昨日は地元シネコンで「スカイライン -征服-」を鑑賞。転起承(転)結起のうち起の部分がまるでミュージッククリップのノリなので、どうなることかとヒヤヒヤしたが、また転になって安心した。
 「インデペンデンス・デイ」の巨大UFO、「マトリックス」の蛸型メカ生物、「クローバー・フィールド」のモンスターを登場させ、「宇宙戦争」の展開で包んだ映画、といえようか。

 今日は、夕方から国立演芸場で「祝・立川談四楼還暦落語会 同期と共に」。八朝師匠、権太楼師匠との座談会がむちゃくちゃ面白かった!

          * * *

2011/06/21

 「マイ・バック・ページ」(MOVIX川口)

 文筆家の川本三郎が元朝日新聞社の記者であることは知っていた。が、退職の理由まで考えたことはなかった。当時のことを綴った回想録「マイ・バック・ページ ある60年代の物語」の存在もこの映画が公開されるまでまったく知らなかった。「マイ・バック・ページ」がボブ・ディランの曲名であることも。
 山本敦弘監督が60年代を舞台にした映画を撮ると聞いて興味を抱いた。主演が妻夫木聡と松山ケンイチ。原作が川本三郎で、妻夫木が川本自身の役、松山が学生運動家を演じる。政治の時代における二人の交流模様を描くのだろう。そんな認識で劇場に足を運んだ。

 いろいろ考えさせられた。
 当時川本三郎は朝日ジャーナルの駆け出し記者。先輩記者の紹介で過激派「赤衛軍」の幹部・Kと知り合い、親交を深めていく。Kは武器調達のため自衛隊朝霞駐屯地に忍び込み警備の自衛官を殺害してしまった。自衛官のライフル奪還には失敗するが、「赤衛軍」の犯行であることはアピールできた。川本三郎はスクープを狙ってKを秘密裏に取材する。このときKから預かるのが自衛官がつけていた腕章なのだが、その後自宅庭で燃やしてしまう。
 〈朝霞自衛官殺害事件〉または〈赤衛軍事件〉と呼ばれる事件に川本三郎が関わっていた事実。川本は証拠隠滅で逮捕された。それで朝日新聞社を解雇されたのか!

 〈朝霞自衛官殺害事件〉についてはかすかに記憶している。71年の8月というから僕が小学6年のときだ。三島事件(70年11月)とあさま山荘事件(72年2月)にはさまれて、今となってはほとんど話題にのぼることもない。事件の名称自体もすっかり忘れていたが、自衛隊の駐屯地で当の自衛隊員が過激派に殺されたというニュースは目にしている。けっこうメディアを騒がせたような。
 この事件、それからあさま山荘事件、その後発覚したリンチ事件で、僕は学生運動=反社会的な活動という認識を持った。小学6年生にしてみれば、人殺しは絶対してはいけないことだから。親の影響もある。全学連や全共闘と書かれたヘルメットに親は拒絶反応を示して、よく言われた。「いいか、啓介、学生運動なんてするんじゃないぞ」

 たまに考えることがある。
 もう少し早く生まれていたら、たとえば、70年安保が高校時代だったら、あるいは、もろ団塊の世代だったら、自分も学生運動に熱中していたのだろうか。
 熱中していたとして、体制への反発、自分たちの夢の実現のためなら、人殺しも止むを得ないと判断したのだろうか。
 Kは運動のため、武器を手に入れるため人を殺した。映画を観る限りでは、仲間が殺したのだが、その責任は絶対Kにある。体制に対抗するには武器が必要だ。武器を手に入れるためには何をしてもいい。この考えは当時誰もが持っていたらしい。 赤軍派と合体して連合赤軍となる京浜安保闘争も武装するために、銃砲店を襲っているのだ。
 
 映画を観ていて信じられなかったのは、殺人犯(実行犯でなくても)のKを川本三郎が庇ってしまうこと。彼は思想犯だから、というのが免罪符になっているみたいだが、そんなこと絶対あってはならない。殺された自衛官の父親の嘆き……「息子は戦争に行ったわけではない。にもかかわらず、なぜ殺されなければならないのですか、それも駐屯地で!」に僕は与する。この叫びは胸を突き刺した。Kが殺人に加担しているかどうかわからない状況ならば、まだ理解できるのだが。宮沢賢治やCCRの「Have You Ever Seen the Rain?」が好きだから、シンパシーを感じるのはいいとして、殺人の証拠を見せられてもそれでも弁護するという気持ちがわからない。結局スクープを狙っただけではないか。

 この項続く  




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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