承前

2010/09/08

 「ヒックとドラゴン」(MOVIX川口)

 映画は、バイキングとドラゴンが敵対する世界を舞台に、怪我をしたドラゴンと仲良しになった少年の物語。ドラゴン=悪ものという周囲の誤解を少年はどうといていくのかがキィになると予告編を観て思った。
 目を捉えたのが主役のドラゴン、トゥースである。全身黒色でそのフォルムにはたぶん鮫のイメージを取り入れてデザインされたと思しきその顔、特に目のあたり、醸し出す表情が、わが家の雄猫コムギによく似ていたのだ。まあ、他人が見比べても似ているかどうかわからないが。

 この手のアニメ映画にはほとんど関心がわかないのだが、トゥースの表情にほだされて映画を観てもいいかなと思っていた。いいかな、と思っただけ。実際に公開されたら忘却の彼方。
 気持ちが変わったのは3週間ほど前か。感性が似ているある方のブログに「宣伝の仕方が悪くて話題になっていないが劇場で観るべき映画」だとあった。S監督の映画上映会後、新宿で飲んでいる最中にも話題にでてきた。「トイストーリー3」は予想通りの展開なんだ、それに比べれば「ヒックとドラゴン」はねぇ……

 ディズニーの、というかピクサーのCGアニメの面白さに気づくのはずいぶん経ってからだ。「トイストーリー」なんて、下町ダニーローズの芝居「リカちゃんと怪獣」を観て大笑いし、本家を確かめるためにDVDを借りてきて、大人気になった理由がわかったのだから。これまで劇場で鑑賞したことがなかった。そこに「3」の公開だ。同じく「3」が公開された「踊る大捜査線」より評判がいいので(「踊る大捜査線3」、なぜか当初からまるで観る気が起きなかった)、だったら足を運ぼうかと考えていた。
 ピクサーアニメの二番煎じ、ドリームワークスアニメは「シュレック2」を劇場で観ている。ピクサーがディズニーブランドだから、親子で楽しめる、感動を前面に押しだした内容に対して、ドリームワークスのそれはもっとシニカルな印象がある。
 と区分すると、「ヒックとドラゴン」は一見ディズニー・ピクサー作品のようだ。

 「トイストーリー3」の代わりに「ヒックとドラゴン」を観よう。どこで2D上映しているか。やはり品川プリンスシネマ。19時の回。8日は午後セミナー出席のため外出する。終了は17時だ。十分間に合う。前日、ほかにないか調べたら、何と地元シネコンでもやっていた。それも18時50分の回、一回限りの上映。通常だった絶対間に合わない。ラッキー! だったら無料で観られるよ!

 サービスのポップコーン片手に映画が始まった。

 「モンスターズ・インク」のレビューでも触れているが、CGアニメって、昔のコマ撮り人形アニメのようだ。人物の肌は「新・八犬伝」等の辻村ジュサブローの人形の味わいがある。
 前述したように、トゥースの造形に鮫をモチーフにしているので、映画の前半、ヒックとトゥースに友情が芽生える過程は、少年時代に感動した映画「チコと鮫」を思い出した。南洋を舞台にした少年と鮫の交流物語。鮫がほんとかわいかった。
 
 映画を観ていて驚いた。屋外のシーンになると、まさに太陽光を浴びているような感覚になるのだ。どんな風に撮影(?)しているのだろうか?
 後半はスペクタクルになって胸熱くさせる展開になる。とはいえ、この映画の真骨頂はヒックを乗せたトゥースや、その他ドラゴンたちの圧倒的な飛翔シーン、滑空シーンだ。もうそれだけで涙がでてくる。うれし涙が。




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H さん
まあ、ドリームワークスのアニメですからね…それにしてもそんなヒネくれた見方をしなくても…もっと素直になりましょう。石橋けいが吹替えしていたら、たぶんあなたの感想も変わってくるのでしょうね(笑)

10月になったら西川口で呑みましょう。
同じ事思っていた
「ヒックとドラゴン」。未見ですがCMを見たとき表情がうちのネコに似ていると思いました。
たぶんこちらを見ながら首を傾けるしぐさが、ネコに似ているからではないかと。
す さん
書き込みありがとうございます。

やはりあの目は猫ですよね?
トトロの猫バスみたいな表情といいますか。ということは、ドリームワークスも宮崎アニメの影響大、なのでしょうか……。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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