2010/11/20

 「紙ふうせんリサイタル2010 なつかしい未来VOL.5」(サンケイホールブリーゼ)

 承前

 第2部は「いつも心に青空を」で始まった。
 第2部はいつものライブをより音を厚くして聴かせ、プラス新曲発表するという趣旨だと思っている。音の主役はやはりストリングスのラ・ストラーダだ。金関さんが奏でるヴァイオリンの繊細さに心ときめかしてることはこれまでも書いている。音もいいが、金関さんの演奏している姿もかなりのインパクトなのである。
 「いつも心に青空を」では間奏のピアノとヴァイオリンが出色。どういいのか、音楽の造詣がないのでうまく表現できないのがつらい。
 金関さんのコミカルな動きが楽しみでもある。演奏が終わる、その一瞬、ある一点を見つめうなづくことに気がついた。それが僕の位置からだと隣の浦野さん(ベース)と見つめあっているように見える。ただ平山さん後藤さんの陰になって浦野さんの表情がわからない。なぜに浦野さん? この妖しい構図、何度も吹き出してしまった。実際はピアノの今出さんを見ていたそうだ。それならわかる。

 東京時代、女子大の学園祭で発表するために作ったという「街を走りぬけて」のあと、メンバー紹介。

 「You've Got A Friend」に感激した。キャロル・キングの名曲で、邦題は「きみの友だち」。赤い鳥「スタジオ・ライブ」の1曲目。新居(山本)潤子さんのリードヴォーカルだった。
 赤い鳥最初のライブアルバム「スタジオ・ライブ」。初めて聴いたのは中学時代友だちの家だった。「エーメン(コーラス)」をメンバー紹介とともに4つのパート(新居さん、平山さんのユニゾン)、後藤さん、山本さん、大川さんがそれぞれ歌って、聴衆を巻き込んでシングアウトする。とても印象深かった。
 高校時代になって赤い鳥のアルバムを買い集めたときにはもう店頭になかった。長い間幻のアルバムだった。「ちっちゃな子守唄」でおもちゃのピアノをミスタッチして「たんたんたぬき」を弾いて「アイムソーリー」とつぶやく平山さんがかわゆくてね。


 いつも心に青空を/街を走りぬけて/You've Got A Friend


 第1部の「流れ星」に続く新曲は「7倍の幸せ」。
 なのだが、ステージでそう紹介されたとき、僕の耳には「ララバイの幸せ」と聞こえたのである。
「子守唄の幸せ? どんな意味があるのだろう」
 そう思いながら聴いていた。いと恥ずかし。
 バックに映し出された盲導犬、聴導犬、介助犬のスチールの数々。平山さんがカメラ持参で自身の手で撮った。オフ状態でのんびり気ままな犬の表情が笑顔を誘う。


  私はあなたの心がわかる
  あなたの心の涙さえも
  いつでもどこでも
  どんなときでも
  あなたの笑顔が続くように

  あなたが呼べば凸凹道でも
  歩いていける
  寄り添いながら

  私の時間は人の7倍
  大人になるのが早いから
  春夏秋冬 季節の匂い
  7倍の幸せ作りたいから

  あなたが呼べば凸凹道でも
  歩いていける
  寄り添いながら


 「なつかしい未来新聞」に記載された楽譜の詞を写していて、涙がにじんできた。
 なぜか、年老いた黒のラブラドール・レトリバー「泰山」くんのご主人に甘える姿が脳裏に浮かんで。

 「ホーハイホー」ではヴィオラの音色に感激した。ヴァイオリンの引き立役でいつもあまり意識したことがなかったので。
 「虹」でおもちゃのピアノが再登場。今度は今出さんが弾いていた。このピアノ、今出さんの所有物らしい。

 中国に旅したとき、松茸を手に入れて、その場で食べるために途中の食堂にお願いして料理したこと。
 自宅にいると夜鳴きそばがやってきたので、食べたくなって外へ出た。出来上がって食べ始めると、屋台はさっさとどこかへ行ってしまった。暗い道ぽつんと一人。サマにならないので電柱の下でそばをすすったこと。
「以上、ご報告まで」
 と後藤さん。

 昔の尼崎で体験した水害の話から「船が帰ってくる」。
 ステージラスト(もちろん予定されたアンコール前)の曲はお馴染みの「翼をください」。観客とシングアウトするのはいつものことだが、今回は二声で歌いましょうと。
 赤い鳥2枚目のライブアルバム「ミリオン・ピープル」では「もう一度帰ろう」を二声で歌った。会場をメロディとハーモニー担当に分けて後藤さんが指導する。1階の一般大衆席と2階の貴賓席で成果を競い合ったりして。レコードを聴きながらよく一緒に歌ったものだ。
 紙ふうせんになってからはフォルクローレの名曲「時の流れ」をやはり二声で歌っている。こういうことってほかのアーティストもやるのだろうか?
「1階の人たちで歌ってみましょうか」
 後藤さんに促されて歌う。実際のところハモっているのかどうかよくわからない。
「それでは2階の貴賓席」
 これが見事にハモっているのだ。感動。

 7倍の幸せ/ホーハイホー/虹/船が帰ってくる/Route-43/翼をください


 この項続く




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Comment
No title
最近疑問に思い、EP LP を調べてます。
何かというと名前の事なんですが、keiさんは聞いてみたことがあるでしょうか?
「赤い鳥」「THE RED BIRDS」「紙ふうせん」「KAMIFUSEN」と表現を変えているんです。「THE RED BIRDS」はアメリカで作ったLPがあるのでわかるのですが、EP「二人」でも使われています。気分的なものだったんでしょうか? 曲によって何かメッセージがあったのでは? きっと当時でも分けた使い方をしていたのでは?
伝承歌的な曲は「紙ふうせん」歌謡曲的な曲は「KAMIFUSEN]というように。でも違うんですよ!そんなんじゃない!  表紙のデザイン、雰囲気的なもの?
う~ん、ジローさん的に何かがあったとおもうのだが・・    どうでしょうか・・・
行きたかった聴きたかった
keiさんの臨場感あふれるレポートが嬉しいです。
感謝。
ジンギスカン さん
待ってました、この質問。
ある方のブログには、「ザ・レッドバーズ」が正式名称(初期のころは)だった、なんて書いてあります。
私は、あくまでもデザインだと考えています。
赤い鳥という文字(日本文字)をアルファベットで表現したら、という。
本当ならば、「AKAITORI」なのですが、そこは簡単に英語に訳せるから。
だって、The Beatlesを日本語にしてもザ・ビートルズでしょう?
甲虫(かぶとむし)たちとは表記しないでしょう。

紙ふうせんの場合も同じ。
KAMIFUSENはアルファベットのデザインです。
単独で表記されることはなかったでしょう?
紙ふうせんという表記があって、それをフォローするような。
これならまだ理解できるでしょう。
The Paper balloonじゃないだけでもましです。
実際、初期のころは何度かこの英語訳を見ていますから。
るね さん
4日のFJ'sライブは、もしかしたら紙ふうせんの歴史に残るのではないか、というぐらい期待していました。

リサイタルはあと5回です。ぜひ一度!
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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