ちょっと一休み。

 昨日は角川シネマ新宿の「軽蔑」チャリティ試写会へ。先週開催されたシネりんのゲスト、大高氏に招待状をもらったのだ。
 もともとこの映画、中上健次の原作を廣瀬隆一監督が高良健吾と鈴木杏の共演で描くと知って公開を楽しみにしていた。大高氏から「試写会に行きたい人」と言われたときは、待ってましたとばかりに真っ先に手をあげた。今年は東日本大震災のため自身が主催する「日本プロフェッショナル大賞」の授賞式が開催できなかったため、一押しの映画の試写会を企画したという。

 試写会は19時15分から。19時ちょっと前に開場に到着して、待ち合わせしていたHさん(シネりんメンバー。招待状は一枚2人なので)に合流したら、一般席は満員になったところだった。
 係員から言われた。
「一番前のマスコミ席でご鑑賞いただけますが、上映後の取材時には一番うしろで立ってその模様を見ていただくことになりますがよろしいですか?」
 拒否するわけがない。係員に連れられてマスコミ席へ。一番前のまん真ん中。特等席だ! スクリーンがでかい。

 70年代の日本映画、特に神代辰巳監督の映画や「傷だらけの天使」等のTV映画に夢中になった人は観た方が良い。手持ちカメラによる長まわしは仙元誠三というか、姫田真佐久のカメラワークだろうか。
 「白夜行」ではダルビッシュみたいな容貌だった高良健吾、今回は松田翔太を短髪にした感じ。二十面相役者と呼ぼう。ちょっとしたことに切れる姿がリアル。ちなみに高良って〈こうら〉と読む。ずっと〈たから〉だと思っていた。
 鈴木杏はスリムパンツが良く似合う。大胆なセックス描写にはちょっと複雑な思い。娘と一つしか違わないので。

 ふたりが列車に乗るシークエンスで憂歌団の曲が流れてくる。この感覚は「傷だらけの天使」の「一人」を意識しているのではないか。あの頃は映画やTV(映画)でよく散見されたものだが。
 このあと、映画の中で一番の名場面がある。さまざまな思いが錯綜して涙がでてくる。
 このシーンで映画は終ればよかったのに。人が入り乱れるざわめきと銃の発砲音をかぶせればその後のことは十分想像できるのだから。ラストの商店街とタクシーのシーンは蛇足でしかない。廣瀬監督、「余命1ヶ月の花嫁」でより涙を誘うベタな演出を覚えたか。
 それはともかく、中上健次の世界を現代に置き換えて違和感なく描ききったのはすごいことだと思う。お前、中上健次を知っているのか、と問われたら知らないと答えざるをえないが。でも、70年代から80年代にかけての映画人の中上健次への思い入れの強さはわかっているつもり。

 あとはどうでもいいこと。
 高良健吾の両親に小林薫と根岸季衣。わあ、「ふぞろいの林檎たち」じゃないか。
 緑魔子なら綾部のばばあができるな。映画で緑魔子が演じるキャラクターは絶対岸田今日子のあの役を意識している。
 音楽はよかったけれど、統一感がなかったな。
 映画のテーマの一つでもある主人公たちが主張する「五分五分」の関係。後藤さんが平山さんにプロポーズした際の言葉「これからは割り勘でいかへんか」に通じるものがある、よね?




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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