本日、丸の内TOEIで「手塚治虫のブッタ」鑑賞。
 岡田・赤頭巾ちゃん気をつけて・裕介が吉永小百合を意識してプロデュースした作品にロクなものがない。僕が観た作品に限ってのことだが。
 予告編から何も響かなかった。チケットもらわなかったからたぶん劇場で観なかったと思う。手塚治虫の、と謳っているにもかかわらず、キャラクターは手塚治虫のそれを使っていないし。かといって、その昔、「幻魔大戦」が劇場アニメになったときのような、原作(画)の石森章太郎ではなく大友克洋を起用したような大胆なものでもなく。
 スタッフの意気込みは感じつつ、何となくどことなく中途半端。
 
     ◇

 ●トランスセクシャルと手塚治虫 2007/05/17

 TVで2本のドキュメンタリーを観る。

 14時からフジテレビで「性同一性障害の恋人たち ~精神科診察室の物語~」。
 心が女性の男性とその逆の女性が、性転換手術を受けるために一緒にクリニックに通う日々。割れ蓋に綴じ蓋。うまい具合にカップルができたものだと感心した。ネットの、その手のサークルで知り合ったという。

 ふと思い出した。好きな彼女がレズビアンで、女の子にしか興味がない、そこで、自分が女性になって恋愛を成就しようとする男性のブログがある。彼女も応援してくれて、徐々に女性へと生まれ変わっていく、そんな日記が綴られていくのだが、フィクションじゃないかと睨んでいる。彼女がレズだから女になる、この男性の精神構造がにわかに信じられない。

 話をもとに戻す。
 このドキュメンタリーでは、男性、女性、性同一性障害の男性、女性、それぞれの脳のある一部のレントゲン写真(?)を見せてくれる。確か人間の性を形づくる部分とか説明があった。驚いたことに、性同一性障害の男性と女性のそれがほとんど同じなのだ。
 性同一性障害の男性の両親は同世代。ここで考えてしまった。もし、自分の息子が「女になりたい」と言い出したらどう反応するだろうかと。うちは娘だから「私は男になりたい」と言われたらどうするか。環境とか育て方とかの問題ではない。脳の写真が証明している。明らかに疾患なのである。

 トランスセクシャル、今は〈TS〉という言葉で括られる事象に興味を持ったのは手塚治虫のマンガがきっかけである。
 小学生低学年のとき、アニメ「リボンの騎士」に夢中になった。コミックスも揃えた。
 サンケイ新聞に連載されていた「青いトリトン」(アニメ化で「海のトリトン」に改題)は、前半がトリトンの兄、和也の冒険話だった。ある船にしのびこんだ(?)和也が船長の部屋をのぞくと、着替えをしていて、実は女ではないかと思わせるコマがある。この何気ない絵に興奮した(コミックスにはこのカットがない)。隔週刊の少年チャンピオンに連載されていた「ザ・クレーター」では死んだ少女の心が、ある一定期間主人公にのりうつって騒動が巻き起こるなんていうエピソードがあった。
 影響されて男から女へ強制的に性転換手術させられるマンガを描いたことがある。小学5年だったか、6年だったか。かなりマセていた、というか、「お前何考えてるの?」と言われても仕方ない。

 深夜は、その手塚治虫を取材した「手塚治虫 創作の秘密」。NHKアーカイブス枠。

 このドキュメンタリーはオンエア時に見逃してくやしい思いをした。マンガの神様の原稿執筆しているところを一度この目で確認したかったのだ。写真や漫画では何度も拝見しているのだが、やはりビデオにはかなわない。下書きする際の、鉛筆の動き、紙をすべる音にうっとり。
 オイソガ氏の方だから、海外へ行くため、空港に到着しても原稿用紙と格闘しなければならない。数枚を残して搭乗時間。あとは向こうからFAXで送るから、ということでご夫婦で旅立つのだが、「?」が頭に中にいくつも並んだ。
 下書きした原稿を日本に直送するわけではない。単なるFAXである。東京のアシスタントは送られたFAXで、最終的にどのように仕上げるのだろうか。
 亡くなる3年前の映像。取材の中では、年をとって、納得のいく絵、特に丸が描けなくなったと嘆いているが、今見ると驚くほど若い。机につっぷして仮眠をとる姿のなんとかわいいことか。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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