フリースタイルから小林信彦コレクションの第2弾「唐獅子株式会社」が出た。
 やっと、である。本の出版もそうだが、版元の関係で地元の書店には置いていない。まあ、東京の書店で買えばいいのだが、この書店、昨年の12月からTポイントを始めたので、原則ここで買うことに決めたのだ。
 Tポイントで本が買えるなんて最高じゃないか!

 そんなわけで、年末から年始にかけて欲しい本、雑誌はすべてこの書店に注文した。
 手に入れるまでにけっこう時間がかかった。

 「ウルトラマンの現場 ~スタッフ・キャストのアルバムから~」(小学館)
 「怪獣少年の復讐」(切通理作/洋泉社)
 「ウルトラマンの飛翔」(白石雅彦/双葉社)
 「実相寺昭雄 才気の伽藍」(樋口尚文/アルファベータブックス)
 「タイム・トラベラー」(石山透/復刊ドットコム)
 ユリイカ12月臨時増刊号「『シン・ゴジラ』とは何か」(青土社)
 昭和40年男2月号増刊 「夢、あふれていた俺たちの時代 1971-1973」(クレタパブリッシング)
 「昭和40年代ファン手帳」(泉麻人/中央公論新社)

 「唐獅子株式会社」もその1冊。

 かつて新潮文庫版のこのシリーズは2冊に分かれていた。「唐獅子株式会社」「唐獅子源氏物語」。
 今回は合本であるから、京極夏彦の新書のような分厚さで、もううれしくてうれしくて。
 うれしさのあまり、まだ読んでいないのだが、こちらで「ちはやふる奥の細道」を話題にしていたので、その関連として以下のレビューを掲載する。

     ▽
2003/03/27

 「本の虫 その生態と病理――絶滅から守るために」 (スティーヴン・ヤング/薄井ゆうじ 訳/アートン)  

 何ていう本だ。著者は、訳者の薄井ゆうじがアメリカドライブ中に偶然知り合った「本の虫」研究家だというが、書いていることはデタラメ極まる。  
 どの種にも属さない独自の進化を遂げた生命体が本の虫で、非常に微小で光学的な顕微鏡には投影されないため今世紀まで発見されなかったとあるが、そんなバカな。  
 2001年3月、ルーマニアのマリウス・シュナイダーによって発見された衝撃的なニュースなんて全然知らなかった。本当にそんなニュース、世界中に配信されたのか。
 だいたい著者の名前からして、うさんくさい。
 
 本の虫は大きく分けて〈読み虫〉類と〈書き虫〉類がある……わけないだろう。  
 さまざま虫の紹介があって、虫に感染した場合の看護と介護を説いている。
 ひたすら読み虫、その一種長編読み虫。
 書物のおかれている環境に依存する原因を作る書棚虫、図書館虫。書店依存症を誘発する書肆虫。
 書店に行くと必ずトイレにいきたくなる現象(それも大の方、図書館でも同じ症状に見舞われる)、これはずいぶん昔「本の雑誌」で話題になった。最初にそのことについて投稿した女性の名前をとって青木真理子現象と呼ばれているのだとか。これも虫が原因で、その虫は学名ニポニア・マリコ・ニッポンというのだそうな。
 書き虫には日記書き虫、小説書き虫なんてものがいる。小説書き虫に感染しひたすら小説を書くが、駄作しか書けず、そうなると逆に小説を憎みだし本嫌い虫に冒されて、憎みながら小説を評論するタイプになっていく。同人誌書き虫なんてのもいる。
 うーん。そんなバカなと思いながらもうなづいている自分がいる。本当に本の虫なんているのだろうか?

     *

 1980年のこと。W・C・フラナガン/小林信彦訳の「素晴らしい日本野球」が雑誌「ブルータス」に掲載された時はかなり巷で大騒ぎになったという。  
 日本通を気取るアメリカ青年が知ったかぶりで日本のプロ野球のアレコレを語るわけだが、その認識はめちゃくちゃだった。  
 広島の山本浩二と巨人の山本功児の区別がつかない、巨人の角三男とヤクルトの角富士夫を同一人物だと信じている。江夏はスモウレスラー、エトセトラエトセトラ。その間違いぶりに笑わずにはいられない。

 この論文、実は小林信彦の作である。W・C・フラナガンなんていう人を食った名前をでっちあげ、自分は訳者のふりをする。もっともらしく原注や訳注もあり非常に凝った作りだった。
 巷で騒ぎになったのはここだった。あの文章は小林信彦の創作でないか。電話によるこの手の問い合わせが「ブルータス」編集部によくかかってきたのだそうだ。よく読めば日本人以外書ける文章でないことがわかるはずなのに、世の中にはあわて者がいるようで、マスコミ人の中でW・C・フラナガンなる人物の存在をすっかり信じてしまった人がいた。
 その一人が慶応大学教授の某氏。自他ともに認める大リーグ通。氏は中国新聞に「素晴らしき日本野球」を真っ向から批判する文章を掲載した。
〈論文は「間違いだらけ」の一語に尽きる。著者のウィリアム・C・フラナガンという二十代の日本通を自称する青年。来日した経験もあるそうだが、書いてあることは誤解どころかでたらめである〉
 小林信彦は続編「素晴らしい日本文化」でこの某教授の批判に対してフラナガン氏に反論させながら最後こう締めくくった。
「〇〇〇氏(教授の名前)の自信のなさは、私への批判を中国の新聞に投じたことでも明らかである」  
 大爆笑した。  
 長島監督が解任されて直後、新聞記者の電話に苦慮したという。彼らはフラナガン氏のコメントをとりたくてその所在を小林信彦に問い合わせるのだ。  
 フラナガンは自分の創作であるといっても記者は「まさか、冗談でしょう」と相手にしない。
 世の中にはシャレの通じない人が、かくも多いのである! と「笑学百科」(新潮社後に新潮文庫)で嘆いていたっけ。
     △




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お詫び
えろお、すんまへん。
新潮文庫版が4冊に分冊していたのうて、嘘つきましてん。日ごろ、ウィキはしんじるな、記憶の確認だけにしておきぃと思うてまんねん、にもかかわらず、本棚調べるの、面倒くさくなってん、ついつい、ウィキみてもうて……訂正しよってからに。ほんま、申し訳ありゃしまへん。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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