一昨日は今年最初のシネマDEりんりん。早稲田松竹とのコラボ企画で今上映している「ハドソン川の奇跡」を観て語り合おうという呑み会だった。会場は高田馬場の居酒屋で、19時に仕事を終えてから30分遅れで参加。
 何と参加者は40名! 呑み足らず二次会へ。
 結局1週間で4回も呑んでしまった。

          * * *

 この前、大友啓史監督について書いた。NHKを辞めてフリーの演出家となり、今は映画監督として活躍しているわけだが、NHKというと注目した演出家が二人いる。

 その一人が片岡敬司。90年代、気鋭のシナリオライターと新進ディレクターがタッグを組んで単発ドラマを発表する「ニューウェーブドラマ」というシリーズがあった。感銘を受けた「ネットワークベイビー」の演出が片岡敬司だった(脚本:一色伸幸)。
 大河ドラマ「元禄繚乱」では、必殺シリーズを彷彿させるような画面作りで、片岡演出の回を楽しみにするようになった。

 もう一人が佐々木昭一郎。70年代から80年代にかけて夢中で追いかけた。
 90年代になってから、古書店で著書「創るということ」を見つけた。この本は昨年だったか、一昨年だったか、新装版がでている。 佐々木昭一郎監督作品の上映に合わせた企画だったらしい。知ったのは上映後だったので、映画はまだ観ていない。
 
     ▽
1999/11/03

 「創るということ」(佐々木昭一郎/JICC出版)

 1974年10月15日(僕の誕生日だ、放映日はこの本で知ったのだが)、NHKで芸術祭参加作品として「夢の島少女」が放映された。たぶん新聞のTV欄でこの番組が紹介されていて興味を持ってチャンネルを合わせたのだと思う。
 観終わって、従来のNHKらしくない作風にショックを受けた。今、憶えているのは、こういう映像をNHKが流してもいいのか? 問題ないのか? という思いだ。
 女性の裸などのきわどいカットもあったと思う。ただ、そういうところだけに反応したのではない。詩情あふれる映像そのものに衝撃を受けたのだった。
 ストーリーは忘れてしまったが、その衝撃は今でも実感としてある。
 放映後、もう一度観たくて、この作品が芸術祭に入賞することを祈った。入賞すると必ず芸術祭受賞作として再放送されるからだ。残念ながら何の受賞もしなかった。が、演出の佐々木昭一郎の名前はしっかり刻まれた。(昔の日記帳をみたら、10/15に「夢の島少女」、 メルヘンの世界、素晴らしいと書いていた)

 高校時代には「紅い花」が放映された。つげ義春の劇画を原作にして、当時つげ義春の世界が好きだった僕は佐々木昭一郎の演出によるドラマ化に歓喜した覚えがある。
 80年、「四季・ユートピアノ」が放映され、絶賛を浴び、国内外の数々の賞を受賞した。この頃だっただろうか、佐々木昭一郎は賞取り男として社内で優遇されている、そのため1年に1本作品を担当すればいい、なんて記事を読んだことがある。

 この本の存在は全く知らなかった。知っていたら真っ先に買っていただろう。独特の映像制作の極意が述べられているのだから、貴重なものである。
 デビュー作当時から数々の賞を受賞していて、その自信はこの本の自作を語る部分に色濃く反映されている。すべて順風満帆と思いきや、「夢の島少女」の前にはAD、FDとして3年ほど他人の作品にかかわっていたというのだから、やはり出る杭は打たれる、というか、NHKの企業体質というか、全くもって信じられない。

 彼の演出理論にまことに的を射たものだと納得してしまう。役者はあくまでも映像の素材ではある。いわゆる演技を否定し、その役になりきるまで、一人ひとりの生理を大切にする。素人を役者として起用するのはよくわかる。
 その後、「四季・ユートピア」のヒロイン・A子(中尾幸代)を起用して(この本で知ったのだが、「夢の島少女」のヒロインも彼女だった。驚いた)、ヨーロッパを舞台にした「川」シリーズを撮るのだが、まともに観た覚えがない。この時期じっくりと腰をすえてTVに向かう姿勢がなかったので、観たとしても感銘を受けたかどうか。
 一度佐々木作品を劇場で鑑賞してみたいものだ。
     △


 【おまけ】

1999/11/30

 「元禄繚乱 四十七士討入り」(NHK)

 録画しておいた「元禄繚乱 四十七士討入り」を観る。
 刃傷の時と同じく演出・片岡敬司を予想していたが、別の人だった。彼は光と影を多用した、必殺シリーズを彷彿させる斬新な映像と演出を見せてくれるのでちょっと残念だった。大河ドラマで初めて演出家を意識させてくれた人で今後の活躍を期待したい。

 1年間の連続ドラマを締めくくるクライマックスだし、忠臣蔵一番の見せ場だから当然スタッフ、キャストともに気合の入った見ごたえある一編だった。45分間があっというまに過ぎてしまった。  技術の進歩もあるだろうが、前日に降り積もった雪が、本物っぽく表現されていたのがたまらない。雪の質感もいいが、また赤穂浪士が雪の上を歩く際の音にも神経を配っていてとてもリアルだった。

 見所は2ヶ所。
 赤穂浪士が吉良家に討ち入ったことを知り、討伐に行こうとする上杉家の当主(吉良の実子)とそれを必死に止める家老・色部又四郎の押し問答。柳沢吉保の陰謀により、討伐に行けばお家断絶は間違いない。それを事前に察知していた色部の「殿が今討伐に行ったらわが藩も赤穂と同じ道をたどるのですぞ」の台詞が重くのしかかってくる。通常の忠臣蔵ものにくらべ、刃傷に至るまでの長いドラマがここでいきてくる。
 無能な江戸家老のために殿の刃傷事件を阻止することができず、お家断絶の憂き目にあって、討入りをせざるをえなかった大石と、赤穂藩の二の舞だけはおこしたくないと命をかけて殿の暴挙を阻止する色部の、二人の家老の対比が胸を打つ。

 浪士につかまった吉良が大石に尋ねる。「わしを本当に敵と思っているのか?」大石は答え ない。しかしその眼は何かを訴えているかのようだ。吉良はわずかに微笑む。吉良は大石の本心を見抜いたのだ。大石の本当の敵は幕府だということをここではっきりした。
 さて、その敵役・幕府はこの決着をどうつけるのか。「元禄繚乱」のテーマはここにある。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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