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2002/06/02

 「傑作から学ぶ 映画技法完全レファレンス」 (ジェレミー・ヴィンヤード ホセ・クルーズ 画/吉田俊太郎 訳/フィルムアート社)  

 図書館に行ったら映画コーナーの棚に本書があった。映画の技法についてあれこれ知っておいた方がいいだろうと手にとってみた。  

 洋画にしろ邦画にしろ、これまで映画の文法からすると信じられないようなショットにお目にかかることがある。たぶんにビデオクリップの影響があるのかもしれない。  
 今巷で流行しているのが、カメラの瞬間移動とでもいうのだろうか。通常なら滑らかな動きでA地点からB地点へ移動するところを途中コマ抜きしたような感じで、A地点~ゆっくり→一瞬でB地点~ゆっくり→一瞬でC地点というように変化するカメラワーク。洋画のアクションものに多く見られ、今はCFで多用されている。  
 別に新しい手法ではないが定点撮影をコマ撮りで処理したような映像も盛んに用いられている。  

 テクニックにも流行というものがある。  
 かつてやたらと見られたのが、被写体はそのままで背景がぐっとバックするというもの。移動とズームを組み合わせたテクニックだ。「時をかける少女」のラストシーン、最近(といってももう3年経つのか)では「黒い家」で用いられている。  
 被写体からカメラがすごい勢いでズームバックしていき、街から大地へ、やがて地球、太陽系、銀河系へと広がりをみせる映像(あるいはその逆)も今では当たり前のようになってしまった。ジョディ・フォスター主演「コンタクト」の冒頭、TV「ウルトラマンガイア」の最終回ラストで使用されている。  
 70年代、倉本聰がSF「ブルークリスマス」のラストで試みようとして果たせなかった技術がCGの発達で簡単にできるようになったわけだ。  

 どんな新しいテクニックがあるものかと読んでみると、まったくの新テクニックというものはなかった。  
 オーソドックスな基本テクニックから始まって、画面構成、クレーン使用、動きに変化をつける、視野に変化をつける、カメラ操作、フィルム編集、その他、と8つの項目に分けてそれぞれのテクニックを実際に使用している映画を引用して解説する。  
 それぞれホセ・クルーズという人のイラストが掲載されていて各テクニックがどういうものか一目瞭然で理解できるところがうれしい。


2002/07/17

 「千円贅沢」(中野翠/講談社)  

 中野翠が日経流通新聞にコラムを連載していたとは! それも7年間も。  
 流通新聞らしく商品についてのコラムなのだが、著者の持ち味を発揮して街で見かけた小物類、1,000円で買えるモノの紹介と寸評で構成されている。モノに対してほとんど興味がない僕だけれど、著者が中野翠なら何が書かれているのか興味あるところ。  
 「千円贅沢」、いいタイトルではないか。  

 一冊にまとめるにあたって、紙面で紹介した小物類を〈優雅なもの〉〈役にたつもの〉〈いつも使いたいもの〉〈きれいになるもの〉〈リクツじゃないもの〉〈気になるもの〉と6つに分類。  
 著者の住まいは晴海なので、銀座や日比谷がよく登場してくる。かつて築地の会社に勤めていた、あるいは映画を観に銀座近辺の映画館をよく利用する僕としては、阪急や西武、イトーヤ、アメリカンファーマシーなどが出てくるともうそれだけで親近感がわく。  
 普通なら本書で紹介されているモノについて「わぁ、これかわいい」、「これ欲しい」なんて思いながら、お店をチェックして今度買いに行こうとするのだろう。男性だったら彼女(あるいは女房)へのプレゼントするためのテキストにいい。でも僕ときたらそういうところにはとんと関心がわかない。  
 ガーデニングについて、作家津島祐子の言葉「なぜガーデニングなんていうんだ!? 庭いじりでいいじゃないか」を紹介、大いに共鳴していて、それを読む僕も大きくうなづいている。あるいは古今亭志ん朝の「雛鍔」がお気に入りと知れば、今度聴いてみようとメモする。  
 小物紹介の本でもやっぱり僕が興味あるのは、著者が何をどう見て、どう考えているか、というところなのだ。  
 ひとつだけ欲しいものがあった。イギリスの靴磨きセット(1,000円)。ソニープラザで売っているそうだ。




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Author:kei
新井啓介
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まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)

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