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 先日、BC二十世紀に石ノ森章太郎のコミックスが入荷された。「石ノ森マンガ学園」というコミック文庫。
 小学生のころ漫画家になりたくて、入門書を買い集めた。その一冊が「石ノ森マンガ学園」の元本「石森マンガ教室」。もう何度読み返したかわからない。愛読書だった。

ishinomorimanga

     ◇

2002/11/22

 「石ノ森マンガ学園」(石ノ森章太郎/ホーム社漫画文庫/集英社)  

 地元の書店のコミックコーナーでこの文庫を見つけた。小学生時代の愛読書だった「石森マンガ教室」の文庫本で新装版。単行本「石森マンガ教室」は郷里に行けば、たぶんどこかにしまってある(僕の本はダンボール箱に入れられ押入に詰め込まれている)が、もういちどあの感動を実感したくて、あわてて購入した。  

 とにかく懐かしい。  
 石森章太郎を模したマンガの先生がビルとビルの間にある一戸建てのボロ校舎でマンガ教室を開催。マンガ好きな少年少女を相手に「マンガの描き方」のイロハを伝授するギャグマンガ。この学校、何と授業料はタダ。僕もこんな学校でマンガを勉強したかった!   
 ページを開いたとたん小学生だったあの時代に舞い戻って一気に読了した。  

 元は「週刊少年キング」に連載されたもので、読者からの投稿作品も生徒の発表という形で掲載され、石森先生の短評がつく。この作品も当時のまま。今あらためて投稿者の名を見ると、後にプロの漫画家になったと思われるものが散見される。菅谷充と河あきらだ。
 菅谷充はすがやみつる、「ゲームセンターあらし」の作者として名前だけは知っている。河あきらといえば「いらかの波」だろう。予備校時代に女友だちにコミックスを借りて夢中になった覚えがある。  
 そこらへんの事情が新装版に追加された「第4部 課外授業」で説明されている。登場する居村眞二、河あきら、すがやみつるの三氏が当時の思い出を語る。

 石森章太郎が書いた「マンガ家入門」に衝撃を受け、マンガ家になりたくて憧れの師のもとに集まった人たちで、当時同人誌「墨汁三滴」を発行していた。ちなみに石森章太郎がアマチュア時代に主宰していたのが東日本漫画研究会で、その肉筆回覧誌が「墨汁一滴」だった。
 居村眞二は「マンガ学園」に一回だけ投稿して採用されているが、後の二人は投稿の記憶がない。それもそのはず、なぜ二人の名前があるかというと同人誌の会長で石森プロのアシスタントになっていた菅野誠(マンガ家のひおあきら)という人が投稿者用の作品を描いて、その名に同人誌のメンバーの名を使ったというのが真相らしい。  

 「マンガ学園」の中で一番注目したのが、どのように「サイボーグ009」が生まれたかを生徒の一人をモデルに使って、その立案、原稿完成までを解説するところ。  
 TVの野球中継を見ていて、9人のチームワークから、スポーツのような戦争、闘いを描けないか。それもリアルなものでなく、スカッとしたいくさを、ということで、SFの設定を導入する。生徒はアイディアをノートにメモしていく。主人公を何者にするかと、悩む生徒。ロボット(アンドロイド)、スーパーマン、異星人……。以前「ライフ」という海外の雑誌にサイボーグマン(改造人間)の記事が載っていたことを思い出して取り入れる。敵チームをどうするか。SFものにありがちな宇宙人やエスパー軍団はではパッとしない。やがて戦争でもうける男たち(死の商人)の存在を知り、サイボーグ戦士たちが平和のために死の商人たちと戦う話を考えつく。

 こうしてまず絵コンテ(ラフスケッチ)を描くのだが、その冒頭がコミックス1巻と違うのだ。コミックスでは世界各国から少年少女たちが死の商人に連れ去られて、改造手術を施され、サイボーグ001から008になるエピソードがある。しかし、この下書きでは後に009になる島村ジョーが九里浜鑑別所を脱走するところがオープニングになる。
 後で知ったのだが、コミックスのオープニングエピソードは、「サイボーグ009」が人気を呼んでから、「サイボーグ戦士」のタイトルで描かれた読み切り作品だった。

 新装版に新たに追加された作品解説用のマンガが、後に「佐武と市捕物控」シリーズとなる「縄と石捕物控」の一編「赤い月」。初めて読んだ。少年サンデー連載というだけに、佐武がいかにも少年といった感じ。    

 今は小説家として活躍する菅谷充は自分にとって最後まで石森章太郎だったと、自身の書く文章はすべて石ノ森ではなく、石森で統一している。同じ考えの人がいるものだ、とうれしくなった。
 僕にとってもいつだって石森章太郎である。脱字ではないので、その旨ご了承を。




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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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