盗人猛々しいという言葉があてはまるかどうか知りませんが、ダウンタウンの浜田雅功が相方とMCを担当する歌番組内で、宇多田ヒカルを相手に「倉木麻衣が宇多田ヒカルをパクった」云々の発言に倉木サイドが名誉棄損、告訴も辞さないと猛反発したことに対して、どうにも納得がいきません。

 私が倉木麻衣を初めてTVで見たとき、画面にはデビュー曲のプロモーションビデオが流れていたんですが、まるっきり宇多田ヒカルでしたよ。
 ラジオで倉木の歌が流れたときは、宇多田ヒカルの新曲じゃないか、と一瞬思いました。

 別に、宇多田ヒカルの二番煎じ、モノマネで売るというのも一つの戦略ですし、それで一気に売り出し、次第に独自の色をだしていくのも手なのかもしれません。ただし、世間一般の人たちが思っていることを浜田雅功が代弁するに及んで、告訴するという態度がどうにもこうにも解せないのです。

 ゲーム業界を振り返ってみても、こういうモノマネ、パクリなんて当たり前、それで業界が成り立ってきたともいえます。
 たとえば、ナムコの「鉄拳」は「バーチャファイター」のパクリともいえますが、「鉄拳」には「鉄拳」のファンがいて、根強い人気を維持しています。
 もし、「鉄拳」が登場したとき、セガ関係者が「あれはバーチャファイターのパクリだ」と指摘したとして、ナムコ側は「告訴だ」と反発するのでしょうか? もっと鷹揚にかまえて、「鉄拳」のいいところ、バーチャファイターとの差別化部分を力説するんじゃないでしょうかね。

 私が言いたいのは、倉木サイドって自分たちが常日頃意識して触れられたくないところを浜田にズバッと言われてしまったことで過剰反応をしてしまった、その過剰反応でやはり宇多田の真似であることが印象づけられてしまった、ということです。

 エンタテインメントの世界では完全なオリジナルなんて望むのはもはや不可能です。ルーカスやスピルバーグの映画が大ヒットしますが、彼らは過去の映画をうまくパクリ(引用して)、今様の意匠をほどこしているわけです。
 話は飛んでいますが、要はセガでもうまく人気ソフトを引用して、大ヒットをだしてほしい、ということなんです。




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新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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