昨晩遅く帰宅して児玉清の死去を知る。
 ああ、やはりダメだったか。
 胃がん。「娘さんと同じじゃない」とかみサン。
 子どものころから抱いていた俳優・児玉清のイメージが変わったのは、あるラジオ番組へのゲスト出演だった。「伊集院光の日曜日の秘密基地」だったと思う。そして生で観た「週刊ブックレビュー」の司会ぶり。それから著書の「負けるのは美しく」。この十年のことだ。
 享年77。

 合掌

 本題は読書レビューにあるので、リンクではなく転載する。

     ◇

 ●「週刊ブックレビュー」公開録画 in 大泉町 2007/10/06

 NHKBS2「週刊ブックレビュー」の公開録画が大泉町文化むら大ホールで行なわれた。書評ゲストの一人が談四楼師匠と聞いて久しぶりに大泉町を訪れた。高校時代以来だから何年ぶりだろう。

 群馬県の東南に位置する大泉町。今や多くのブラジル人が住む町(リトルブラジルがある街)として全国的に有名になった。
 邑楽町出身の師匠にとって大泉は隣町。学生時代は大泉町に唯一あった映画館に自転車で通い、Yという食堂のおむすびつきラーメンをよく食べたとか。
 太田出身の僕にとっても隣町だ。高校時代は東京三洋ラグビー部OBに胸を借りることがあって、何度か通っている。太田駅から小泉線を利用するのだが、今回初めて知ることがあった。小泉線って館林からも出ているのだった! 昨日、ネットで電車の時間を調べていて判明した。
 また、長年の疑問も解消した。路線の名称は小泉線、東小泉、西小泉という駅もある。大泉なのにどうして小泉なのか? その昔大川村と小泉町が合併したんですね。今日まで知らなかった。まったくお恥ずかしい限り。
 館林から3駅めが東小泉。車窓から見る田園風景に心和んだ。帰りは夕陽が目に染みた。

 番組は午後2時収録スタート。まずは司会の児玉清、中江有里、両氏の挨拶から(その前に大泉町長、NHK前橋支局長の挨拶があったのだが)。
 書評ゲストは師匠のほか、高見恭子氏、夢枕獏氏の計3名。
 各氏おすすめの一冊は次のとおり。

 立川談四楼……「間の取れる人 間抜けな人 ~人づき合いが楽になる」(森田雄三/祥伝社新書)
 高見恭子……「ABCDJ ~とびきりの友情について語ろう」(ボブ・グリーン/駒沢敏器 訳/NHK出版)
 夢枕獏……「1976年のアントニオ猪木」(柳沢健/文藝春秋)

 印象的だったのは、やりとりの中で見せた司会の児玉清氏のしぐさ。ゲストの言葉をメモする姿がとても様になっていてかっこいい。ダブルのスーツで決めていることもあって、大企業の代表取締役社長(COO)といった趣き。ソニーの出井氏をもっとソフトにした感じだろうか。中江さんは若い秘書ね。

 トーク終了後、児玉氏が客席にどの本を読みたいかのアンケートをとった。師匠のおすすめ「間の取れる人 間抜けな人」が一番票をあつめていたようだ。

 特集ゲストは渡辺淳一氏。
 ベストセラーになった「鈍感力」と最新作「あじさい日記」が話題になったのだが、会場を爆笑させたのが、客席から受けた質問に対する回答。結婚30年を迎えた夫婦へのアドバイスがふるっていた。こんな愉快な作家だとは知らなかった。

(略)

     ◇

 ●「負けるのは美しく」(児玉清/集英社) 2007/10/14

 週刊ブックレビューの公開録画を観に行って、司会の児玉清のかっこよさに惚れ惚れした。上背はあるし、スーツは似合うし、とにかく品がある。存在が嫌味にならない。
 数年前、某ラジオ番組にゲスト出演した際の、俳優になる前後の思い出話を興味深く聞き、それまでのイメージ(外見の良さだけで俳優やっているのだろう)を一新してはいたのだが。
 翌日、図書館に行ったら、俳優人生や家族について綴った「負けるのは美しく」(集英社)があったので、さっそく借りてきた。

