「七人の侍」を初めて観たのはTVだった。日本テレビの「水曜ロードショー」(現「金曜ロードショー」)。評判どおりのすごい映画だった。
 上京してから劇場で観る機会に恵まれた。千代田劇場の閉館記念で東宝映画の名作群が上映されたのだ。プログラムの1つだった。劇場で観て感激をあらたにするとともに、上映時間の3時間強がまったく気にならなかったことに驚愕した。後半、野伏りと百姓+侍たち連合軍の戦いはアクション中心になるのだから当然とはいえ、侍探しの前半がまったくダレないのがすごいなあ、と。
 その後もTVで(会社訪問解禁日に何もせず、夜はこの映画を観ていた)、ビデオで、DVDで何度も観ている。
 一番好きなシーンは、侍探しのシークエンスの1エピソード。木賃宿の奥に勘兵衛(志村喬)が鎮座し、入口陰で勝四郎(木村功)が木端を持って構えている。腕のある侍ならそんな卑怯な攻撃も難なくかわしてしまうだろうという(勘兵衛の)考えによるもの。百姓に連れられてやってきた五郎兵衛(稲葉義男)。外で立ち止まって中の勘兵衛に言う。「ご冗談を」 
 九蔵(宮口精二)を見ていると、できる侍はこうであったのだろうと思えてならない。

 最近小学館から黒澤明DVDブックが刊行された。「七人の侍」が一枚のDVDに収まっていることに注目した。またまた誓いを破って購入しようか、今迷っているところ。

 「七人の侍」はリアルタイムで観た映画ではないが、書かないわけにはいかない。
 本当なら市川崑監督「股旅」や斎藤耕一監督「約束」もそうなのだ。が、最初にTVで鑑賞した感想がいくら日記を探しても見当たらないのでパスするしかないのである。

    ◇

 1976/06/02

 TVで「七人の侍」を見る。
 ○○ロードショーという番組で邦画をやるのはめずらしく(やったとしても日米合作が多い)、それにこの映画はあの黒沢明の監督によるものだ。
 やはりすごかった。これは前編だけだったが、カットのつなぎがすばらしい。それに無駄がない。
 モノクロだったが、それがかえってよくて雨のシーンなんか最高だった。
 来週が楽しみだ。

 1976/06/09

 「七人の侍」後編。一週間ぶりのご無沙汰だった。
 三船敏郎があんな役を今までにしていたとは思えなかった。すこしぬけていてけんか好きで……。
 何も書くことがない。ただ一言。
 よかった。

    ◇




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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