昨日の「3年B組金八先生ファイナル 最後の贈る言葉」。4時間つきあった。第3シリーズといくつかのスペシャルドラマをのぞいてリアルタイムで観てきたのだから当然だろう。
 本当なら、第9シリーズとして半年間の連続ドラマがあって、その最終回がこの「ファイナル」になるのかもしれない。しかし、前シリーズが予想外の低視聴率だったために次につながらなかった。そう勝手に思っている。
 まあ、脚本の小山内美江子が病気降板した時点(第7シリーズ)で終わっていたのだ。小山内美江子の降板は確かに病気が原因だが、実はその前からドラマの内容をめぐってスタッフとの確執があったという。降板はある意味更迭だったと。週刊文春の記事でわかったことだが。
 ショックだった。

 生みの親を更迭して始めたシリーズの視聴率が悪いんじゃ目も当たられない。ちょうど武田鉄矢の年齢もあって、金八先生の定年によるシリーズの終了を宣言するのもうなずける。
 ちなみに第8シリーズは、決して出来が悪かったわけではない。原点に戻ったようなドラマ作りには好感を持っていた。
 
 さて、ファイナルの「最後の贈る言葉」。ドラマそのものは期待していなかった。別の期待感――、同窓会に出席するときの、あのちょっとしたドキドキ感というのだろうか。
 ところが、その同窓会的趣向と、ドラマの展開がうまい具合にドッキングしていた。特に加藤勝(第2シリーズの「腐ったミカンの方程式」のあの問題生徒)と再会して金八が一念発起してクラスの問題解決に立ち上がるあたりまでは。加藤を演じる直江喜一の演技は俳優廃業のブランクなんてまるで感じさせない堂々たるもの。思わず見入ってしまった。

 現在の3Bの問題生徒を再度クラスで受け入れるための保護者への説明会も、反対意見にタジタジになるものの、保護者に混じって説明会を聞いていた宮沢保・雪乃夫婦(第1シリーズの「十五歳の母」のカップル)に助けられる。雪乃に扮する杉田かおるは昔のままの清純イメージ。女優魂を見せつけてくれた。

 金八の娘、乙女(星野真理)の披露宴。元校長(赤木春江)の祝辞のなんという深さよ。乙女の成長をずっと見てきたからなあ。第一、第二シーズンのレギュラー教師陣(財津一郎、上條恒彦、吉行和子、茅島成美)の姿にしみじみ。
 
 マッチが登場するあたりからドラマはファンタジーさを増していく。それこそ顔見世興行の態。ご都合主義。
 いや、それをいうなら加藤のエピソードにしたって、そんなに金八先生に感謝しているのだったら、桜中学卒業後も年賀状はだしていただろう。近況報告は欠かさないはず。加藤が新潟で建築屋の社長になっているくらいを知らないはずがない。なんて突っ込みもできる。
 でもまあそれが「3年B組金八先生」の世界観だから。毎年の3年B組の担任、ほとんど異動しない教師。一定の教師しかいない職員室。番組の約束事と言い換えてもいい。

 その手のファンタジーも理科室における金八最後の授業のリアルさで解消される。
 3Bのクラスメートは金八の説得で問題生徒を受け入れる。で、生徒は都立高校の二次に合格してめでたしめでたし。あとは卒業式のみ。
 にもかかわらず、時計は22時過ぎ。あと1時間どうするんだろう? まだ一波乱あるのか?

 違った。
 定年退職する金八先生のために新旧の3Bの生徒たちが卒業式を催す。それがドラマのクライマックスなのだった。
 送辞は、今回の主役である問題生徒。しかし、この送辞の内容、演技でシラけてしまった。なぜ一度画で見せたことを能弁に語らせるのか。あの場合、何か言おうとして、でも言葉にならない、そのじれったさに感じるものがあると思う。あるいは何も言えないまま感極まって泣いてしまうとか。
 金八の答辞が圧巻だった。150名近くの生徒たち、一人ひとりの出欠をとるのである。もちろん、それぞれに当時の映像が挿入されて。そのやりとり、金八の言葉。演技なんかじゃない。まさにドキュメンタリーの様相を呈していた。

 涙ボロボロ……。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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