TOKYO MX日曜夕方(18時30分~19時)のお楽しみ、円谷劇場。先月20日で「ウルトラマンA」が終了し、27日から「ファイヤーマン」が始まった。
 地上波の放映は本放送以来らしい(再放送していないのか?)。奇しくも本放送と同じ日曜18時30分。この時間帯は今も昔も「サザエさん」が主流。よって「ファイヤーマン」は低視聴率で苦戦し、途中で放送日が変更されたとのこと。
 僕個人に限っていえば、「サザエさん」の裏でなくても観なかったと思う。もうこのころになると粗製乱造気味の特撮ヒーローものに嫌気がさしていた。そして、それはトップブランドの円谷プロ作品でも例外ではなかったということだ。

 〈円谷プロ創立10周年記念〉と銘打った番組は「ファイヤーマン」の他に「ウルトラマンT(タロウ)」「ジャンボーグA(エース)」がある。どれも真面目に観た覚えがない。「ウルトラマンT」はウルトラ(マン)シリーズの中でいまだに受け入れられないでいる。シリーズでコメディをやってほしくなかった。喜劇は好きだが空想特撮シリーズの延長戦でそれはないだろう! だいたいタイトルからして脱力ものだ。何が〈タロウ〉だ! ……ウルトラとまったく関係ない作品ならば、もしかして自分の中の評価も高くなるのかもしれない。
 「ジャンボーグA」は始まった当初はなぜか観ていた。が、円谷プロらしくない作りにうんざりしてやがて永久のお別れ。ドラマも特撮もヒーロー、怪獣の造形もみんな粗雑に感じたのである。

 石森章太郎+東映が巻き起こした〈変身ブーム〉は、円谷プロの巨大ヒーローものに悪しき影響を及ぼした。「帰ってきたウルトラマン」が最初から圧倒的な人気を呼んでいればと思わないではいられない。「帰ってきたウルトラマン」の2クールあたりまでは、ドラマとして本当によく出来ているのである。たぶん第一期に拮抗していた。しかし、視聴率的にあまり振るわず、というか、局が期待したほどのものではなく、3クールめからテコ入れがされていく。だからこそ〈11月の傑作群〉とファンの間で語れる作品が生まれることになるのだが、それにしったって、女優のスケジュールで坂田兄妹を殺すエピソードなんて作る必要はなかった。いまだにトラウマになっていますからね。兄弟の会話にでてくるだけでもよかったではないか。
 あるいは後半の怪獣、宇宙人の造形。あきらかに予算がないのが明らかだった。最終話のゼットンの……いやもうやめよう。

 思えば、第二期ウルトラ(マン)シリーズは、当初の作品の核部分を、途中であっけなく切り捨ててしまうことが目立った。「帰ってきたウルトラマン」の魅力は主人公の郷秀樹と坂田家との交流でなかったか。「ウルトラマンA」ならば男女の合体変身。どちらも途中でなかったものにされてしまう。
 僕は「ウルトラマンA」の途中で、この手の番組を卒業した。円谷プロは、この時期ウルトラ以外にもさまざまな作品を製作しているのだが、僕の期待に応えてくれるものがなかったのだ。こちらは「怪奇大作戦」や「マイティジャック」みたいな特撮ドラマが観たいのに、完全に低学年向けのものばかりなのだから。

 年齢的な問題もあったと思う。とにかく巨大ヒーローと5~6名のメンバーからなる専門の(それもいかにもなユニフォームを着た)防衛チームが登場するドラマにも食傷気味だった。
 「ミラーマン」は、怪獣の造形がイマイチだったものの、ドラマ自体はアダルトな雰囲気が前面に押し出され夢中になっていたが、徐々に子ども向けになっていき観るのをやめてしまった。それまでスーツ姿で活動していたSGMの面々がオリジナルのユニフォームを着てジャンボフェニクスに搭乗するシーンにがっかりしたものだ。
 ウルトラを卒業した者にとって、〈円谷プロ創立10周年記念〉とはいえ「ファイヤーマン」なんてまるで眼中になかった。ヒーロー、怪獣、メカ。どれをとってもダサすぎる。これで原点回帰なんて笑わせるぜ、っていうのが当時の感情だった。
 ちなみにファイヤーマンのスーツアクターは「ミラーマン」の西条満だ。

