最近、このブログ、手を抜いていないか。みんな転載ばかりではないか。
 あなた、そう思っているでしょう?
 はい、正解です。
 実は、もう疲れがたまりにたまって、帰宅して、すぐ横になって、TVを見ているといつのまにか寝てしまう。目を覚ますと早朝、すぐに出勤支度をしないといけなくなる。そんな毎日が続いています。

 もうひとつ、HPのレビューをとにかくどこかに保存しておかないと、いつ閉鎖されるかわからないという理由もあります。

 とにかく、体制を立て直さないと。
 本当なら、小説も書いていなければならないのに、全然筆が進んでいない。
 尻に火がついた状態なので、秋には一つの答えを出します。

          * * *

2000/01/11

 「天国と地獄」(ビデオ)

 娘に「踊る大捜査線 -The Movie-」の元ネタをみせてやろうと借りてきた。もう何度目の鑑賞になるだろうか。

 前半は権藤邸における密室劇で、そのまま舞台劇として通用する。後半部分の内容を変えて「天国と地獄」を舞台化しようとする演劇人は現われなかったのか?
 映画は犯人を特定するまでがむちゃくちゃ興味をそそられる。警察の犯人検挙までの捜査方法をこれほど具体的にリアルに描いた映画はこれが初めてではないか。僕自身は映画「砂の器」で刑事たちが二人一組になって、地道に事実を拾い集めていく捜査の過程、あるいは刑事が一同に集まって情報交換する捜査会議の実態を知り、TVの刑事ドラマにはないリアルさが新鮮に感じたのだが、すでに黒澤監督は具現化していたのである。
 にもかかわらずTV界は「天国と地獄」の世界を踏襲せず「七人の侍」のチームワーク部分を引用して「七人の刑事」が生まれ、それが基本(伝統)となって「太陽にほえろ」「大都会」に続いていく。「踊る大捜査線」はピンクの煙以外にもちゃんと本家のいい部分を引用しているということだ。身代金に使用する札のナンバーを一枚一枚チェックするため徹夜するところなんて「踊る…」の水野美紀の台詞を思い出して笑ってしまう。

 これまで特に感じなかったのだが、三船敏郎演じる靴職人あがりの重役・権藤がいい。冒頭他の重役から新商品として発売する安価な靴をバラバラにしてダメなところを指摘するところ、犯人に渡す身代金の入ったバックに特殊装置を組み込む際の、「昔の経験が活かせる」と自らバックを手にとって加工するしぐさにプロの男を感じてしまう。
 今回初めてわかったのが、三船の息子役は江木俊夫だったということ。熊倉一雄も市場の男で登場する。

 犯人特定までは映像にくぎづけになるのに、その後の展開がどうもピンとこない。一つは麻薬常習者の巣窟シーンが現実にありえないこと(昭和30年代の横浜に本当にあったのか?)。もう一つは犯人の権藤に対するどうしようもない恨み、犯人を極刑にしようと熱い正義感ぶりを発揮する刑事たちの心情がいまいち理解できないからかもしれない。
 つまりどちら側にも感情移入できないまま、権藤と犯人の対立という構図でこちらがあっけにとられたまま物語が唐突に終了してしまう、その違和感がどうしてもぬぐえないのだ。

     ◇

2000/01/30

 「どん底」(ビデオ)

 ラストが鮮やかだ。
 なんだかんだと小競り合いの続くボロ長屋の住民たちが一つにまとまり、馬鹿囃子で最高調に盛り上がったその時、住人の一人(役者)が裏で自殺したとの連絡が入って、住民のリーダー格的存在の喜三郎がポツリつぶやく。
「ちぇっ、せっかくの踊りをぶちこわしやがって、馬鹿野郎!」
 拍子木がカチンと鳴って「終」のタイトル。あっけない幕切れだ。
 徐々に盛り上げていって、一気に突き離す感覚、これは黒澤監督の「ボレロ」ではないか。
 ゴーリキーの有名戯曲を江戸に移して映画化した作品であるから、全編役者たちの白熱した演技が見物なのだが、ラストの馬鹿囃子のシーンが特に気に入った。役者たちの見事なアンサンブル、そして踊るみんなの表情がたまらなく素敵で、観ているこちらもついつい身体を動かしたくなる。
 嘉平役左卜全のひょうひょうさ、喜三郎役三井弘次の口跡、留吉役東野英治郎が馬鹿囃子の時に合いの手を入れる際のうれしくってたまらないという表情が出色。香川京子が美しい。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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