本日、通常に家を出たが、真夏の日差しを浴びるともういけない。体調は徐々に変調をきたしてきて腹がくだる。途中で引き返した。

 先週の木曜日(7日)、東北沢のシアターSで「仮面ライダー THE NEXT」を観る。Sさんの自宅地下にある豪華ホームシアターだ。昭和の「仮面ライダー」1号、2号を現代感覚で劇場版リメイク、というかリボーンしたのが「仮面ライダー THE FIRST」だった。「仮面ライダー」の〈仮面〉をきちんと取り入れたことで、石森章太郎のコミックの世界により近づいたといえる。
 石森版コミックとTVとは仮面ライダーの設定が違った。コミック版の本郷猛や一文字隼人は、ショッカーに改造された超人である。一見普通の人間だが、怒ると顔にみにくい傷(?)があらわれる。この傷を隠すため仮面を被るのだ。
 TV版は単純に変身することで超人になる。その変身も初期(藤岡弘主演のライダー1号)はライダーベルトが風の力を得て、という設定。ところが、藤岡弘が事故で降板、佐々木剛に交代すると変身シーンも大きく変わる。佐々木剛演じる一文字隼人(ライダー2号)は「へんしん!」の掛け声ととともにある決まったポーズをとって変身するのだ。この変身が子どもたちの人気を呼んだ。変身ブームの到来だ。怪奇色から明朗活劇への路線変更も一因かもしれない。

 ところで、仮面ライダーはジャンケンでいえばいつも後だしだということをご存知だろうか。
 1971年は「宇宙猿人ゴリ」vs「帰ってきたウルトラマン」の戦いで漁夫の利を得た。1980年代では「ウルトラマン80」のあとずいぶん経ってから「仮面ライダーBLACK」が始まった。「80」は一作で終了したが「BLACK」は続編(「BLACK RX」)が制作された。以降、ウルトラマンは後発の仮面ライダーに出し抜かれる結果となる。
 平成ウルトラマンが人気を呼ぶと「仮面ライダークウガ」が登場する。この「クウガ」に始まる平成仮面ライダーシリーズは一度も途切れることなく今も続いている。より原点に近い劇場版「ULTRAMAN」が公開されると、これまた「仮面ライダー THE FIRST」が。
 「ULTRAMAN」の興業成績が芳しくなかったため円谷プロが苦肉の策で昭和と平成の世界を一緒にした劇映画を作れば東映もまたしかり。後だしの意味をわかっていただけたでしょうか。

 続編の「仮面ライダー THE NEXT」にはV3が登場する。「仮面ライダー THE FIRST」は狙いは悪くなかったが映像がショボかった。続編は低予算を見せ方でかなり面白くしている。ホラー色とスローモーションで魅せるワイヤーアクションで。
 なのに、天下の東映でシリーズにならなかったのは、やはり昭和のファンに受け入れられなかったからか。

【追記】

 本郷猛や一文字隼人、風見志郎がヘルメットのように仮面を装着するのはいいのだが、そのあとに顎にパーツをセットするのが何ともダサい。仮面を被ると仮面から顎の部分にパーツが伸びてきてセットされるのをCG処理すればいいのに! これ、前作のときから思っていた。

     ◇

 ●原点回帰/ウルトラマンマックス 2005/07/05

 先週からウルトラマンシリーズの最新作「ウルトラマンマックス」が始まった。前作「ウルトラマンネクサス」が不評、低視聴率のため、1クール早く打ち切られての措置である。

 「ネクサス」の最終回は残りの1クール分を1話で描いてしまうという離れ業を見せた。あまりにも駆け足で展開に唐突な印象がまぬがれないが、最初の1クールの伏線、謎がちゃんと活かされていて、それなりに満足のいく最終回ではあった。せめて3話くらいでじっくりと描ければ…… まあ方向転換しなかっただけでもよしとしよう。

 シリーズの中の異色作である「ネクサス」は、当初のアプローチ(視聴者への提供の仕方)を間違えたのが痛い。最初はそれこそ1話完結で始めるべきだった。固定視聴者がついたあたりから、雰囲気もダークにさまざまな伏線をはり連続モノのスタイルに変更していけば、印象もかなり違ったものになったのでは? 誰とは言わないがキャスティングにも慎重を期すべきじゃなかったか。若手で魅力ある役者(特に女優)が少なかった。
 映画「ULTRAMAN」との世界観を共有させるなど、風呂敷を広げすぎた感もある。

 きちんとラストまで描いたとはいえ、やはり途中退場は残念。
 真の敵ボスは防衛チームのメンバーの一人だわ、女性隊員がウルトラマンに変身する(番組の中での)3番めのデュアリストになるわ、これまでのシリーズでは考えられなかった斬新な意外性にとんだストーリー。こういうウルトラマンを私は待ち望んでいたのだから。
 以前書いた私がウルトラマンのシリーズ(別にウルトラマンでなくてもいい、新ヒーローということ)で期待した要素がかなりこの「ネクサス」には取り込まれている。そう考えると、1年間、51話で成り立つ「ネクサス」を観たかったというのが正直な感想。

