2017/02/08

 「マグニフィセント・セブン」(丸の内ピカデリー)

 傑作として名高い「荒野の七人」(60年)のリメイク。
 「荒野の七人」は、ハリウッドが黒澤明監督の代表作「七人の侍」(1954年)を西部劇に翻案した作品として往年の映画ファンなら知らない人はいない。

 個人的には「荒野の七人」に何の思い入れもない。
 映画(のタイトル)を知ったのはわりと早い時期だった。小学校の高学年か。西部劇の傑作であること、スターが大勢出演していること、日本映画が基になっていること。記憶が定かではないのだが、たぶん「七人の侍」より先に知っていたと思う。テーマ音楽も耳に馴染んでいる。
 が、観る機会がなかった。TVの洋画劇場で放映されたことがあったのだろうか。観た覚えがない。

 高校時代に「七人の侍」がTVで放映された。全編後編に分けて二週にわたって。むちゃくちゃ面白くて、その後は劇場(リバイバル上映)で、ビデオで、DVDで何度も鑑賞している。
 「荒野の七人」を観たのは最近である。この歳になると10年前も最近であるから、時期ははっきりしないのだが。
 映画の印象だけ覚えている。「七人の侍」の方が断然面白いじゃないか! 

 「七人の侍」のすごいところは、映画の前半、志村喬演じる勘兵衞が仲間を集めるくだりから夢中になれることだ。
 野武士の襲撃から村を守るために、村人は侍を雇うことにする。町にやってきた村の代表たちが侍をスカウトして、最初に選ばれるのが浪人の勘兵衞。この勘兵衞を慕って6人の浪人が集まるエピソードが愉快、痛快なのである。七人の侍のそれぞれの個性を際立たせながら、侍の侍らしさが描かれるのだから目が離せない。

 上映時間が3時間強の「七人の侍」に対して、「荒野の七人」は2時間しかないためか、ユル・ブリンナーによるガンマン集めにそれほど時間をさけない。僕が「荒野の七人」を面白くないと思うのは、ここに要因があるのかもしれない。
 もし、もっと早く、「七人の侍」より先に「荒野の七人」を観ていたら、印象は違っていただろう。

 最初に予告編に触れて反応したのはアップのデンゼル・ワシントン。どことなく志村喬に似ていたのだ。志村喬をもっと男前にした感じか。次にバックに流れる曲。「朝日のあたる家」だ。劇中に流れる、もしかしたらエンディングロールに流れるこの曲を聴きたいと思った。
 「荒野の七人」のリメイクなのに、なぜにタイトルが「The Magnificent Seven」? 数秒おいて得心した。「荒野の七人」の原題なのである。
 続けて思った。〈マグニフィセント〉とは何ぞや? 調べてみると「崇高な」「豪華な」「偉大な」「素晴らしい」を意味する形容詞だという。

 「荒野の七人」が「七人の侍」をわりとそのまま翻案しているのに対して、「マグニフィセント・セブン」はリメイクだからか新規軸を打ち出している。
 敵方に絶対悪、それも個人を配置したのだ。
 「七人の侍」では野武士が、「荒野の七人」では盗賊が貧村を襲う。野武士も盗賊も頭領がいるが、あくまでも集団の中の一人という扱いだった。
 この映画では、とある開拓地に金鉱があり、それを独占したいがために悪徳実業家があの手この手を使って、住民を追い払おうとする。そのためには殺人も厭わない極悪非道な奴なのだ。もちろん、実行するのは部下たちだが。

 この実業家に亭主を殺された未亡人(ヘイリー・ベネット)がヒロイン。ちょっと見、「ロミオとジュリエット」のオリビア・ハッセーみたいで(胸元から上)、中学時代を思い出してちょっと胸キュン。
 この未亡人(ともう1人)がデンゼル・ワシントンに敵の排除を依頼する際に、「復讐」という言葉を発する。亭主を意味もなく殺されたわけだから当然なのだが、少々違和感があった。

 七人のメンバーに東洋人を入れた。
 その一人がイ・ビョンホン。ナイフの使い手で、実になんともかっこよいのであるが、文句を言いたい。
なぜ韓国の俳優なんだ!  
 日本のアニメ「マッハGOGOGO」をハリウッドで実写映画化した「スピード・レーサー」でも主要キャストの一人が韓国人俳優だった。
 日本映画の名作を翻案した映画のリメイクなのだから、原作にリスペクトするなら、日本人俳優を起用してもらいたい。
 まっ、イ・ビョンホンは若き日の藤竜也みたいで素敵なんですけどね。
 インディアン、もとい、ネイティブ・アメリカン(マーティン・センズメアー)もメンバーになる。
  
 デンゼル・ワシントンのメンバー集めのシークエンスから、何かと「七人の侍」と比べてしまい、不満タラタラだった。
  手垢のついた展開もあって、がっかりもした。クライマックスのアクションもとりたてて驚愕することもなかった。
  が、クライマックスのクライマックス、デンゼル・ワシントンと敵のボス(バーソロミュー・ボーグ)の戦いで膝を打った。冒頭で抱いた違和感も解消された。

  映画が大団円をむかえて、七人を紹介するクレジットとなる。バックに流れるのは「朝日のあたる家」ではなく、「荒野の七人」のテーマ。胸が躍るね、やっぱり。
  



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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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