先週の「シネマdeりんりん」、懇親会時に特撮仲間のS氏が耳元でささやいた。
「keiさん、今度の東宝特撮映画DVDコレクション、『キングコングの逆襲』ですよ」
 ディアゴスティーニのこのシリーズは「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」「キングコングの逆襲」の3巻だけは購入すると宣言していた。

 翌日さっそく手に入れようと、帰宅途中、品川駅構内の書店に立ち寄った。何とシャッターが閉まっている。あれ、棚卸しか? シャッターに「○日に閉店しました」との断り書きが。驚いた。なぜ閉店なのか? あんなににぎわっていたじゃないか。
 仕方ない、港南口のビルにあるA書店へ。

 東宝創立35周年記念作品。
 タイトルから興奮させられる。キングコングの咆哮。海中を進む潜水艦。伊福部昭の音楽……。
 当時の東宝特撮怪獣映画はみなそうだったけれど。

 この映画の魅力についてはこれまでも書いている
 日米合作と書いたが、コレクションについている冊子を読むとテレビアニメシリーズを制作していたビデオクラフト・インターナショナルの代表アーサー・ランキンをテクニカル・アドバイザーとして迎えたというものらしい。
  
     ◇
 「キングコングの逆襲」はダビングしたビデオテープを持っている。「フランケンシュタイン対地底怪獣」「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」「キングコングの逆襲」はゴジラシリーズよりよっぽどお気に入りなのだ。すべて馬淵薫(木村武)の脚本。オリジナルのRKO映画「キング・コング」を知らず、「キングコング対ゴジラ」も怪獣図鑑等でしか見たことがなかった僕にとって、「キングコングの逆襲」は初めてスクリーンで目にしたキングコング映画だった。思い入れはかなりある。
     ◇

     ◇
 「キングコングの逆襲」は自分にとっての初のキングコング映画ということもあり、またドラマも特撮もよく出来ていて、観終わったあとの満腹感といったらなかった。

 公開時の併映が「長編怪獣映画ウルトラマン」。TVシリーズのいくつかのエピソードをまとめて劇場用に仕上げたものだ。
 このカップリングがすごかった。当時の少年には誕生日とクリスマスと正月がいっぺんに来たような出来事だった。地元の映画館は3番館くらいの位置だから、そのほかの映画も上映されたような記憶がある。
 確か、近所の同級生、年下の子どもたち5、6人と地元の映画館の、一回目の上映に駆けつけ、あまりの感激で、もう一回観ようとみんなと示し合わせて居残ったのだった。 
 ところが予定の時間になっても帰らない息子を心配した親が映画館に問い合わせしてくるのだろう、館内放送で名前を呼ばれた子が事務所に出向き、そのまま戻ってこない。2回目の上映から仲間は一人、二人と消えていった。

 とにかく、最初から最後まで飽きさせないストーリーは今観ても驚愕ものだ。
 冒頭のゴロザウルスvsコング、大海蛇vsコング、北極を舞台にしたメカニコングのエレメントX発掘作業、その後のコング捕獲作戦、コングのエレメントX発掘作業、クライマックスの東京タワーにおけるメカニコングvsコングの死闘。当時のB級、C級のアメリカ映画(怪獣映画)だったらこの映画から3本くらい作れそうなテンコ盛りである。怪獣(特撮)とドッキングした展開だから始終興奮していた。
 そして、ヒロインのミニスカートからはみ出すストッキング(それも今のパンストではなくガーターベルト風に太腿のあたりで留めてある)に欲情し、悪女役のキュートな浜美枝にホの字。
 エンタテインメントとはまさにこのこと!
     ◇
 
     ◇

 ●キングコングの想い出(1) 2005/12/07

 かつて東宝怪獣映画の中で、ミニチュアセットの縮尺がそれまでの倍になった(つまり登場する怪獣がゴジラより半分の身の丈になった)シリーズに夢中になった。
 「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」「キングコングの逆襲」の3本である。
 ゴジラが観客に媚びるようになった映画群(「怪獣大戦争」以降のゴジラシリーズ)よりヴィジュアル、ストーリーともに抜きん出ていた。
 小学生の頃だ。

 「フランケンシュタイン対地底怪獣」でフランケンシュタインという怪物の存在を知った私は「キングコングの逆襲」で初めてスクリーンで巨大猿キングコングの勇姿を見たのだった。
 前半に用意されたいかにも恐竜といったフォルムのゴロザウルスとの戦い、クライマックスの東京タワーに登りながらのメカニコングとの決戦に拍手喝采したものだった。今でも増上寺や東京タワーの近くを通ると、そこにメカニコングやキングコングの姿を思い描いてしまう。
 天本英世の悪役ドクター・フーも忘れがたい。天本英世といえば、「仮面ライダー」の死神博士になるのだろうが、私は断然ドクター・フーである。グラスをくゆらせながら浜美枝とブランデーを飲む姿は子ども心にかっこよくて、大人になったらあんな風に酒を飲みたいと思った。

 日本のキングコングなら「……の逆襲」の前に「キングコング対ゴジラ」がある。この映画、一度「東宝チャンピオンまつり」の一プログラム(だったか?)として地元で上映される予定だったのに、なぜか中止になって、以後長らく私にとって幻の映画だった。

 大学卒業前後の時期に名画座でやっと観たのだが ゴジラシリーズ中で傑作と謳われていたこの映画に軽い失望を抱いてしまった。コングのぬいぐるみがバラエティに登場するゴリラのそれだし、アップ用の顔があまりにも情けなくて……。コメディータッチの作劇にも違和感があった。
 「キングコング対ゴジラ」の圧倒的な面白さを知ったのは最近だ。完全版のビデオを鑑賞したのである。これまでリバイバル公開されていた作品は〈お子様向け映画用として〉かなりカットされたシロモノだったのだ。
 色調が違うのでどこがどうカットされているのかわかり、その部分(主に人間ドラマ)が映画の核であることがわかった。

     ◇

 思い出話は(2)(3)と続くのだが、まとめて夕景に転載した

kingkong escapes
東宝特撮映画DVDコレクション 26
「キングコングの逆襲」

次回は「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」
誓い破って買っちゃおうかな!




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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