最初手元にある1985年のノートをあたった。一冊も読んでいない。あれま! 
 ノートの前半は1984年。こちらは何冊か感想が書かれていた。前のノートも押入れから引っ張り出す。
 前年3月に大学を卒業したが、就職浪人してこの年の春に念願のCMプロダクションに入社した。希望に満ち満ちた1年だった。
 翌年が大変だったのよ!
 まあ、いいけど。

 ターバンとは学生時代から就職浪人の年前半までバイトしていたカレー屋さんのこと。正式名称「カレー亭ターバン」といい、サンドイッチ店から衣替えした店なのだ。
 吉野家が倒産して会社更生法の適用を申請、西武(当時)の資本が入って、牛丼以外のファーストフードを目指した。目黒駅前にあった2店舗のうち、権ノ助坂にあった方を「ロッキー」という名称のサンドイッチ店にしてオープンさせた。実験店舗として。その直後にアルバイトとして働き出した。サラダその他のため毎日キャベツ8個を千切りしていた。後藤(悦治郎)さんに勝つことばかり思って、包丁を握った。
 途中からメニューにカレーが加わった。このカレーが人気を呼んで、サンドイッチからカレーにシフトしたというわけ。アルバイトの人たちが仲が良くて、毎日のように遊んだものだ。この年の夏には千葉か茨城へ一泊二日の海水浴へ行った。

 記憶なんてあてにならない。
 石森章太郎の「世界まんがる記」、内容はもちろん読んだことさえ忘れていた。
 出版社に前借して世界一周したときの記録だろう。
 覚えていたら、「まぐま18 石ノ森章太郎 Spirits」の原稿にその旨書いたのに。

 箱根駅で待ち合わせって、誰とだろう?
 思い出した! バイト仲間で一番若かったHがバイクで合流したのだ、確か。Hは当時高校生だった。

 「愛情物語」の作者は赤川次郎。原田知世主演で映画化された。原作読んだら、プロローグの伏線がまったく活かされていなくてとんでもなく立腹したのだ。


     ◇

1984/05/13

 この一週間は実に忙しかった。
 疲れて疲れてすぐにバタンキュー。
 昨晩なんか楽しみにしていたヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ」を、楽に観ようと横になったのがいけなかった。すぐに寝てしまい、目が覚めたらTVは(映画の)放映ばかりか放送の方も終わってしまいガアガア鳴っていた。

 5、6日はターバンの連中と伊豆の方へ旅行してきた。
 ニッサンHOMYという10人乗りのバカでかいワゴンを運転して東名高速を走り沼津で降り、三島市近くの山にある“それいゆ”というペンション(?)に到着、そこで一泊。
 翌日10:00AMにチェックアウトして箱根駅で待ち合わせ。
 その後小田原に寄って、小田原城を見て昼食。
 西湘バイパスを走り、小田原厚木自動車道路を通って東名高速に入り、夕方東京に帰着。
 帰ってからどっと疲れて、風呂にも入らず寝てしまった。

 9日は大映スタジオ(2st)において山一證券・中国ファンド 安田成美篇の撮影。
 「風の谷のナウシカ」イメージガールとして売り出し中の成美ちゃんを生で見られるので心ウキウキの1日だった。
 撮影はあっとゆうまに終わり(3:00PMには撮了してしまった)徹夜を覚悟していた俺を驚かせてくれた。
 こうゆう時もあるんですね。
 今度のCFは実写とアニメの合成。
 そっちの方も楽しみだ。

 10日は夕方からオールラッシュ試写。
 11、12日は編集作業だった。

 12日はまた入社はじめての当番としての土曜日出勤だった。

 「発語訓練」(小林信彦)を買い、2日で読み終えた。
 W・C・フラナガン「素晴らしい日本野球」、「素晴らしい日本文化」が読みたくてたまらなかった。

 今日は12:00PMにYと目黒駅で待ち合わせ。カプリで昼食、(おっとその前にステーションビルの靴屋でスニーカーを買ったのだ)。その後、渋谷パンテオンで「ダーティーハリー4」を観る。
 クリント・イーストウッド監督は空撮が実に好きらしい。
 そういえば「ダーティーハリー」シリーズを初めて劇場で観た。
 というのも予告(あるいはTVCMの)名セリフ“Go ahead Make My Day”のせいですよ。

 「世界まんがる記」(石森章太郎)を買う。


1984/11/10

 「私説東京繁昌記」を読み終えた。
 下町・山の手とは何か(バクゼンとしたイメージではなくて)、またクルマを運転するため、東京の地理を覚えなければならず、その必要性にかられて東京の“街”に興味を持ったので読んだのであるが、作られた街東京の実態がわかって面白かった。


1984/12/02

 1、2日と太田に帰る。

 東京にもどる急行の中で小林信彦「悪魔の下回り」を読み終える。
 最近読書も小説づいていて面白くてしょうがない。
 「悪魔の下回り」は、作者が“ギャグ”についての評論家ではなく、現役の実践者であることをよく表している。
 ほんと、思わず吹いてしまうんだから。電車の中で。

 目黒に着いてから同じ作者の「紳士同盟」を買う。


1984/12/05

 昨夜「紳士同盟」を読み終えた。
 コンゲームを主題にした日本では小説においても映画においてもあまりお目にかかれない。いかにも小林信彦好みのストーリーだ。
 構成が見事で冒頭の終戦直後の闇市の話がラスト近くに重要なポイントとなってくる。
 「愛情物語」の作者に読ませたい。

 ゴジラ特集ということで久々に「キネマ旬報」を買う。
 シナリオを読んでみると(クライマックスはカットされているが)思った以上にハラハラドキドキもんで良くできていた。しかし監督が「さよならジュピター」の人だけに演出でこのサスペンスがいかせるかどうか心配だ。


1984/12/07

 「読むクスリ PARTⅡ」が発売され、さっそく買う。
 この第2集はほとんど週刊文春誌上で読んでしまってはいるけれど。

 小林信彦(W・C・フラナガン、小林信彦訳)「ちはやふる奥の細道」を読み終える。
 この本が発売された時、例のフラナガンものなので、大いに興味がわいた反面、古典に取材したという点でもうひとつ食指が動かなかった。
 しかし、読んでみて面白さの何重もの構造で、大変、愉快、痛快、奇々怪々な読み物だった。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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