ふと考えた。
 もし実相寺昭雄監督が江戸川乱歩の「芋虫」を映画化したらどんな作品になるだろうか。

 シャープなモノクロ映像による、エロスを前面に押し出した中編映画。
 登場人物は四肢を失った夫と、彼をかいがいしく世話する貞淑な妻のふたりだけ。
 妻役は加賀恵子。夫役は堀内正美、か。
 脱ぎまくり、やりまくる。
 音楽は優雅なクラシックで。
 
 でも実相寺監督は撮らないだろうな。
 趣味じゃないような気がして。


 何年か前に「乱歩地獄」というオムニバス映画があった。
 実相寺監督も一編を担当している。
 劇場に足を運べず、DVDも未だ観ていない。
 もしかすると?
 調べてみると、撮ったのは「芋虫」ではなかった。

          * * *

 「死んだ女の子」って、有名な原爆詩だった。
 全然知らなかった。
 訳詩は二つあって、元ちとせが歌っているのは新しい方。
 詩には「あたし」と綴られている。
 なぜ「わたし」と歌うのか。
 訳詩者にきちんと許可を得ているのだろうか?

          * * *

 『突入せよ!「あさま山荘」事件』における連合赤軍の描き方に怒り狂って「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を撮ったという若松孝二監督。私財を投げ打ったと聞く。映画に納得できた。
 ただこうは言えないか。
 あさま山荘に押し入った連合赤軍のメンバーは、その昔、中国人女性を襲った日本兵と同じではないか。
 少なくとも、日本全国の(学生運動に関係ない)一般市民にとっては。
 いやもっと絞ってもいい。当時、群馬の片田舎に住む小学6年生の私には、とんでもない悪人に思えたものです。闇雲に発砲し何人も殺しているわけですから。
 「キャタピラー」のラストで、原爆投下のニュース映像を使って、原爆詩をエンディングテーマにした。
 だったら、原爆を投下したアメリカの非人道的行為はどうなるのか。
 そこを言及しないのは、片手落ちではないですか。
  



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新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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