2010/08/15

 「談四楼独演会 第171回」(北澤八幡神社 参集殿)

 「帰ってきた長四楼」
 ヨッパライでもウルトラマンでも木枯し紋次郎でもなく、大きな声でそう叫びたい。
 もし独演会にサブタイトルがあるとしたら。

 昨年の夏、最年長前座としてデビュー。同世代が会社員という立場を投げ捨て夢を実現しようとしている。それも妻子持ちだ。夢の形は違っても、自分がやりたくてもできないことを実行した男を応援しようと誓った。
 その年12月の独演会のこと。
 が、しかし。知らなかった。彼の心に病魔が忍び寄っていたことを。

 次の独演会、2月の高座をもって彼は病気で談四楼師匠の弟子をリタイアしてしまうのである。
 その詳細をおかみさんから聞いて最後にこう訊ねたかった。
「では、治癒したら戻ってくることはありえますか?」
 できなかった。
 治癒するかどうかわからないのだから。それはその病気で20代を棒に振った自分が一番わかっている。

 師匠が高座で話してくれた内容、長四楼さんが帰り(朝帰り!)の電車の中で話してくれたことから推測すると、病気の進行具合は僕が大学4年の夏の状態だったのではないだろうか。あのときは睡眠薬を飲むことでとりあえず快復したのだった。前年は規則正しい毎日を送ることで自然治癒した。 

 帰りの小田急線で住所を確認すると、東京の伯父さんが住んでいる町だった。「まさか、駅前の団地じゃないでしょうね?」
 亡くなった伯母さんが以前やはり同じ症状に見舞われたことがある。その後僕が3度目を発症したとき、伯母さんが通った病院で診察してもらった。医師は家族に対して完治は難しいと言った。かみサンからその件を聞いて頭にきた僕はその後なるようになれと、最終的に自分の力で治したのである。
 長四楼さんも本当は睡眠薬を飲むことで解決する症状だったのに、担当の医師は本格的な薬を与えてしまったのだ。だから症状が重くなってしまったのではないか。病院を替えて本当によかった。廃人になる可能性だってあるわけだから。

 帰ってきた長四楼さんの演目は「牛ほめ」。ポピュラーな前座噺であるが、少々印象が違う。
 何が違うのか?

 この項続く




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
「談四楼独演会 第171回」 その2
NEW Topics
告知ページ
1分間スピーチ #16 サマータイム導入問題
BC20世紀 賄い料理その2
「花戦さ」&「22年目の告白 ~私が殺人犯です~」
「美しい星」
1分間スピーチ #15 倉木麻衣と宇多田ヒカル
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その4
ちょっとひとやすみ その4
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その3
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その2
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top