2017/05/27

 「紙ふうせんシークレットライブ 2017」(Gallery Nu-Vu)

 その3から続く

 今回のパフォーマンスは、自分にとって「赤い鳥楽曲講座」というような位置づけだった。実際のライブでどんな話をしたかったのか、ここに文字で再現したい。

     ◇

 皆さんの中には赤い鳥時代からのファンもいらっしゃると思います。
 そういう方々にお訊きしたい。赤い鳥で一番好きなアルバムは何でしょうか?

 私の場合、2枚のライブアルバムははずせません。特出していると思います。
 「ミリオン・ピープル」の「もうっこ」はすごいですよ~。2枚組みのB面まるまる約20分のセッションは興奮します。ゲストのナベサダのアルトサックス、桜井英顕さんと森本哲也さんのパーカッション、深町純さんのエレクトリックピアノ。平山さんの、何かにとりつかれたような熱唱もガツンときます。
 あの演奏を生で聴いた方たちがうらやましくて仕方ありません。もう何度も繰り返し聴いています。

 スタジオ録音に限定すればメンバーのオリジナルで構成された「祈り」ですね。「紙風船」が収録されている「パーティー」も好きですが、やはり「祈り」を挙げます。
 大村憲司さんのギターにしびれます。
 大村さんは素晴らしいギタリストで、こんなムックが発売されました。

 (「大村憲司のギターが聴こえる」を紹介)

 私にとって、石間秀機さんと並んで大好きなギタリストです。
 
 「祈り」の前半は後藤さんがハジけまくっています。詩の朗読はあるわ、コミックソング(?)は歌うわ、絶叫するわ、もう大好きです。後藤さんのワンマンショーが終わると「雨」「虹を歌おう」「誰が鳥を」「星」と続く流れがまたいいんですね。「雨」を聴くと、雨の日も悪くないなあと思いますもん。

 ほとんどの曲を大村さんが書いていますが、このアルバムの肝は後藤さん作詞作曲の「誰が鳥を」と平山さん作詞作曲の「星」だと思っています。

  「星」は大村さんのギターと平山さんのヴォーカルの絡みが最高でまさにロックしています。大村さんは新居潤子さんの声に惚れていて、彼女に歌ってもらいたくて赤い鳥に楽曲を提供していたと聞いたことがあります。確かに新居さんが歌う「虹を歌おう」や「みちくさ」等いい曲があります。でも、大村さんの鋭角なギターの音色は力強い平山さんのヴォーカルにこそ合っているのではないでしょうか? 
 「星」は、特に、エンディングで入ってくる唸り(?)がいいんです。低音でメロディーを奏でるのですが声の響きがズシンとくるのです。平山さんのヴォーカルというと高音の透きとおる声が有名ですが、低音もまた魅力なんです。聴くたびゾクゾクします。

 「誰が鳥を」を最初に聴いたのは、ライブアルバム「ミリオンピープル」でした。
 最初の印象は楽しい曲だなというものでした。
 後藤さんが語り部として歌いだして、〈風〉の役を担当、続けてメンバーの大川さん、平山さん、山本さんが〈森〉、〈雨〉、〈牡牛〉の役で後藤さんに絡んできます。
 男女が集まって歌うのには最適だなと思ったんです。誰か一人がギターを弾いて。もちろんハーモニーも完璧です。最後は圧倒されますから。

 こんな歌です。

 (「誰が鳥を」を歌唱)

 内容については特に考えたことがありませんでした。ちょっと童謡っぽいところは後藤さんらしいと思ったくらいですか。メロディーは僕の琴線に触れて大好きです。
 この曲がマザーグースの「Who killed Cock Robin?」(誰が駒鳥殺したの?)にインスパイアされてできたものだと知ったのは、小林信彦の「唐獅子株式会社」を読んだときで、大学生でした。

 「唐獅子株式会社」をご存知ですか?
 大阪のやくざの組員が、流行に敏感で気分屋の大親分の鶴の一声で社内報を発行したり、放送局の設立したりその他もろもろ右往左往するさせられる爆笑の短編集です。その3作目で社内報に掲載されるのが、主要人物の一人が大阪弁で訳したマザーグースの一編「Who killed Cock Robin?」〈極道バージョン〉と銘打った「だれが駒鳥いてもうた?」です。
 なんと「誰が鳥を」には元ネタがあったんですね。

 (「Who killed Cock Robin?」の一部を原文で紹介)

 改めて「誰が鳥を」の詞について想いをめぐらせてました。
 驚きました。これ、後藤さんの赤い鳥へのレクイエムなんですよ。
 鳥を赤い鳥にすればよくわかります。
 後藤さんは〈風〉です。
 「誰が鳥を消したのだ?」という問いに〈風〉は「オレだ」と答えます。「オレのくしゃみで消したのだ」。
 それから、大川さんの〈森〉が「オレの頭に落ちてきたのだ」、平山さんが〈雨〉で消えた赤い鳥に涙を流します。山本(俊彦)さんは〈雄牛〉で、鳥の墓を掘ります。そして、最後、〈風〉が「オレのくしゃみで鐘をならそう」「町中祈りの鐘をならそう」としめくくります。
 後藤さん、この歌で赤い鳥の解散宣言しているんです!

 解散宣言の歌に、メンバーを登場させてしまうところが後藤さんらしい。できれば新居さんの出番も作ってほしかった。
 アルバム制作時、録音時、ほかのメンバーはこの歌に対してどう思ったのでしょうか? 

 ということで、今日は「誰が鳥を」のメロディーで「だれが駒鳥いてもうた?」を歌います。
 せっかく関西で開催されるライブなんですから。
 また、「唐獅子株式会社」完全版が出版された記念でもあります。
 
 (「だれが駒鳥いてもうた?」歌唱)

 いかがでしたか?
 アルバム「祈り」については、もっともっと語りたいのですが、時間もありませんので、この辺で終わります。

 ご清聴ありがとうございました!








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Comment
No title
FC7月号が届きました。シークレットの内容が写真でつづられておりましたが、keiさんのこの後を記していただければ・・・ 待ってます
ジンギスカン さん
FC通信が届く前に完成させなければ。
そう思っていたんですけどねぇ。
ごめんなさい。できませんでした。
もうしばらくお待ちください。
あと少しですから!
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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