2011/05/28

 「特別企画公演 立川流落語会」(国立演芸場) 

 オレは落語ファンではないな。
 昨年、立川流落語会をご覧になったある方のブログを読んでそう思った。談四楼師匠がトリをつとめた最終日だ。その方は「低調だった」と書いていた。僕にはこれまで以上に面白く感じられた会が低調? もちろん、いわゆる〈本寸法〉の高座は少なかった。でも、笑えたじゃないか。終わったあと充実感があった。それが低調だって。
 落語好きといっても、生の落語を観るようになったのはこの十数年だし、それも談四楼師匠と立川流ばかりだし、まあ、アテにはならないか。


  立川談吉  「道灌」
 
  立川平林  「名古屋弁浮世根問」+(踊り)どじょうすくい
  立川キウイ 「真打昇進報告」
  立川志遊  「ちりとてちん」
  立川談之助 「鮫講釈」
  立川ぜん馬 「宿屋の仇討」

   〈仲入り〉

  立川生志  「看板のピン」 
  立川左談次 「権兵衛狸」
  マグナム小林 ヴァイオリン漫談
  立川談四楼 「明烏」


 開口一番の談吉さん、上手いなあと思ったら、すでに二つ目昇格が決まっていた。平林さんの名古屋弁「浮世根問」何度聞いても面白い。しかし、どじょうすくいの踊りとカップリングは予定時間をオーバーして、次のキウイさんがマクラだけになってしまった。でかした、平林さん! いやいや、キウイさんは何も落語なんてする必要はない。マクラ(漫談)だけの方がキウイさんらしい。前日の「J'z立川流落語会」ではキウイさんらしい落語で楽しませてもらった。でも、あの客を巻き込む高座、世の落語ファンの反発を買うだろうなあ。
 NHK朝のテレビ小説で人気を呼んでからは東京でも「ちりとてちん」になってしまった。「酢豆腐」は廃れてしまったのか? 「鮫講釈」「宿屋の仇討」ともに熱演、ともに時間オーバー。

 そのしわ寄せは仲入り後にきた。
 あっというまの「看板のピン」「権兵衛狸」。真打の「看板のピン」、前座のとはどこか違う。左談次師匠! 週刊朝日の連載、毎週の楽しみだったのに。
 ヴァイオリン漫談に瞠目。昨年のjamjam年末ライブ、それから今年の紙ふうせんシークレットライブでの、金関環さんは、まさに最高のテクニックを持つヴァイオリン漫談、歌うヴァイオリニストだった。僕の頭にマグナム小林の文字が浮かんだ。ライブ終了後、東京にヴァイオリン漫談する芸人がいるんですよ、というと皆笑っていた。
 ヴァイオリン漫談ということから、牧伸二のウクレレ漫談、ぴろきのギタレレ漫談のようなものを想像していた。漫談の合間にヴァイオリンでお馴染みのフレーズを弾くというような。あくまでも漫談が主、ヴァイオリンはつけたし。もともと立川流の噺家(前座)だったのだが、破門されて噺家を廃業、ヴァイオリン漫談を始めた。そんな経緯を知っているので、上のようなイメージを持ったかもしれない。全然違った。ヴァイオリンの演奏(音楽)が見事にギャグになっているのだ。ヴァイオリンで様々な日常の音を再現する。たとえば救急車とか。これは技あり。演奏自体堂に入ってる。タップを踏みながらの演奏には拍手喝采!

 もし立川一門が落語協会を脱退しなければ、今頃、立川談四楼は寄席の主任(トリ)をつとめる重鎮になっていただろう。
 どなたかが本に書いていた。広瀬さんの落語本だったかな。昨年、今年とその貫禄を見せつけてもらった。「明烏」は甘納豆のやけ食いがいたく気に入っている。
 6月29日(水)、同じ会場で開催される「祝還暦落語会 同期と共に」に期待している。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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