●「アナコンダ」 2005/05/20

 Hさんという女性の友人がいる。よく試写会の招待券をまわしてくれた。たぶん「アナコンダ」からだと思うが、その感想を送るようになった。それまではあくまでも日記用だったが、このときから人が読んでもわかるような感想文になった。彼女も楽しみにしてくれるようになった。
 それが数多くなって、HP開設につながっていく。
 思い出深い映画だ。
 というわけで、またまたある日の日記から。

     ◇

 1997/09/09

 Hさんから招待状をもらい、九段会館ホールにて「アナコンダ」の試写を観る。
 アマゾン、ジャングル、探検隊、大蛇。
 わくわくするシチュエーションじゃないか。
 昔、TVの“川口浩の探検隊シリーズ”のひとつで「伝説の双頭蛇を追う」(タイトル不確か)というのがあった。
 探検隊がどこか南の国のジャングルへ出かけた時のこと。ラスト近くで大雨で氾濫する大河の対岸からこちらにむかって巨大な蛇が泳いでくるのだ。全身は見えない。しかし川面に異常にとがった蛇の背面が見えかくれする。それが徐々にこちらに近づいてくるのである。その恐怖!
 やらせ番組、何かトリックを使ったのであろうが、あの時はひどく興奮した。あの興奮が再び味わえるのではないかと期待したのである。
 今までいわゆる“大蛇”が登場した映画でその出来がよかったためしがない。
 作り物の蛇だとリアル感がなく、動きもぎこちない。だからどうしても蛇を目の当たりにした恐怖の描写できない。観客に肌で感じさせない。
 しかし昨今のCG技術の発達でリアルな巨大な蛇の本物そっくりに動く表現が可能になった。そういう意味では「アナコンダ」は90年代の映画といえるだろう。
 映画撮影隊がアマゾン河をさかのぼっていく前半の緊張感はたまらなくいい。
 コナン・ドイルの「ロストワールド」現代版の趣だ。カメラがアナコンダの目線になるともうそれだけでわくわくしてしまう。
 にもかかわらず、観終わった感想はと訊かれれば「うーん」と首をかしげてしまう。
 いや、全編にわたって何度も椅子から飛び上がるほどのショックを受けているのだ。しかし、それは突然画面に何者かが現れるといったホラー映画にありがちなテクニックであり、本当に大蛇の恐怖を描けていたかというと大いに疑問なのである。
 その要因の一つはアナコンダの全身を写しすぎるのだ。14mもある巨大な蛇が川を泳ぎ、草地を這うのである。その一部がぬめぬめと動いているのを見せるだけでも充分怖いはずなのに、そういうきめ細かいカットがなく、途中からもう大蛇の全身が俊敏に縦横無尽に動く、動く。それが逆に興ざめになる。
 ただ、この映画でユニークなのは撮影隊の敵がアナコンダだけでなく、アナコンダを生け捕りにして一攫千金を狙うマッドハンター、ジョン・ボイドの存在だ。
 蛇のためなら人の生命などかえりみない非情な人物を好演している。こっちの方がアナコンダよりよっぽど怖かった。

     ◇


 ●「MASTERキートン」とある映画 2005/05/22

 木曜日に発売された「週刊文春」に浦沢直樹の傑作コミック「MASTERキートン」が絶版になっているとの記事がでていた。
 私、このマンガが大好きでそれまで立ち読みしていた「ビックコミックオリジナル」を毎号購入するようになり、コミックスも全巻揃えたほど。
 その中で一読しただけで、これは映画になると思えるエピソードがあった。
 それはコミックス第6巻に収録されている「青い鳥消えた」。
 英国から西ドイツに越してきた夫婦。越してきたとたん、一人娘が行方不明になる。妻はあわてて警察を呼び大騒動に。ところが夫婦はともに再婚同士、夫は有名なジャーナリストで仕事に忙殺されて英国ではその娘に一度も会ったことがないという。西ドイツで一緒に暮らしはじめる予定だったのだ。おまけに持ってきた娘の服、アルバム等すべてがなくなっている。目撃者もいない。警察は妻が精神科の世話になっていたことを知ると、すべて彼女の妄想とかたづける……
 この後、キートンが登場して事件はあっと驚くオチがついて解決するのだが、このプロットをいかして上質のサイコミステリ映画ができるのにと考えたのだ。
 今年「フォーガットン」という映画が公開される。途中までの展開はまさしく「青い鳥消えた」である。ハリウッド映画、日本のマンガをパクッたか? とても期待できる映画だ。




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
小林信彦を読む 2005秋
NEW Topics
告知ページ
1分間スピーチ #16 サマータイム導入問題
BC20世紀 賄い料理その2
「花戦さ」&「22年目の告白 ~私が殺人犯です~」
「美しい星」
1分間スピーチ #15 倉木麻衣と宇多田ヒカル
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その4
ちょっとひとやすみ その4
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その3
紙ふうせんシークレットライブ 2017 その2
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top