「小さな大きな富士山と」の映画については、ネットのニュースで知った。制作開始だったか、完成だったか忘れたが記者会見の模様を伝えるものだった。
 「飛び出せ!青春」コンビ、村野武範、剛たつひとの二人が出演にあたっての抱負を語っていた。監督が阿部誠とあって驚いた。だって阿部さんのフランチャイズってインディーズだろう。観たのはショートムービーだけど「ミスターベー」というバカ映画(?)だった。まるでジャンルが違うように思えたのだ。

 一番驚いたのは制作費。何と150万円。一桁違うだろう。70年代だってATGの一千万円映画は通常の映画に比べて予算が少ないと言われていた。今、商業映画の制作費の最低ラインっていくらなのか。5,000万円とか6,000万円だろうか。大ヒットしたホラー映画「パラノーマル・アクティビティ」は日本円で130万円だったらしいが。

 商業映画なら驚愕の低予算も、インディーズだったら潤沢な制作費ではないか。規模の大きなインディーズ映画だと思えば納得できる。
 最近インディーズ映画は、芸能プロダクションが自社の新人俳優のプロモーションとして利用している。新人俳優を主演させ短編や中編の劇映画を作って、TV局や映画会社に配付するのだろう。昨年観た「恋々風情」(監督:下倉功)もその手の映画だったが、よく出来ていた。棚木和人監督の「Yoriko~寄子」もそうだと思う。これは渋谷の某劇場で一週間レイトショー公開された。

 インディーズ映画もバカにできない。面白さという観点で比較すれば、商業映画を凌駕する作品はいくつもある。機材(カメラ、PC)の発達、廉価で見栄えも悪くなくなった。フィルムを使わない、編集、ダビング作業が自宅のPCで可能になったことで(外部のスタジオをレンタルしなくていいので)、制作費も安く抑えられる。最低限のスタッフ、役者もほとんど手弁当だから予算の使いどころはしれている。

 富士河口湖町が町おこしのために「富士山・河口湖映画祭」を企画した。ここまではよくあること。富士河口湖周辺を舞台にする1時間弱のドラマのシナリオを募集して優秀作品を映画にする。これもままあるかもしれない。商業映画規模の作品を作って、パアっと花火をあげて、それでおしまい。後が続かない。
 インディーズ映画に目をつけたところが新しいと思う。どんなルートで阿部監督(&阿部監督の事務所)に制作のオファーがされたのかは知らないが。この規模なら毎年続けることは可能だろう。

 この映画祭(シナリオコンクール)が発火点になって、全国の自治体が町おこしのツールにインディーズ映画が着目してくれたらと願わずにはいられない。最近思う、インディーズ映画はインディーズ映画に帰結するのだと。以前はメジャーにつながるものだと信じていた。たぶん違う、昔の8ミリフィルムによる自主映画と違って、今やインディーズ映画というジャンルを形成したのだ。

 だとしたら、もっと発展して、個人がインディーズ映画に注目するかもしれない。個人がインディーズの映像作家に発注して、自分史映画なんていうものを撮ってもらう可能性があるのではないか。
 世間には自分史をまとめて自主出版する人がいる。これをドラマにして映像でまとめるわけだ。完成するとパーティーを開催して上映する。活字好きの人以外には、本をもらうよりこちらの方が喜ばれるのでは? 自主出版は専門業者に依頼すると200万円前後かかる。映画の方が安く上がるのだ、インディーズだったら!




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映画同好会(名前検討中
おもしろい映画 たくさん 見たいなぁ
村石太 さん
本日、ショーケンのライブチケット(赤坂)を購入しました。2階の指定席が希望だったのですが、すでに完売でした。嗚呼。
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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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