 で、「マックス」である。円谷プロは起死回生を賭けて原点回帰を目指しているという。
 明るく単純なストーリー。M78星雲の宇宙人という設定。過去の人気怪獣の登場。これで失敗したら後がないというスタッフたちの意気込みが波打っている。果たしてそれでいいのかという疑問がなきにしもあらずなのだが。
 円谷プロの原点回帰は今に始まったことではない。1970年末に放映されたアニメ作品「ザ・ウルトラマン」も当初原点回帰が叫ばれた。恐竜型の怪獣、魅力的な防衛チーム、1話完結のストーリー、レギュラーにはカネゴン型ロボットがいたし。
 しかし、後半からイメージが大きく広がりだし、アニメでなければ表現できないエピソードが目白押しだった。私はアニメのウルトラマンなんて認めたくはないのだが、後半のエピソードだけでも「ザ・ウルトラマン」の存在意義があると思っている。
 「ウルトラマンティガ」の後番組「ウルトラマンダイナ」も原点回帰と言われた。結果は当初の方向性とはまるで違う着地だった。だからこそ拍手喝采したのだが。
 とにかく何かというと原点回帰だ。そこまでいうのなら、本当に初代のウルトラマンをリメイクすればいい。

 新番組「ウルトラマンマックス」は局も円谷プロもかなり力を入れている。何しろ「ネクサス」の打ち切りが決まってからというもの番組の最後で必ず番宣流していた。怪獣デザインのコンテストを実施したり、親子試写会を開催したり。もうなりふりかまわずという感じ。
 私はというと、これできれいさっぱり「ウルトラマン」を卒業できると思っていた。40代半ばでやっとウルトラマンの世界から離れられると。
 ところが、今度の新シリーズ、監督に金子修介や三池崇史が参加すると聞いて、冷静でいられなくなった。


 ●王道の王道/ウルトラマンマックス 2005/07/06

 この年齢になると、原点回帰のウルトラマンには興味ない。着ぐるみの怪獣とウルトラマンの戦いなんて飽きてしまった。メカニック描写、組織の中の人間描写。そういうのが見たい。
 だいたいマックスの造形はセブンにダイナの角(?)をつけただけではないか。マスクはセブンなのにウルトラマンという名称もどうかと思う(映画のウルトラマンジャスティスもそう)。まあね、「ガイア」以降マスクのデザインについてはもろ初代ウルトラマンそのものを流用しているからたまには気分を変えてセブンなんでしょうか。

 かつての人気怪獣の再登場なんてその造形に裏切られるだけである。「帰ってきたウルトラマン」に登場したバルタン星人Jr、ゼットンを見るがいい。M78星雲の宇宙人という設定にも抵抗があった。第二期ウルトラ(マン)シリーズで、第一期ウルトラのそれぞれ独立した世界観を壊され憤慨した者としては、M78星雲やウルトラ兄弟にふれてほしくない。
 黒部進(ハヤタ隊員)、桜井浩子(フジアキコ隊員)のレギュラー出演もなんだかなあという感じ。

 一話完結、簡潔明瞭なストーリー展開はわかるとして、そもそも番組の主要ターゲットである今の子どもたちにとって、過去の人気怪獣やM78星雲の宇宙人なんていう設定が必要なのだろうか。もっといえば、巨大な怪獣やウルトラマンを求めているものだろうか。しょせん、子どもたちの親に対するアピールでしかない。自分たちがかつて夢中になったのだから、今の子どもたちも夢中になるにちがいないなんて考えているのではないか。大きなお世話である。もしかすると巨大な怪獣やヒーローなんて過去の遺物かもしれないのだ。ある世代から下にとっては。

 昔ながらの特撮ヒーローもの、ウルトラマンなら観てグダグダ文句を言うだけ。だったら観なければいい。だから卒業! そう決心したのに金子監督や三池監督が参加すると知って、気が変わった。
 
 初回は金子監督。タイトルから初代ウルトラマンを意識した作り。ラストは〈○○怪獣×××登場〉だもんな。
 内容はシンプル。防衛チームの紹介、異変、怪獣出現、主人公と防衛チームの出会い、主人公とウルトラマンの遭遇・合体、ウルトラマン対怪獣、主人公の入隊。ソツなく定番ドラマをまとめている。ヴィジュアルはかなりインパクトあった。
 光の巨人の命名の仕方なんてイデとハヤタの会話の再現。「なぜウルトラマンマックスなの、別にウルトラマンでいいじゃない! マックスがうしろにつく理由を教えてくれ」と突っ込みたくなる。
 
 何はともあれ、当分土曜日7時半の録画予約は続きそうである。嗚呼!




