一昨日の朝のこと。
 いつもより早めに目が覚めた。なでしこジャパン・ワールドカップの結果はもうでているだろう。まず思った。
 熱狂的なファンではないから夜中に起きて最初から観戦するつもりはない。昔、最初から観戦していて最後の最後で裏切られたドーハの悲劇を体験している。僕が観ると必ず負けるというジンクスもある。だいたい日本代表の場合、ドキドキして落ち着いて観ていられない。観たら観たでとんでもなくうるさくなる。ゆえに原則サッカーのワールドカップは結果だけわかればいいというスタンス。勝ったら決定的瞬間だけ後で何度も観ればいいと。

 TVのスイッチをつけると延長戦の後半だった。1対2で日本がリードされている。サッカーに詳しくないので、延長戦がどれだけプレーされるのかわからない。時計は12分ぐらいだったか。ああ、やはり負けか、とあきらめた瞬間、澤の同点ゴールが決まった。
 PK戦は大嫌いだ。あんなことするならサドンデスで延長戦をやるべきだ。それができなければもう運なのだからジャンケンで勝敗を決めればいい。そんな風に考える素人なので、通常ならTVを消してしまう。本当は観ていられないのだ。PK戦前のなでしこジャパンの円陣が映って気が変わった。選手みんなが笑顔なのである。負けなら負けでいいや。リラックスしてPK戦を観ることができた。
 緊張していたのはアメリカだった。まさか、まさかの結果。何度も叫んでいた。

 なでしこジャパン、万歳! 優勝おめでとうございます。

          * * *

2011/05/22

 「気になる日本語 本音を申せば」(小林信彦/文藝春秋)

 昨年度の週刊文春連載「本音を申せば」をまとめたもの。もう13冊めになるのだ。
 連載時に「B型の品格」というサブタイトルで5回にわたって書いたことがある。最初3回連続で、あとでまた2回追加されて。予想したとおり1冊にまとまった際の書名が「B型の品格」だった。
 昨年は「気になる日本語」のサブタイトルが続いたことから、これがそのまま書名になるのだろうなと思っていたら案の定だ。この線でいけば、来年は「非常事態」になるのだろうか?

 小林信彦が「気になる日本語」として言及したのは「悩ましい」という言葉。本来この言葉には「官能が刺激されて平静でいられない」という意味しかないのに、「苦悩している」「困難である」的なニュアンスで使われる場合が多いと。僕自身もチャーのかつてのヒット曲「気絶するほど悩ましい」を例にだすまでもなく、「悩ましい」といえば、一つの意味しかないと思っていたから、小林信彦の主張に大きくうなずいた。
 日本語の乱れといえば、必ず話題になる「れる・られる」の誤用。最近ではもうすっかり「見れる、出れる」が幅をきかせてしまったが(みのもんたは普通に使っている)、この言葉が問題になったときはタレントや若い人たちがまず口にしていたのではなかったか。「悩ましい」はまったく逆だ。いわゆる識者、それもある程度の年齢がいった方が使っているのを何度も目にしている。

 実際辞書には意味として「悩みの種」の類も載っているらしい。だから間違いじゃないと反論する輩もいるだろうが、問題はそんなことではない。たとえば、「やばい」という言葉、「かっこいい」「すごい」の意味が正式に辞書に採用されたとしても使う気になれない。「帰ってきたウルトラマン」のウルトラマンを「ウルトラマンジャック」として円谷プロの公式データに掲載したとしても、それがどうしたという思いに似ている。
 若いタレントが「悩ましい」を連呼するのはまだわからなくはない。いい歳したジャーナリストがしたり顔で「悩ましいですね」なんていう光景に虫唾が走る。同世代の特撮ファンが「帰マン」を「ジャック」なんて言えば軽蔑の対象だもの。
 その他、俎上に乗った言葉は「がっつり」「ムカつく」「なにげに」「こだわる」「カミングアウト」。
 〈目線〉は芸能界用語で〈視線〉とはちがう、ということもやっぱりと得心する。

 エッセイは「気になる日本語」(計7回)だけではない。映画は「ゴールデンスランバー」「インビクタス/負けざる者たち」「借りぐらしのアリエッティ」「ヒアアフター」。「上海バンスキング」の29年ぶりの再演。観たかった!!
 〈検察不況〉とコロコロ民族の項、改めて読むと、「ゴールデンスランバー」のテーマにつながるものを感じる。


2011/05/23

 「梶原一騎自伝 劇画一代」(梶原一騎/小学館クリエイティブ)

 「劇画一代」。確かさいとうたかおの本も「劇画一代」だったような。梶原一騎なら劇画(の原作)一代が正しいのに。なんて、どうでもいいことだ。
 なぜ今になって梶原一騎の自伝なのだろうと不思議に思ったら、復刊本だった。元は1979年に毎日新聞社から出版されたもの。冒頭に「あしたのジョー」をはじめとする4本の生原稿がついており、この復刊の売りとなっている(もうひとつは巻末のちばてつやへのインタビュー)。
 表紙が矢吹ジョー(「あしたのジョー」)とタイガーマスク(「タイガーマスク」)。なぜに星飛雄馬(「巨人の星」)じゃないんだ? ある方のレビューで氷解した。例の、全国にままたくまにひろがった伊達直人の善意(福祉施設へのランドセル等のプレゼント)の影響だって。
 原作を担当した劇画がことごとくヒットし、映画の世界に進出していくくだりが興味深い。三協映画の社名の由来もわかった。

 思えば、梶原一騎にとって70年代が絶頂期だったわけだ。編集者への暴行、逮捕が83年。この事件以後、さまざまスキャンダルに見舞われて、業界を干された。そして大病。どうにか死の淵から生還して、劇画原作からの引退作と銘打った自伝劇画「男の星座」を開始する。ところが、連載すぐに急逝してしまう。
 特にプロレス好きではなかったが、少年サンデー連載の「プロレススーパースター列伝」をよく立ち読み等で読んでいた。原田久仁信の絵とうまくマッチしていたということもある。同じコンビで始まったのが「男の星座」だ。
 「巨人の星」の陰にかくれて今はまったく話題にならないが、川崎のぼるとのコンビで「男の条件」という劇画があった。漫画家志望の青年を主人公にした熱血ど根性もの。コミックスの第1巻だけ持っていた(全2巻)。当時は漫画家になりたかったこともあって、こういう世界が大好きだった。
 そんな思い出があるので、「男の星座」に期待しないわけがない。梶原一騎の死を知った時とき真っ先に思ったのは「男の星座」が未完になってしまうのか、だったほど。にもかかわらず、連載中も、あるいは単行本になった「男の星座」も読んでいない。今むしょうに読みたくなってきた。


2011/05/28

 「輪違屋糸里(上)」(浅田次郎/文藝春秋)

 浅田次郎の新選組もの第二弾。詳細は(下)で。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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