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2001/02/22

 「推理小説作法」(土屋隆夫/東京創元社)

 業務で外出し、四谷駅で地下鉄からJRに乗り換える途中で簡易古書コーナーがあり、ちょっとのぞいたら本書が目についた。別にミステリを書こうを思ったわけではない。ミステリのルールでも学べればという軽い気持ちで手に取った。  
 恥ずかしい話だけれど、著者土屋隆夫の作品を読んだことがない。どんな作品を書いたかも知らない。にもかかわらず本書に興味を持ったのは、自分の思い入れがある作家が語るより、そうでない人の方が内容を客観視できると思ったから。それに版元もミステリ専門だし。

 講義の中でさまざまに自著を紹介してるのだが、どれも面白そうだ。  
 自作をテキストにする方法はその昔、石森章太郎の「マンガ家入門」で一度馴染んでいる。しかし、テキストとなる「三幕の喜劇」が途中までかなりいい感じできてラストでがっくりとくる。著者自身もその点を解説で認めているが。  
 タイトルについて最近の「○○殺人事件」の氾濫を嘆いていて、それは僕も感じている 。タイトルに殺人事件とつくものはほとんど手につけない。作者の神経疑ってしまうのだ。


2001/02/23

 「テレビ犯科帳 許せん!!」(吉川潮/講談社)  

 週刊文春恒例の特集記事「天下の暴論」でお馴染みの吉川潮の著作を今まで読んだことがなかった。芸人の評伝等、興味ある作品はいろいろあるけれど、縁がなかったというべきか。
 昨年、本書を見つけた時、こういうのを待っていたんだ、とばかりわくわくしながら手にとった。  
 で、あとで図書館にリクエストしようと(いつもこれだからわれながら情けない、それほど興奮したのなら買えよ!ともう一人の自分が叫ぶ。いいえ買いません、我が家の本棚のスペースと財布の中身をみたらとてもとても)、ついつい忘れていた。
 
 日刊ゲンダイに連載された著者会心のTV評をまとめたもので、うんうん納得しながらページをめくった。  
 見開き1ページで一つの番組を取り上げたコラムがジャンル別に(バラエティ、ドラマ、報道等)収録されていて、本になったのに際し、各番組に出演するタレント(俳優)の寸評(星取り)が付録としてつく。

 何がうれしいって、著者の嫌いなタレントがほとんど僕のと一致するところ。  
 田中義剛、中山秀幸、川合俊一、神田うの。著者は黒星3つを献上しているが僕もこの人たちがブラウン管に出てくると思わずチャンネルを換えたくなる。  
 田中義剛はかつてフォーク大全集みたいなスペシャル番組の司会を担当、まったくフォークに対する愛も知識もなく、ただ台本に書かれている台詞をしゃべっているのを知り、それから存在自体を嫌悪するようになった。中山秀幸はどこが面白いのかわからずにもかかわらずいたるところに顔をだすところ。要領だけいい人。川合俊一はいかにも女のことしか考えないすけべそうな雰囲気をもっている(この系列に新庄や元木がいる)。神田うのはワイドショーのレポーターに取材されるだけの存在だから。同じ存在に和田アキ子、美川憲一がいるけど、彼らはとりあえず歌手でそれなりの活躍をしている(した)からね。  
 とんねるずのふたりを比べ木梨を石橋より評価するところもよくわかる。著者は芸以外で石橋のダメな部分を糟糠の妻を捨て鈴木保奈美と結婚したことをあげていて笑ってしまった。そういえば石橋が浮名を流したタレント(アナウンサー)は皆僕の嫌いなタイプばかりだ。  
 数年前の連載だから取り上げられていないけれど、たぶんデビ夫人や叶姉妹なんて天誅ものではないか。

 今のTV状況について快く思っていない人にとっては日頃の鬱憤を晴らしてくれる格好のガス抜きの書である。


2001/02/27

 「浅草フランス座の時間」(井上ひさし こまつ座編著/文春ネスコ)  

 浅草のストリップといえば、どうしてもコメディアンとカップリングされたイメージがある。ショーの合間にコメディアンたちの寸劇、コントが上演され、女性のヌードが目的の客はその時間、休憩だから飯などをパクついている。コメディアンたちは何とか客の目を舞台に向けさせるために芸の向上に切磋琢磨した。だからストリップ劇場出身のコメディアンは実力がある、というようなことを何度か本やTVで見聞しているからだ。  
 その本拠地が浅草フランス座であり、渥美清や関敬六、谷貫一がここの出身であること、同時期に裏方の文芸スタッフに井上ひさしがいた、ということも有名である。
 
 「浅草フランス座の時間」はその井上ひさしと彼の主宰する劇団こまつ座が中心となって編集されているというので注目した。  
 そういう意味で〈爆笑同窓会対談〉と銘打ち、渥美清と井上ひさしの時を隔てた対談が2本収録されているのが貴重だし個人的にもうれしい。昭和48年と平成3年のともに8月の対談。  
 この対談とその後に続く「追悼名優に捧ぐ」と題した井上ひさしの渥美清の思い出を綴った文章、そして掘り出しものの「浅草フランス座 名・珍舞台集」の写真でかなり満足してしまった。
 
 しかし、しかし。「踊り子名鑑」は圧巻でした。当時人気を呼んだ代表的なストリッパーたちの写真の数々のオンパレード。  
 文章でしかその存在を知らなかったジプシー・ローズのマスクと肢体に思わず下半身がフニャラヘナラ!こんな人が出演するなら何度でも通い詰めます。TVドラマ等で気のいいおばさん役の印象が強い春川ますみのストリッパー時代の容姿(いまにもはじけそうな豊満な肢体!)も初めてこの目で確認できた。
 
 「ありがとう わが青春のストリッパー諸君!」は石崎勝久という人が談話の形で当時のストリッパーのあれこれを語るコーナーで、ストリッパーの光と影が鮮やかに浮かびあがる。軽快な江戸弁によるユーモアの中に通常ではうかがいしれない人情の機微にふれた部分があってしみじみしてしまう語りの巧さ。ストリッパーたちがごく身近な存在に感じられた。聞き書きは小田豊二。「のり平のパーッといきましょう」でそうだったが、まさに声を文字にする腕は天才級だ。




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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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