先週の日曜日には川口中央図書館へ。

 「談志の最後の根多帳」(立川談志/悟桐書院)
 「時効なし。」(若松孝二/ワイズ出版)
 『「平凡」物語 めざせ! 百万部 岩崎喜之助と雑誌「平凡」と清水達夫』(塩澤幸登/河出書房新社)

 DVD 
 「男はつらいよ 寅次郎子守唄」(監督:山田洋次)
 「トパーズ」(監督:アルフレッド・ヒッチコック)


 昨晩、ネットニュースで小林桂樹の訃報を知る。享年86。
 もうこの手の訃報は仕方のないことかもしれない。自分の年齢を考えれば。悲しいけれど時代の流れなのだ。
 最初の出会いは「それぞれの秋」だった。いや、その前に「日本沈没」があったか。倉本聰の脚本なのにリアルタイムで見逃し、以来幻のドラマになった「赤ひげ」は、この前NHKアーカイブで1話だけ観た。ドラマも、主演の小林桂樹も、黒澤明監督作品&三船敏郎に勝るとも劣らない。黒澤作品といえば「椿三十郎」の押入れ侍の飄々とした態度とユーモアが印象的だった。復活した「ゴジラ」では首相を演じていた。かっこ良すぎた。
 いつだったろうか、同郷だと知った。

 合掌


 以下はmixiに書いた母親の七回忌で触れた「それぞれの秋」の思い出。

 ●母の七回忌 2006年06月26日

 中学時代、ドラマ「それぞれの秋」に夢中になった。
 主人公の気の弱い青年(小倉一郎)の目をとおして、家族の絆、その再生を描いたドラマ。崩壊しかけた家族が父親(小林桂樹)が脳腫瘍で倒れたことによってまとまっていく。確かそんな内容だった。母親役は久我美子、主人公の兄妹が林隆三と高沢順子。脚本を担当したのが山田太一で、以後、山田作品は必ずチェックするようになった。

 このドラマで脳腫瘍という病気を知ったと思う。このときは自分とはまったく関係ないかけ離れた存在だった。まさか、10年もたたないうちに、人一倍働き者の母親が脳腫瘍で倒れるなんて誰が想像できただろう。
 母親が身体の不調を訴え始めたのは私が高校3年のときだったか。方向感覚がおかしい。車を運転していると右に寄ってしまう(左だったか)、手がしびれる、等々。もう少しで50歳に手の届く年齢なので、本人も家族も更年期障害の一つだろうという感覚でいた。
 私が大学生になると、症状はますますひどくなっていった。車はもう運転できない状態。にもかかわらず町の病院で検査してもらっても原因がわからない。

 当時住んでいたアパートには電話がなくて、郷里に電話する際には近くの公衆電話を利用していた。ある夜電話すると父が出て、大学病院での診断結果を告げられた。
「あのなあ、かあちゃん、頭におできができているんだと。それが大きくなって、脳の神経を圧迫しているんだ」
「……それで、どうするの?」
「手術でとりのぞかなければしようがない。そのままにしておいたら数ヵ月の命だそうだ」
 おできなんて表現するから実感がなかった。頭の中のおできとは、脳腫瘍のことではないか。衝撃が全身を襲った。
 
 ドラマの小林桂樹は簡単に回復して通常の暮らしをするようになった。
 現実は甘くない。手術は成功したものの、合併症になれば命の保証はできないと言われていたところに、肺炎にかかった。急遽呼び戻されたときは電車の中で最悪の状態を思い描いていた。
 驚異の生命力で持ちこたえた母はやがて退院して自宅療養、リハビリの毎日を送るようになった。だが思うような回復はせず、やがて寝たきりとなって、リハビリセンターで完全看護の生活に。
 そうして二十年……亡くなったのは2000年7月4日。病院から知らせを受けて父と弟が駆けつけたときにはもうこの世の人ではなかった。1年前から長くないと知らされていたので、心の準備はできていたが、誰にも看取られないまま逝ってしまったことがとてもくやしくて悲しかった。

 手術前まだ元気で、自分のいない家のこと、商売のことを心配して父にあれこれ指図する母のことを父は石川達三の代表作にかけて「〈四十七歳の抵抗〉だ」と笑った。

 昨日は母の七回忌。
 遺影は症状がひどくなるちょっと前の元気な姿だ。
「若いわねぇ」
 叔母が言うと、
「今の私より若いんだ」
 かみサンがつぶやいた。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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