 知人が勝手に応募した東宝ニューフェースの試験。俳優になる気がまったくなかったが、急逝した母親の「行きなさい」の声を聞いて、会場に駆けつけるが大遅刻。本当ならそこで失格なのに、受付係の好意により最終グループに割り込ませてもらって面接することができた。ところが演技審査で着用しなければならない海パンを忘れた。ええい、ままよと下着姿で審査員の前に立った。当然落ちたと思っていたら見事合格。
 とはいえ、本人、やはり俳優になる気なし。翌年の就職までの腰掛け程度の感覚だった。ところが仕出しで参加したロケの合間、若手スターに連れられて入った喫茶店で気持ちが変わる。スターがサインを求められ、ついでに自分も求められると件のスターが言ったのだ。
「この人は雑魚だからサインして貰っても仕方がないよ」
 この言葉に発奮した。だったら雑魚じゃない俳優になってやろうじゃないか。

 ここらへんのエピソードは、ラジオで聞いたのと同じ。これで児玉清はもしかしたら骨のある俳優なのでは? と思ったのだ。
 「負けるのは美しく」は、東宝専属時代の失敗談、黒澤監督への反発、フリーになってからのTVへの進出等々、興味深いエピソードが次々に紹介されていく。癌で愛娘を亡くした想いは痛切だ。

 文芸誌「すばる」に連載したエッセイ「ちちんぷいぷい玉箒」をまとめたもの。書名「負けるのは美しく」の由来に得心した。

 本書を読みだしたのが12日。翌13日の夜、たまたまチャンネルを廻したら日本テレビで新番組「ドリーム☆アゲイン」が始まっていた。主演の反町隆史の隣にいる男性にかみサンと娘が声を揃えた。「あっ、児玉清だ!」
「実物の方が数倍かっこいいよ」
 そう言うと、かみサンがそんなことわかっているといった顔をする。しかしなぜ児玉清にそんな敏感に反応するんだ? ファンなのか?
「××(娘)は、結婚相手のお父さんが児玉清みたいだったら、息子から乗りかえてもいいと思っているくらいなのよ」
 ……知らなかった。
「だったら、先週の『週刊ブックレビュー』の公開録画についてくればよかったのに」
「どうして?」
「だって、司会が児玉清だもの」
 母娘が見つめあう。「行けばよかった」と娘。
 児玉清に対する新たな感情がわいてきた。嫉妬、か。

 「負けるのは美しく」に〈恰も〉という文字が何度もでてくる。最初〈はまぐりも〉と読んで、そんなはずがない! はまぐりは蛤だ。〈あたかも〉だった。




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Comment
自分が中学生のころ、本気でつきあいたいと思いながら毎週アタック25を見てました。
77歳、早いです。残念です。
ありがとうございました。
”蛤”絶妙です。ありがとうございました。また、訪問させて頂きます。
ペギミンH さん
22日の「アタック25」って追悼番組になるんですってね。私は「新婚さんいらっしゃい」が生理的に受けつけなくて(登場する新婚さんに!)、チャンネルを替えてしまうしまうので、「アタック25」を視聴する機会にめぐまれないのですが、たまに目にすると、いかにも日曜の午後って感じがして、落ち着きます。

ところで、日本テレビで「ワーズハウスへようこそ」(でしたっけ?)という、日本語の間違いを検証する5分間番組に児玉さん出演されていまいたが、こちらはどうなっているのでしょうか。
砂まじりの茅ヶ崎 さん
書き込みありがとうございます。

民主党議員で、はまぐりと呼ばれている方がいらっしゃいますよね。同じ字かなと思ったら、あちらはサンズイでした。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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