1999/08/07

 「シャロウ・グロウブ」(ビデオ)

 「トレイン・スポッティング」のダニーボイル監督&主演ユアン・マクレガーコンビのデビュー作だと知ってずっとビデオ屋で探していて、やっと見つけてきた。
 同居人3人組(女1人&男2人というのはやっぱり絵になる)の仲が大金によっておかしくなっていく様を個性的な映像で見せる。

     ◇

1999/08/26

 「砂の器」(TV)

 この映画を初めて観たのは高校1年の時だった。
 この時の併映作品のカップリングがよかった。「男はつらいよ 寅次郎子守唄」。確か十朱幸代がマドンナ、上條恒彦と最後に結ばれる話で、映画館で初めて観た寅さん映画だった。寅さんで笑い、砂の器で泣く。
 とにかく「砂の器」は泣ける映画だった。その後何度か映画館、TV、ビデオ等で再見しているが、いつも同じシーンで涙があふれてくる。
 後で原作を読んだが、映画の方ができがいいと思ったものだ。構成が素晴らしい。前半はスーパーインポーズを多用して事件の流れを追い、後半は捜査会議と犯人の少年時代の回想シーンを交互させる。少年時代を演じた子役の表情と芥川也寸志のテーマ音楽がシンクロして、相乗効果で観ている者の涙腺を緩ませるのである。
 久しぶりに観た今回、同じように泣いてしまったのであるが、あまりにもでき過ぎな展開が気になった。感動させようとするスタッフの意図も必要以上に感じた。
 当時、事件の舞台となった蒲田は全くの見知らぬ街であった。それが今では住居のある川口の次に会社のある所として非常に身近な存在になってしまった。蒲田がでてくると、そこがどこだか確認したくて、ブラウン管に顔を近づけたほどだ。
 公開当時、主演の一人森田健作がヘタクソだと淀川長治に批判されていて、僕は若者の代表って感じでいいではないかと日記に反論を書いた憶えがある。やはり見事にヘタだ。ミスキャスト。

 今回初めて気がついたのだが、刑事役の某俳優が「順風満帆」をジュンプウマンポと言っている。まわりのスタッフ、誰も気がつかなかったのか? 当人にとっても恥ずべきことだと思うのだけど。 

     ◇

1999/09/01

 「オースティン・パワーズ:デラックス」(丸の内プラゼール)

 前作の「オースティン・パワーズ」はまだ観ていない。にもかかわらず、やけに評判がいいんで映画サービスデーに友人に誘われ、さっそく観てきた。
 60年代のスパイ映画を当時の風俗、ファッションを含め、現代(90年代)の感覚から笑い飛ばそうという狙い、ギャグが下ネタの、たぶんに下品な内容、今風で言えば「おバカ」映画くらいの認識しかなく、笑えなかったどうしようと思っていたら杞憂だった。もう全編大爆笑だ。
 オープニングの「007」風のテーマ曲でニヤリ。続く「スターウォーズ」の字幕、タイトルバックの主人公が全裸でホテルを闊歩し、プールのシンクロナイズドスイミングに乱入するところで、完全に映画の世界に入り込んでしまった。
 敵役のDr.イーブルが最高。キャラクター自体コント55号時代の二郎さんを彷彿させ、「飛びます、飛びます」をいつ言いだすか、けっこう期待したりして……。扮する役者が何ともうまく、なんて人なんだろうと思ったら、主役であるマイク・マイヤーズの二役でした。全然知らなかった!  60年代をそれなりに知っている者としては60年代のファッション、歌の数々が懐かしく胸躍った。今見てもけっして古めかしくも、おかしくもない。サイケはエネルギュッシュだったなあ。それにオシャレだ。

 「I'll never fall in love agein 」(この曲を僕は初期の赤い鳥のレコードで知った)がバート・バカラックのオリジナルで聴けたのは幸せ。

     ◇

1999/09/26

 「マトリックス」(丸の内ピカデリー)

 最初はキアヌ・リーブス主演のSFアクションぐらいの認識しかなかったが、巷の評判がやけに高い。キアヌ・リーブスも「スピード」時のスリムな体型に戻っていることだし、これは観る価値あるってんで、昨日前売り買って、病院に行ってから丸の内ピカデリーに寄ったら、すでに立見の状態。
 しょうがないから今日2回目の上映に行ってきた。余裕をみて1時間前に行ったにもかかわらず、すでに行列ができていた。すごい人気である。

 仮想現実の世界を描いたSF小説は僕が知らないだけでけっこうあるのだろう。
 藤子不二雄の異色SF短編集にこんな話がある。妻子のいる平凡なサラリーマンが何となく自分の生活のうそ臭さが気になってしょうがない。まわりの人間たちは「気のせいさ」と笑い飛ばすのだが、その気分はますますひどくなって、ついには人殺しまで犯してしまう……。そこで男は仮想現実から現実世界ー核戦争によって破壊されてしまった地球があったであろう空間ーにひきもどされる。宇宙に残ったたったひとつの細胞から主人公を再生し、彼が不自由なく生活していけるよう仮想現実を与えたのは心やさしき宇宙人だったのだ。宇宙人は男の不信感を嘆き、去っていく。男はただ一人宇宙空間を寂しくさまようところでジ・エンド。
 現実が作られた仮想現実だと知った時の衝撃はたまらないものがあるに違いない。

 この映画は主人公ネロが1999年の仮想現実からモーフィアスに導かれ2200年代のコンピュータに支配された現実に引き戻されたところからドラマが始まるのであるが、この1999年の舞台が仮想現実というところがこの映画のミソだ。つまり何でもありの世界になってしまうのだからどんなSFX、アクションがでてこようが、観客は納得してしまう。個人的にはロードショー前から有名だった人物をワイヤーで吊って数十台(もっとか?)のカメラで360度撮ったシーンより、ヘリコプターがらみのアクションシーンに度肝を抜かれた。そのくせ現実世界でのイカの形をした敵の潜水艇と主人公が乗船する乗り物のチェイスシーンのSFXは完全に見慣れたもので何の感慨も起きやしない。
 そしてクライマックスの、時間までにネロが脱出できるかどうかハラハラドキドキのサスペンス。これぞ映画の醍醐味って感じ。
 ダイエットして痩せた短髪姿のキアヌ・リーブスはかっこいいけど、相手役・トリニティのキャリー=アン・モスの吹き替えなしのアクションに心奪われた。音楽もいい。

     ◇

1999/09/27

  「バウンド」(ビデオ)

 マフィアの情婦とレズの関係になった刑務所帰りの窃盗のプロ女が、共謀して情婦の男が預かったマフィアの大金を盗もうという話。まんまと大金を手に入れるが、男が予定どおりの行動をとらず、そこからドラマは二転三転。途中から話の展開が読めなくなり、緊迫したシーンの連続で、後半は画面から目が離せなくなった。クライマックスでは思わず声をあげてしまったほど。
 ほとんど室内で進行するドラマで、これだけ見る者を引っ張れるなんて、さすがウォシャウスキー兄弟監督。デビュー作からほとばしる才能が感じられる。
 「マトリックス」に通じるものもいくつか発見できた。ジェニファー・ティリー扮するコーキーはトリニティのプロトタイプか。アナログな旧式タイプの電話にも何か思い入れでもあるのだろうか。




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kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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