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 昨日(20日)は経堂で呑んだ。
 BC二十世紀のイベントの一つとして「少年ドラマシリーズ」を取り上げたいと常々考えていた。
 ひょんなことから「少年ドラマシリーズ」のムックを上梓したMさんと知り合えて、その旨伝えると「じゃあ、〇〇さんと打ち合わせしますか」と目の前で電話してあっというまに日時が確定したというわけ。
 「なぞの転校生」の主人公を演じた俳優さん。特撮ファンにはウルトラシリーズで顔と名前を覚えた。
 「ウルトラセブン/円盤が来た」「怪奇大作戦/霧の童話」「帰ってきたウルトラマン/怪獣少年の復讐」「ウルトラマンティガ/悪魔の預言」……仮面ライダー世代には「超人バロム1」の少年二人組の一人を演じたことで有名だろう。
 そんな俳優さんを目の前にするのだからドキドキもんだ。

 翌日(つまり今日)は休みなので焼酎のお湯割りをガンガン呑んだ。
 西川口からアパートに帰る間に酔いと眠気が一気にやってきた。
 で、またやってしまいました。寝ながら歩いていて、フェンスに激突! 顔面と右足の膝に激痛が……。今も痛い。腫れている。

 とにかく夏前に少年ドラマシリーズイベントを開催したい。

          * * *

2000/10/11

 「出版クラッシュ? 出版に未来はあるかⅡ」(安藤哲哉・小田光雄・永江朗/編書房)

 本が売れなくなったと言われてどのくらい経つのだろうか。状況はますます悪くなっているようだ。出版業界の人間ではないけれど、やはり本好きな者としてその未来には大いに興味がある。
 本書は、元〈往来堂〉店長・安藤哲也、出版社経営者の小田光男、出版仕掛人の永江朗の3人が現在の出版業界、書店業界が抱えるさまざまな問題、果たして書店、出版社、取次は崩壊するのか、どうすれば再生できるのかについて熱く語る〈超激震鼎談〉をまとめたものである。

 副題に「出版に未来はあるかⅡ」とあるので、前作があるのだろうが、僕は知らない。羽田図書館に行ったら新刊コーナーにおいてあった。
 本が読まれない状況というのがよくわからない。電車やファーストフード店等読書にいそしむ姿はよく目にするもの。が、本が売れないという事実には納得がいくようになった。僕自身が昔にくらべて本を買わなくなったのだから。
 独身時代は読む本すべて購入していた。結婚してからは狭い自宅、当然自分の部屋なんてなく、わりと大きめの本棚があるだけ。それでも増え続ける書籍にかみさんから図書館を有効利用するよう厳命された。
 絶対に手元におきたい本(小林信彦の新刊とか)だけ購入し、あとはほとんど図書館を利用する。本が自分のものにならないというデメリットはあるが、これで読書量が増えたのは喜ばしい。
 買ってまでも……と思われる本、評判のハードカバーミステリなどすべて図書館で調達できる。人気の高い本は順番待ちで読むまでにけっこう時間はかかるけれど。で、どうしても手元におきたい本だけ文庫になったときに購入するという方針。

 最近書店がつぶれる話をよく聞く。
 本書でも話題になっている関西の某有名書店が倒産したと知ったときは驚いた。わが町川口でも老舗の岩渕書店が倒産した。(丸井インテリア館の後に書泉ブックドームができては仕方ないか。)
 通りの何の変哲もない、おまけにいつも客のいない小さな書店を見るたびに、儲かっているのかなあ、と心配になってくる。
 僕の理論なのだが、文具と書籍を扱っている書店は本の品揃えという点でまったく面白みがない。雑誌と新刊と文庫があるだけで、思わず手にとってしまう本がない。オリジナルティが感じられないのだ。立ち読みが趣味の僕としてはこれはつらい。
 それが何故なのかというのを本書で知った。棚をプロデュースするという行為があるかないか。
 〈往来堂〉はそのプロデュースを徹底的にしている書店だという。ジャンルを超えて関係書を同じ棚に並べ、つい手にとってしまう(ブックサーフィンというやつ)憎い演出をしている。
 出版業界の抱える問題の解決について門外漢の僕が考えたって仕方ない。それより千駄ヶ谷にある<往来堂>に行きたくて仕方ない今日このごろである。


2000/10/13

 「4U」(山田詠美/幻冬舎文庫)

 食わず嫌いシリーズ第2弾。(第1弾は柳美里の「命」。)

 山田詠美が「ベットタイムアイズ」で鮮烈にデビューし文藝賞を受賞してもまったく関心がわかなった。
 好きな神代辰巳監督が映画化(主演・樋口加南子)されても観る気もしなかった。
 女性の奔放な性のあけすけな描写、黒人とのセックス模様というものに嫌悪感、とまではいかないまでも自分とは関係ない世界とわりきっていた。以来発表する作品が話題になり、若い人、特に女性たちに絶大な人気を誇っているのを不思議に思いつつも確かめることはなかった。

