつだったか。状況劇場の人気者(だった)で名前が真田十勇士から命名されたなんてことは後で知った。NHK土曜ドラマ「男たちの旅路」へのゲスト出演か。声がでなくて引退を宣言した(囁くようにうたうのが売りの)歌手の役だった。
 映画では「その後の仁義なき戦い」だろうか。とはいえ、この映画、ゲスト出演のショーケンが居酒屋で喚き散らすシーンしか印象に残っていない。

 出世作の「さらば愛しき大地」(監督:柳町光男)は観ていない。ショーケンがその柳町光男監督のメガホンで撮る予定だった「竜馬を斬った男」では、竜馬役で出演している。結局この映画、柳町監督は降板してしまうのだが。
 当然石川五右衛門役で人気を呼んだ大河ドラマ「黄金の日日」にも一度もチャンネルを合わせることもなかった。今思えば、このドラマの脚本は市川森一。「勝海舟」は倉本聰が脚本だから観始めたのだ。だったら、「黄金の日日」も観なければおかしいのに。
 まあ、いい。とにかく、70年代から80年代にかけて、ショーケン、優作、水谷豊に続いて、その動向が気になる役者だった。

 00年代になってから、あまり見かける機会がなくなった。病気治療や交通事故で相手を死亡させてしまったことによる謹慎で表舞台に登場しなくなってしまったためだ。その後鬱病になったという話が聞こえてきて、やがて役者引退とのニュースが流れた。ショックだった。

 本書は根津甚八の奥さんが書いた、俳優・根津甚八の回想録とでもいうもの。本来、本人が執筆(語る)ものだろうが、なぜそうならなかったかは読めばわかる。
 状況劇場前後、唐十郎との関係が興味深い。
     △

 合掌




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新井啓介
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まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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