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Comment
はじめまして。
ウルトラマンに関して色々調べているうちにちょっと立ち寄らせていただいたのですが…。
「後だし」というところにちょっと違和感を覚えました。まず70年代ですが「帰ってきた…」はちゃんとヒットした作品なので二つが争った後で出てきて得をする「漁夫の利」という表現は当たらないと思います。その後もシリーズが3作連続で出たことで明らかなところです。
つづけて80年代、90年代以降のところですが両方ともウルトラから仮面ライダーの放送まで数年の開きがあり、ウルトラが数年前にやっていることが仮面ライダーの放送に何らかの有利な影響(悪い影響すら)を与えているとは思えません。
「後だし」という得をしているとは思えない所以です。形のうえでは確かに「復活」するときウルトラの方が先になっていることは確かですが、そのことに何か意味があるとは思えないのです。それに今は二年前よりウルトラシリーズが年末だけ映画で復活していますがこれは「後だし」でしょうか?
のうちらす さん
 書き込みありがとうございます。
 こういう異議申し立て大歓迎です。
 
 ここでいう漁夫の利というのは、こういうことです。
 「ウルトラファイト」や「マン」「セブン」の再放送で、新しい巨大ヒーロー、怪獣ものが待ち望まれるようになった1971年に、昭和41年(「マグマ大使」「ウルトラマン」)を再現するかのように、ピープロが「宇宙猿人ゴリ」を、円谷プロが「帰ってきたウルトラマン」を、新しいシリーズのTV放送を開始しました。かつての怪獣ブームを知るものにとっては、ブーム再燃かという期待があったんです。
 ところが、子どもたちの心をとらえるのは等身大ヒーロー「仮面ライダー」でした。もちろん、「宇宙猿人ゴリ」も「帰マン」も人気はありました。しかし、当時の状況は、ある時期からはもう完全に変身ブームだったんです。
 うちの弟なんて兄貴の影響でウルトラシリーズ大好き少年でしたが、その弟でさえ「仮面ライダー」に夢中で「帰マン」なんてどうでもよかった感じですから(笑)。
 こうなると円谷プロファン、ウルトラファンの私は心穏やかではなかったですよ。どうして「帰マン」はもっと人気がでないのか。「仮面ライダー」は変身ポーズが話題を呼んだ、帰マンも何か変身アイテムを使えばいいんだ、なんて分析したりして。
 本命の巨大ヒーロー(巨大ヒーロー対怪獣)ものを出し抜いて、伏兵の等身大ヒーロー(等身大ヒーロー対怪人)が大ブームになった。それを漁夫の利と表現しました。使い方が間違っているよと言われたら、謝るしかないのですが。
 で、この変身ブームが、その後の第二期ウルトラ(マン)シリーズ(ほか、円谷プロの巨大ヒーローもの)に多大な影響を与えるわけです(ピープロは、以降等身大ものになるでしょう)。それは第一期を知る者にとっては屈辱なわけですよ。

 長くなるので、ここで一回切りますね。
のうちらす さん 
 続けます。

 特撮はミニチュア撮影に手間も金もかかる。対して等身大ヒーローものはそこまで制作費はかからない。子どもたちの人気も高い。製作会社が等身大ヒーローに流れるのも無理ありありません。変身ブームは特撮番組の低年齢層化を招きました。その影響は円谷プロの特撮番組を直撃します。
 「ウルトラマンA」でシリーズの共通の敵ヤプールが登場するのはショッカーの影響ではないでしょうか。私は「A」の途中でウルトラを一度卒業するのですが、ウルトラマンタロウ」なんてネーミングを知った時は怒り心頭でした。
 「仮面ライダー」世代の人と話していてわかったのですが、彼は「仮面ライダー」シリーズをアクションドラマとして観ていたんですね。同様にウルトラにも同じものを求めている。私は、第一期ウルトラから良質のSFドラマを味わっていたわけですが、第二期は、特に「A」以降はアクション重視になっていたのかと。
 一番耐えられなかったのは、ウルトラ兄弟の設定でした。擬人化した描き方に。そして、別の項で言及していますが、造形に。
 昭和41~43年のころの特撮番組、円谷プロ、ピープロ、東映の位置づけ、それが昭和46年の変身ブームでどう変化していったか、については、「まぐま18号 石ノ森章太郎 Spirits」に寄稿した「体験的石ノ森ヒーロー論」に書いています。

 「ウルトラマン80」と「仮面ライダーBLACK」の関係は、今調べたんですが、完全に私の勘違いでした。すいません。

 ただ、平成ウルトラマンシリーズ3部作のあとに「仮面ライダークウガ」が放送されたのは、絶対関係あると思っています。特に「ガイア」で生まれた複数ヒーロー、イケメン俳優、連続ものという概念は、「アギト」に受け継がれ、大成功をおさめました。これについては原田監督にインタビュー、というか二家本さん、町田さんとの鼎談を企画した際に、嘆いたら同意してもらえましたから、やはり皆そう認識しているんだと得心した次第です。
 以降、円谷プロが「ウルトラマン」シリーズで始めたことを、東映は「仮面ライダー」に取り入れ、うまく消化します。オリジナルのリボーン化、昭和と平成の共演、こういった企画は先に円谷プロがやり始めたことではないでしょうか。後だしとはそういう意味です。後追いと言い換えてもいいかもしれません。
 TVシリーズが続いているとかいないとか、映画だけしか制作されていないとか、そういうことは関係ありません。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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