 今回、初めてわかった。ドラマそのものはきちんと作られているのだ。監督は大木淳(淳吉)。特殊技術出身で「帰マン」では11月の傑作群の一つ「落日の決闘」を撮っている。
 岸田森、睦五郎、平泉征(成)。渋いキャストが魅力か。第一話には山本廉がゲスト出演していた。東宝特撮映画には欠かせない脇役俳優だ。
 睦五郎は何たって声がいい。声を聞いているとどうしても「サンダ対ガイラ」のラス・タンブリンの顔がダブってくる。
 平泉征を知ったのは「なんたって18歳」だった。バスの運転手の役。だから当時特撮番組の防衛チームの一員というのがどうにも違和感があった。後年、「ウルトラマンガイア」で防衛隊(チーム)のトップ役はドンぴしゃりだったのに。
 主演の誠直也が本当に燃える男だったのには驚いた。怪獣が放つ怪光線を避けながら走るカット。足元で爆発して、ズボンの一部が燃えているのだ! 火傷しなかったのだろうか?
 主演は誠直也だが、主役は岸田森だろう。スーツ姿が決まっている。2話以降防衛チームが組織されてユニフォームを着ることになるのだろうが、このままスーツ姿で活躍してほしいなあ、なんて思ったり。

 そんなわけで、ずっと積ん読状態だった「不死蝶 岸田森」(小幡貴一・小幡友貴 編/ワイズ出版)を今週読んだ次第。
 

Fm.jpg
ファイヤーマンも怪獣もどこかユルイでしょう?
「怪獣王子」の恐竜ぐらいの造形であってほしい。

kishida.jpg
刊行されたときから気になっていたのですが、買えませんでした。
高価すぎて。
改めて当時の喪失感が蘇ります。
告別式、TVの取材を受けたショーケンの言葉がリフレインして。




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Comment
ファイヤーマンって、全身赤い・・・?

ミラーマンとかスペクトルマンとか、和風の変身忍者嵐とか怪傑ライオン丸とか、
時期とか内容とかあんまり覚えていませんが、とりあえず結構見てました。
岸田森さんとか平泉さんとか、当時は名前も知らなかったけど、よく見かけていた俳優さんなんだなあ。そういう意識もなかったんで。

岸田森さんが生きていたら、どんなお仕事されているのか、それはすごく興味あります。

「不死蝶 岸田森」ワイズ出版はすばらしいなあ~。


showken-fun さん
「変身忍者嵐」、観ているんですか?
特撮時代劇って、「赤影」のころから好きで、この番組も興味あったのですが、「ウルトラマンA」の裏で諦めました。
「仮面ライダー響鬼」という細川某が主演の平成仮面ライダーは、もともと「変身忍者嵐」」のリメイクから企画された作品らしいです。

「不死蝶」、もう読んでいらっしゃる?
岸田森ってすごい役者だったと今さらながらわかります。
読了してからというもの、生きていたら今どんな演技を見せてくれるか、そんなことばかり考えています。

ところで、今度のショーケンのライブ、時期が離れているので、関内、中野、両方買ったんですよ。関内は最前列、でも右の方。中野は4列め、真ん中あたり。いい席でした。
変身忍者嵐は、ライオン丸より好きだ、なんて思っていました。何でしょうね。スタイリッシュな感じがして。カラスみたいなのに。
へえー、仮面ライダーが。そうだったんですか。見ればよかった。もうかなり前ですよね、それ。

あたし、ウルトラマンは帰ってきたウルトラマン以後、ほとんど見てないんですよね。タロウとかAとか、主題歌が歌える程度にはチラチラ見ていましたが・・・。

「不死蝶」読んでいます。
「森ちゃんのこと」あのページを思い浮かべるだけで涙が出そうです(笑)。
人間として面白い人なんですね。すごく。
ご存命ならば今頃、監督とかプロデューサー業でも、面白い仕事をしてるんじゃないかと思ったりします。ウルトラマンシリーズの脚本家になってたりして!?
森さんがいてくれたら、ショーケンもいろいろと違ってたかも・・・・・・・・・・。

おお、ライヴ、どちらもいい席ですね。
関内まで、行くか行かぬか・・・検討中です。先立つものが・・・(泣)。


showken-fun  さん
悠木千帆と離婚したとき、あのふたりが結婚していたことに驚きました。あくまでもTVから受ける印象でしかありませんが、どうみてもお似合いとは思えなくて(笑)。暗い家庭だろうなあと。

今、「ファイヤーマン」2回目観終わりました。
ラストで、防衛チームSAFが結成され、ユニフォームに身を包んだ岸田森、睦五郎、平泉征が。かっこわりぃ!!
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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