映画って何だろう?
 TVドラマと映画の違いはどこにあるのか?

 画面のサイズだろうか? スタンダード(ノーマル)だとTVドラマでビスタやシネスコ等の横長ならば映画なのか。いや、今やTVだってハイビジョンサイズ(16:9)が標準になってきた。
 画調の違いか? いかにもビデオ画面だとTV、フィルム(フィルム調)ならば映画。これだってHD撮影が当たり前になってあまり差がなくなってきている。操作でいかようにでも変換できるのである。

 「湖の中の観覧車」と「小さな大きな富士山と」を観て、帰りの電車の中で考えていた。
 同じ〈富士山・河口湖映画祭シナリオコンクール〉でグランプリを受賞したシナリオを同じ監督によって映像化されているのに、印象がまるで違ったからだ。

 「湖の中の観覧車」はノーマルサイズ、ビデオ調の作品、対して「小さな大きな富士山と」はハイビジョンサイズのフィルム調。だから前者がTVドラマのようで、後者が映画だ、というのではない。いや、そういう印象はあるが、それはサイズや画調だけの問題でない気がする。そもそも、TVドラマだから悪く、映画だから良いというのでもない。
 物心がつくころにはすでに家庭にTVがあった世代だ。映画より先にTVで映像の魅力にとりつかれたわけ。ゆえに映画はTV(ドラマ)より上、なんて意識はない。決して映画至上主義者ではないのだ。それぞれに適した題材、見せ方がるあるだけだと思っている。

 ある意味どちらも身につまされる話である。

 「湖の中の観覧車」は、離婚で離れて暮らすことになる父親と高校生の娘が主人公。別れるその日、父親が自分のクルマで娘を妻の実家に送り届ける過程で二人の断絶と和解を描いている。年頃の、それも一人娘を持つ、またある時期から娘と意思の疎通がうまくいかなくなった父親として、あるいは年末年始の家族間の騒動があったので、父親の言動に注目した。クルマの中のぎこちない会話なんて自分を見るようだった。が、それも最初だけ。途中で世界に入り込めなくなった。ひとことつぶやく。「嘘でぇ」

 「小さな大きな富士山と」は目的を持って上京したにもかかわらず、夢破れてちゃらんぽらんに生きている若い女性が故郷に帰ってきた数日を描いている。祖母の老人ホームへの転居の手伝いだ。20代のころの自分を思いだした。大学を卒業してからも何かと親に面倒をかけた。郷里が東京から近いということもあり、何か困ることがあるとすぐに帰った。だからだろうか、すぐヒロインに感情移入し世界にすんなり溶け込んでいた。

 この差はどこからくるのだろうか。
 当然、スタッフ側の慣れというものがあるだろう。初めてと二度目めでは何かと経験が幅をきかせる。 
 役者の力が大きいと思う。ヒロイン、ヒロインの両親、祖母。とても自然な演技。何気ない芝居がすっとこちらの感情に沁みこんでくる。
 「飛び出せ!青春」の村野武範、剛たつひと、両氏の出演がウリだった。だったら、ラストで老人ホームの皆がTVで見ている映画(ドラマ?)は「八月の濡れた砂」にすればよかったのに。村野武範は女優志望のヒロインの父、剛たつひとはヒロインの祖母が入った老人ホームの園長。ネタバレになるが、娘に意見する父も若いころは俳優を目指して挫折していたのがわかりニヤリとできる。あらま! と驚く老人ホームの皆、誰かが言う。「園長も俳優志望だったんですか?」

 使用権利料がかかるのでインディーズ映画では無理だろう。
 そう、〈富士山・河口湖映画祭〉は町おこしのためインディーズ映画に目をつけたのが先見の明だと思うのだ。

 この項続く




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
富士山・河口湖映画祭に思うこと その2、の前に
NEW Topics
告知ページ
「シュリ」「海の上のピアニスト」「新選組」「ストーリー・オブ・ラブ」 ~ある日の夕景工房から
「天国と地獄」「どん底」 ~ある日の夕景工房から
「赤ひげ」「御法度」 ~ある日の夕景工房から
「ワイルド・ワイルド・ウエスト」「リトル・ヴォイス」「黒い家」 ~ある日の夕景工房から
1分間スピーチ #19 マスコミの悪意について
「双生児 ~GEMINI~」「秘密」「皆月」 ~ある日の夕景工房から
NHK「ファミリーヒストリー」は8月18日(金)に放送されます!
「シャロウ・グロウブ」「砂の器」「オースティン・パワーズ:デラックス」「マトリックス」 「バウンド」 ~ある日の夕景工房から
また、やっちまっただ! ~「パワーレンジャー」
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top