承前

 「帰ってきたウルトラマン」に登場するウルトラマンは「ウルトラマン」のウルトラマン、初代ウルトラマンではない。最初の企画は、初代ウルトラマンが再び地球にやってくるという設定だったらしい。だからこそ「帰ってきたウルトラマン」のタイトルがついたわけだが、途中で別のウルトラマンに変更された。
「新しいウルトラマンなのになぜ〈帰ってきた〉?」
 そんな疑問をよく目にするが、当時はそれほど不思議に思わなかった。デザインは違うけどウルトラマンはウルトラマンだ。そのウルトラマンが 久しぶりに地球(日本)にやってくるのである。地球(日本)人から見れば、それはやはり帰ってくることではないか、と。

 番組が始まる前に弟が購読している「小学1年生」のグラビアで新しいウルトラマンを知った。デザインが違うのはそれでわかった。一つだけ納得いかない箇所があった。手袋とブーツである。
 確かにウルトラセブンは手袋やブーツを着用していた。しかし、ウルトラマンにはそういう区分がなかった。一体化しているのである。一体化しているからこそウルトラマンという思いがあった。
 なぜ、新ウルトラマンは手袋とブーツを着用しているのか? 
 理由は撮影時に手間がかかるから。手袋、ブーツの継ぎ目がわからなくする工夫は面倒だったのだ。
 よって「ウルトラセブン」は手袋、ブーツがはっきりわかるスタイルになり、「帰ってきたウルトラマン」もそれを引き継いだのだ。

 まあ、それはしょうがないとして、番組が始まって気になってきたのは、ウルトラマンのスタイル、造形だった。
 デザインが違うにしても、こちらとしては、全体の印象は初代ウルトラマンのそれを求めている。初代ウルトラマンの、いわゆるCタイプと呼ばれるスーツに匹敵するものを期待していた。ところが画面に登場する新ウルトラマンはマスク以外、どこか野暮ったい。胸元は筋肉隆々というより、単に段差をつけましたという作り。身体は初代の鋼のようなイメージはなく、ウェットスーツ着ていますって感じ。腰から下なんて動きによっては皺ができてしまって何ともかっこ悪い。

 我慢できなかったのは頭から首にかけてのチャック隠しのヒレである。
 始まったころはそうでもなかったが、3クールごろから極端に大きく強調されるようになり、おまけに首のあたりがよれてみっともないったらありゃしない。正面の構図はいいのだが、斜め、横になるととたんにかっこ悪くなる。
 番組を視聴しながら、クライマックスの特撮シーンになるとそればっかり気にしていた。
 ある日、帰マンのスーツアクター菊池英一(現・きくち英一)氏に手紙を書いた。内容は「ウルトラマンのヒレがみっともないから何とかしてくれ」。生まれて初めて出したファンレターだった。

 坂田兄妹が惨殺されるエピソードの後編「ウルトラの星光る時」には帰マンを助けるため、初代ウルトラマンとウルトラセブンがゲスト出演するのが話題になった。
 セブンは「ウルトラファイト」にレギュラー出演していたし、「帰マン」でも「ウルトラセブン参上」に一度ゲスト出演しているが、初代ウルトラマンについては番組が終了してからその動く姿を見たことがなかった。期待に胸膨らませて登場を心待ちにしていた。が、その姿があまりにかっこ悪いのでショックを受けた。手袋とブーツを着用している。帰マンを単に初代のデザインにしたような感じ。初代のイメージのかけらもなかった。

 第二期ウルトラ(マン)シリーズのマンガは内山まもるが有名だ。彼のマンガでは帰マンのヒレのよれ方もちゃんと描いているのが特徴。悲しいのは帰マンだけでなく初代も同じようによれていること。あれだけはどうしても許すことができなかった。


man a
ウルトラマン Aタイプ
全身鋼鉄のイメージがあるでしょう?

man c
ウルトラマン Cタイプ
ウルトラマンといったらこのイメージ!

kiman
帰ってきたウルトラマン
スーツ着ているって感じしませんか?

kiman2
横から見た帰マン
首の部分、通常の状態だとよれてだらしないんですよ


 この項続く




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No title
年寄りの戯言。気に入らなきゃ見なきゃいい
名無しの権兵衛さん
もう誰が何を言おうと「帰マン」が最高というファンの方でしょうか。
年寄りなのは確かですが、戯言かなあ。真面目に書いたんですけどね。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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