もう日付が変わってしまったけれど……

          * * *

 朝刊の訃報欄を見て声を上げた。
 叫び声に驚いたのか、奥の部屋で寝ているかみサンが訊いてきた。「どうしたの?」
「古今亭志ん五が死んじゃった!」
 志ん五といったってかみサンは知らないだろう。
「ほら、与太郎噺で有名な」
 そんなこといったってわからないって。でもつけ加えなければ気がすまない。

 大学生のころ、フジテレビの深夜に「らくご in 六本木」という落語番組があって、二つ目時代の志ん五(当時は志ん三)がよく出演していた。演じる与太郎のインパクトが強烈だった。与太郎(のキャラクター)とはこういうものだとずっと思っていた。

 一度だけ高座を拝見したことがある
 8年前、友人に連れられて浅草演芸ホールの初席に足を運んだのだ。初めての寄席体験だった。このとき、出演者の一人に志ん五師匠がいて与太郎噺をしてくれたのだ。感激したなあ。

 癌だったのか。まったく知らなかった。
 享年61。
 きちんと高座を見ておくんだった。

 師匠が亡くなったとき、自分が師匠の年齢より早く逝くなんて考えただろうか?

 合掌




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Author:kei
新井啓介
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まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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