 小説にエロティシズムを求めていなかったということもある。また、いい年して恋愛小説もないだろうという気持ちが常に意識のどこかにあった。いわゆる恋愛映画も類いも、二十代になってからは観ることがなくなった。独身ならばいざ知らず他人様の恋愛模様を読んで(観て)どこが楽しいのかという思い。特に山田詠美のそれは黒人やSMといった特殊な世界を扱っていて(と勝手に思い込んで)、今日まで手にとらなかったというわけである。

 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、友人が「面白いから読んでみて」」と貸してくれたのが本書「4U」と「A2Z」の2冊。タイトルからして何やら記号みたいで僕にしてみれば興味の対象外といった感じなのだが、昔から人に薦められた本はほとんど読む方針だから仕方ない。とりあえず文庫本の「4U」から読み始めた。

 ほんとに食わず嫌いでした。
 さまざまな恋愛の形をスケッチした短編集である。これがなかなかいける。恐れていた小説に対する反発というものはなかった。それより山田詠美の作品がなぜ読まれるのか、女性たちに支持されているのかわかった気がした。
 ときどきハッとする、心に響く、あるいはひっかかる表現が豊富なのである。
 たとえば表題作「4U」の冒頭は「男が長いことつかっていたバスタブの残り湯は、はたして、スープか。」だもの。最初からカウンターパンチをくらった感じ。

 どこにでもいそうな26歳の女性が友人との男とセックスに関する会話の中で自分の恋人(これまた街でみかける今風の男)との関係を再認識するたわいのない物語なのだが、この会話がけっこうこちらを刺激してくれる。
「私たちだって、男ってさあ、とかいうじゃん」
「そうよ。でも、それって、自分の知っている男のことでしょ。女ってさあ、と言えばそれは自分のまわりの女のことでしょ」
「私、本当に愛しているかどうかって、みじめな自分をその人の前で許せるかどうかにかかっていると思うの」
 恋愛とセックスの真実(らしきもの)を言いあてた言葉が何気なくでてくるところが魅力だろうか。これは主人公も設定もまったく異なる収録されているすべての短編に共通している。
 ちなみに「4U」とは「for you」のこと。


2000/10/19

 「A2Z」(山田詠美/講談社)

 30代半ばのともに純文学の編集に携わっている夫婦の何とも奇妙な愛の物語、といえようか。
 夫は若い愛人を作り、しかし妻とは別れないと宣言する。妻(本作のヒロイン)の方も会社の前にある郵便局に勤める若い男と恋仲となり、男の部屋へ通いつめる。均衡が保たれていたかのように見えた4人の関係も、ヒロインの郵便局員への精神的肉体的依存が高まるにつれ、徐々に崩壊していく。
 なんて書くと、ドロドロとした男女の痴話の修羅場が展開しているようで「うへっ」てなもんだが、実際はもっとさらりとしていて、さわやかな印象を受ける。
 「命」(柳美里)の作者と愛人の不倫関係にはたまらなく嫌悪感を抱いたけれど、同じような関係を描く本書にはまったく違う印象を受けたのが何とも不思議だった。ノンフィクションとフィクションの違いだろうか?
 かつて十代から二十代にかけて、彼女との(セックスを含めた)恋愛に似た感情を、ヒロインの若い愛人への思いに感じてしまい、かなり共鳴してしまった。ある種ピュアな部分を見出せたからかもしれない。  

 タイトル「A2Z」は〈fromAtoZ〉を意味する。全体をアルファベット文字数の26に分けて章立てし、各タイトルにAからZのアルファベットを冠す。各章の中でAからZまで1つづつ、その頭文字をもつ言葉をちりばめているという構成だ。

 出版社に勤める夫婦が主人公ということから、有能な編集者がどのように若い才能を見つけ開花させるか、というような〈メーキング・オブ・ブンガク〉の体裁も持っていて編集に興味を持つ者としては興味深い。

 「香水は男をパブロフの犬にする」の台詞にうなづくことしきり。




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校正力ゼロの男
お見舞い申し上げます
Comment
No title
こんにちは。
エイミーの小説の後味の理由は、彼女のエッセイを読むとわかりやすいのかもしれません。
彼女のデビュー作を初めて読んだ時、ようやく現代文学の新しい『文体』を持った人の小説を読めた気がしました。
元エロマンガ家が偉大な小説家になった伝説の1つがこの作家かもしれませんね。
私が一番好きな短編集は、昔の本『ソウルミュージックラバーズオンリー』です。
若いと、苦い、が交差する素敵な本ですよ。
mikaidou さん
返信が遅くなって申し訳ありません。

最初、エイミーとあって、オレ、そんな海外の女流作家のブックレビューUPしていないよ、なんて思ってしまいました。本当に。
山田詠美の愛称なんですね。そのくらい初心者なんです。
この本2冊を薦めてくれたのは、今は亡き女友だちで、彼女が生きていれば、続けてエイミー作品を読んでいたかもしれません。
今度、エッセイ読んでみます。

でも、自分でも面白いのは、小説が好きで新刊がでるとすぐに読むくせに、その作者がエッセイをだしてもまったく興味がない、そんな小説家が何名かいます。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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