2010/07/01

 「不死蝶」(小幡貴一・小幡友貴 編/ワイズ出版)

 俳優・岸田森を最初に認識したのは「怪奇大作戦」だったと思う。そのクールな魅力は「帰ってきたウルトラマン」で決定的となる。本当の魅力がわかるのはもっと大人になってからの再放送なのだが。
 本人が「円谷育ち」と公言しているように円谷プロ作品には縁が深い。「ウルトラマンA」ではナレーションを担当していた。円谷プロ創立10周年記念番組の一つ「ファイヤーマン」にレギュラー出演し、怪獣攻撃隊の一員を演じていた。日本のクリストファー・リー的存在でもあり、吸血鬼を演じた「血を吸う目」「血を吸う薔薇」は人気が高い。僕はどちらも観ていない。

 意外性のあるユニークな俳優なんだと認識を改めたのが「傷だらけの天使」だった。村川透監督、松田優作主演の「蘇える金狼」では怪しげな中国人殺し屋(?)に扮しているのだが、劇中で決定的なNGカットを観ることができる。優作に撃たれた岸田森、反動で後ろの襖(?)を全身でぶち破り床に倒れて息絶えるのだが、襖が頑丈すぎて一度当たったときには跳ね返されてしまうのだ。リアルに考えれば跳ね返ってそのまま絶命だろう。しかし、そこは岸田森、段取りどおりにするために、何度も襖に体当たりして、見事ぶち破ってくれる。ムキになって襖に体当たりするところがおかしい。

 TVで「エクソシスト」が放映された際、なぜか岸田森が気になってしかたなかった。終了後にわかったのだが、神父の声を吹き替えていたのが岸田森だった。
 「ブラックジャック」のラジオドラマ化では、ブラックジャックを演じたのではなかったか。映画の宍戸錠とどちらが先だったのだろう?
 NHK少年ドラマシリーズはたまに海外ドラマも放送していた。タイトルは忘れたが、その手のドラマでも吹き替えしていたように思う。

 本書は出版されたときから気になっていた。が、少々値が張っていることもあって、手が出なかった。手に入れられる懐状態になったときはもうに書店で目にすることがなくなっていた。
 昨年だったか、下北沢の古書店で見つけた。その場で購入すればよかったのに、次の機会にとあとまわしにしたら、次の機会にはもうなくなっていた。そうなると、俄然手に入れたくなるのが人情だ。一般書店で見つけた。新しい版らしい。
 「不死蝶」の蝶は岸田森の趣味が蝶のコレクションだったからだろう。かなりのヘビーコレクターだったらしい。

 実相寺(昭雄)組であることは当時も知っていたが、岡本(喜八)組 でもあることはあまり意識していなかった。「ダイナマイトどんどん」、見逃している。勝新太郎との親交があることも本書で知った。勝アカデミーの講師だったなんて。「座頭市対用心棒」は要チェックのこと。
 「帰マン」では朱川審のペンネームでシナリオを書いた(「「残酷! 光怪獣プリズ魔」)。収録されているのがうれしい。「ファイヤーマン」の「地球はロボットの墓場」も収録してほしかった。
 シナリオだけでなく、演出も手がけていたことも知った。水谷豊が出演するCM。まったく覚えていない。

 役者だけでなく、クリエーターとして活躍する時期にあっけなく逝ってしまった。癌と知ってあきらめざるをえなかったのだが。
 告別式に参列したショーケンがレポーターの質問に対する返答。「岸田(今日子)さんと(水谷)豊とまた『傷だらけの天使』やろうと話していたんだよね」
 あのときの喪失感は言葉にできない。
 関係者の証言がいろいろ掲載されている。
 ショーケンの言葉も。ほんの1行だけど。


2010/07/05

 「ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント」(朱川湊人/光文社)

 「ウルトラマンメビウス」の1エピソード「怪獣使いの遺産」のシナリオは小説家が書いた。「帰ってきたウルトラマン」の異色作であり問題作でもある「怪獣使いと少年」の続編。僕は知らなかったが直木賞を受賞したこともある同世代の作家だった。 
 以前、TV作品「怪獣使いの遺産」の感想で、なぜ過去の名作、傑作の続編を安易に作ってしまうのか、小説家なら小説で発表してくれと書いた。
 本当に小説を書いていたのだ。
 〈アンデレスホリゾント〉とは「異なる地平線」という意味。つまり「もうひとつのウルトラマンメビウス」であり、小説の主人公は研修隊員のハルザキ・カナタ。小説のためのオリジナルキャラクターだが、これがなかなか良い。この主人公の成長物語の側面もあって、TVシリーズのレギュラーたちの関係に何度か胸が熱くなった。
 「魔杖の警告」「ひとりの楽園」「無敵のママ」「怪獣使いの遺産」「幸福の王子」の5編を収録。
 このシリーズはもっと読みたい。

 ところで、朱川湊人というのはペンネームなのだろうか? そうだとしたら、朱川審との関係は?


2010/07/07

 「シアター!」(有川浩/メディアワークス文庫)

 この作家の名前は「図書館戦争」で知ったと思うが、ついこの間まで大きな勘違いをしていた。ずっと〈ありかわひろし〉と読んでいた。当然男性だと思っていたのだ。浩をコウと読ませる女流作家だったのね! 作品を読んだことがなかったからそういうことになる。だから本書を読んだというわけではない。
 きっかけはシアター劇団子の芝居「好きよキャプテン」を観劇したことによる。 有川浩がシアター劇団子に取材して「シアター!」を書いたことを知ったからだ。
 小劇団の裏側がわかって面白い。


2010/07/09

 「5人の落語家が語る ザ・前座修行」(稲田和浩・守田梢路/NHK出版 生活人新書)

 今は真打となった売れっ子噺家たちが語る、それぞれの前座時代。
 取材を受けるのは5人。柳家小三治、三遊亭円丈、林家正蔵、春風亭昇太、立川志らく。
 なぜこの5人なのか? 落語協会から古典派(小三治)と新作派(円丈)、二世(三世?)の代表(正蔵)として3人、あとは芸術協会(昇太)、立川流(志らく)から一人ずつ、という考えなのか。そうなると、円楽一門がいないことが不可解だ。三遊亭は一人でいいということか。  




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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